TOP  NSJアップデート  インタビュー  <特別対談> 50億稼いだ伝説のディーラーたけぞう氏 × アルインコ 小林宣夫代表取締役社長 ~後編~
インタビュー2021年6月10日

<特別対談> 50億稼いだ伝説のディーラーたけぞう氏 × アルインコ 小林宣夫代表取締役社長 ~後編~

創業初「中期経営計画」公表、売上高3期連続で過去最高更新へ

アルインコ(5933)の2021年3月期業績はコロナ感染症拡大の影響で減収・減益を余儀なくされた。だが、同時に公表した中期経営計画では「ニッチマーケットでトップ企業に」との経営方針のもと3年後の24年度には売り上げ、利益ともに最高値更新とV字回復を目指す。“伝説のディーラー”たけぞう氏と小林宣夫社長の対談を続ける。

――「ニッチマーケットでトップ企業に」とは、具体的に。
例えば、アルミ製のはしごや脚立など。200億円ほどの市場に国内企業は3社しか存在せず、当社は、このような小さな市場であっても「トップ」にこだわっている。トップには自然と情報が集まり、価格がコントロールできるなど、安定的に利益を生み出すしくみが作れる。

――今期はコロナ禍からのV字回復を見込んでいる。
創業82年目にして初めて中期経営計画を公表した。3年後の24年3月期に売上高610億円、経常利益42億円と、いずれも過去最高を更新する計画を掲げている。

売上高は2010年から2020年まで10期連続の増収と右肩上がりが続いており、コロナ禍でいったん立ち止まったものの、今後も同様の成長を維持していきたい。利益については投資を積極的に行っているため償却負担の増加により低迷しているように見えるかもしれない。ただし「稼ぐ力」は着実に増している。例えば減価償却費などを考慮しないEBITDAは2010年の23億円から足元では60億~70億円台に、営業キャッシュフローも30億円台から40億~50億円台へと拡大している。

中期経営計画でも明言しているが、物流や電子機器などの新領域を含めて今後3年間で153億円の投資を計画。一方で、24年度の経常利益率は20年実績の5.4%から7.0%に向上、自己資本比率も引き続き50%程度を維持するなど、「安定」と「成長」の両立を目指す。

――安定と成長の両立、有言実行できているところがすばらしい。
創業80年超と歴史は古いものの、例えば1980年代に一世を風靡(ふうび)した「アルインコ・テレビショッピング」、高額なテレビの放映権を使って通販番組を流したり、クイズ番組のスポンサーをしたりしてファンづくりを試みるなど、新しいことにチャレンジすることが得意な会社だ。テレビショッピングは最終的には撤退したものの、このときの経験が住宅機器関連の商品の企画などで現在も役立っている。チャレンジ精神と柔軟な発想が、これまでいくつものM&Aを成功させて業容拡大、堅実成長を続けてこれた最大の要因なのかもしれない。

――最後に。プライム市場への意気込みを聞きたい。
当然プライム市場を目指すし、最重要な経営課題として早くから取り組んでいる。例えば、社外取締役の数を3分の1以上にする、役員の選任・解任および報酬の妥当性などを担保するために独立した指名・報酬委員会を設置するといったルール作りは既に対応済みだ

――プライム市場への準備は既に対応されているとのこと、いち個人投資家としてはうれしいニュースです。安心しました。小林社長、ありがとうございました。