大引けの日経平均は36円安の3万8,596円、TOPIXは0.8ポイント安の2,724ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は673、下落銘柄数は919。出来高は20億4,499万株、売買代金は5兆2,859億円。
米国でミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、インフレ率を目標の2%へと引き下げるには1、2年かかる可能性が高いとの見解を示したため、米金利が上昇しドルが買われ、1ドル=159円台の円安となった。
BNPパリバ証券では、日本ではゼロ近傍の政策金利が継続されると、家計は預金の実質価値の目減りを避けるために、今後も外貨建て資産に資金をシフトし、それがさらなる円安圧力を生む可能性があり、結果的に個人消費が抑制されている可能性があると指摘。
日銀が利上げや国債購入の減額を行っても、長期金利の上昇は限られるから、こうした状況から中々抜け出せず、異次元緩和の真の副作用の一つを認識することになると述べ、既に緩やかなスタグフレーションは始まっていると見ている。
円安を防ぐために日銀は7月末の金融政策決定会合で追加利上げを実施するという警戒感から不動産株が売られた。
ソフトバンクグループは株主総会で孫会長兼社長が、「人類の1万倍の英知のASI(人工超知能)が10年以内に生まれる。私はASIを実現するために生まれてきた」と気宇壮大な意気込みを語ったが、当面の投資戦略が披露されなかったことや、自社株買いについては「小さい話」としたため株価は下落した。
反面、ディスコ(6146)が売買代金トップで買われた。半導体ウエハーの切断(ダイサー)、薄化(グラインダー)装置を製造している。生成AIで使われるHBM(広帯域メモリー)はDRAMを垂直に積層するため、DRAMウエハーの薄化(研削)の需要が高まり、AI市場拡大の恩恵を受けると期待されている。
コンテナ運賃高騰が報じられたことで海運株が買われた。
サイボウズは業績上方修正で急騰し、富士急行(9010)はモルガン・スタンレーMUFG証券が新規に「Overweight」と発表し急反発を演じた。日本で唯一、自前の輸送モードを持つ上場レジャー会社で実は2025年度予想ROE20%の高収益企業と紹介した。
業種別下落率上位は倉庫運輸、電力ガス、不動産、ガラス土石、電機で、上昇率上位は海運、保険、陸運、紙パルプ、証券。(W)