大引けの日経平均は433円高の3万8,487円、TOPIXは46ポイント高の2,772ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,512、下落銘柄数は118。出来高は29億8,398万株、売買代金は7兆7,612億円。
政府が公務員年金など100兆円規模の公的マネーを積極運用に回すと報じられたため、日経平均は上昇した。
半導体関連が下落したため、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めたが、後場は騰勢を拡大した。
自社株買いが高水準となっていることや、MSCI指数の銘柄入れ替えに伴い大引けで約1,950億円の資金流出となると予想されているが、金利上昇を受けて5月下旬は調整していたため、買い戻しが入ったことやリバランスに伴い売られる銘柄を買うチャンスと待ち構えた動きも後場の上昇要因とみられている。
UBS証券によると、2023年度本決算では241社が総額6.3兆円(過去最高)の自社株買いを発表した(4月~5月15日まで)。それまで最高だった2022年度の3.6兆円を75%上回る水準だという。
また、51%の企業が2024年度の増配計画を発表した(2023年度は40%)。
こうしたことから、UBS証券では日本のコーポレートガバナンス改革は第2段階へ移行したと解説している。
目先の注目材料だった余剰資金を活用した株主還元の強化がほぼ実現した今、構造改革や利益率改善を通じた自己資本利益率(ROE)向上の進展が今後の重要な原動力となるだろうと述べている。
データセンター関連のソシオネクストやAI関連のソフトバンクグループが買われ、メガバンクや電力株、リクルートが買われ、金利上昇で下落していた不動産株にも買いが入った。
関西ペイントは大規模自社株買いの発表し大幅高となり、サイボウズは値上げ発表で値を飛ばした。
ゴールドマン・サックスがデンマークの製薬会社のノボ・ノルディスクを新規「Buy」と発表した。肥満症治療薬市場は2030年までに約1,300億ドルに拡大すると予想しており、従来予想の1,000億ドルから増額した。
大阪ソーダは肥満症治療薬の製造で使用される精製用シリカゲルを供給しているため、肥満症治療薬関連として連想買いが入った。
一方、米国のデルがAI向けサーバーの売上高がアナリスト予想に届かず時間外取引で下落した影響で、東京エレクトロンは安い。
業種別上昇率上位は証券、電力ガス、石油、不動産、鉄鋼で、下落業種はなし。(W)