xenoBrainによるAI解析
経済の未来をスコア化するSaaS型AIサービスを展開しているxenodata lab(ゼノデータ・ラボ)
AI解析ツールの【xenoBrain】で膨大なデータから企業業績や需要動向、素材価格の将来動向についてAIが総合的に評価したスコアを生成。より高度な意思決定のサポートとなるツールを提供しております。
SaaS型AIサービス【xenoBrain】を利用して「新型コロナウイルスの国内上場企業への影響予測」を行い、新型コロナウイルスに関連する国内の状況を鑑み、解析結果の無料公開を行ったところ多方面から大反響を頂きました。
前回まではアフターコロナの世界経済がわかる必見の50シナリオの中から、アフターコロナ、五輪延期など、注目シナリオをピックアップ。今回からは、xenoBrain独自の63業界分類で分析を行い、全63業界とそのサプライヤーが受ける影響を業界別にまとめた一部を抜粋してご紹介します。今後のアクションを考える一つの指針としてお役立てください。
業界別影響度ランキング *出所:
第一波業績影響のピークは8月と推定。製造業のサプライチェーン全体への本格的影響はこれから
緊急事態宣言を受けた外出自粛による直接的かつ短期的な影響を受ける観光・宿泊(1位 -1,133.2pt)、外食(2位 -770.6pt)などの影響は一巡しつつあるも、観光業では世界的感染拡大に伴う訪日外国人の大幅な減少により中期的に影響するシナリオも大きく、非常に厳しい状況は続くと推測され、1位にランクインする結果になった。
また、自動車(4位 -484.9pt)をはじめとするメーカーでは、生産停止や自粛による買い控えになど短期的に影響するシナリオが発生しているが、深刻な不況に伴う需要そのものの減少による本格的な業績影響は感染拡大から平均5~6か月と推定され、3月決算では第二四半を前後に大きな影響が出ると推定された。 中でも、自動車は、世界各地で生産・販売しており、米国などの既に感染拡大の被害が甚大なエリアやインドやブラジル、インドネシアなどまだ終息が見えないエリアなどの影響も小さくないと推測され、今後グループ全体での影響は非常に大きいと推測されている。自動車需要の減少は、それを製造する製造用機械(29位 -107.5pt)や製造用工具・部品(28位 -107.5pt)など、自動車(4位 -484.9pt) や自動車部品(5位 -426.6)を得意先とする企業のスコアも大きく悪化させ、幅広い業界で大きな影響を与える結果となった。
もう一つの特筆する変化として、テレワークの推進によるオフィス需要の減退の長期化の影響が挙げられる。オフィス関連では、不動産開発(37位 -70.1pt)だけでなく、中期的には建設(20位 -168.6pt)、移転に伴うオフィス家具(10位 -309.9pt)、複合機などのOA機器関連企業への影響は非常に大きく、テレワークの浸透により大きな変化を迫られる業界は多岐にわたることが推測された。 一方、増益予測が出ている業界を見てみるとEコマース(増益影響1位 260.2pt)や製薬・臨床試験(増益影響2位 137.8pt) やドラッグストア・薬局(増益影響4位 132.1pt) など医療関連の業界が上位を占めることになった。Eコマース業界では、自粛による短期的な影響だけでなく、緊急事態宣言終了後も多くの消費者がEコマースにシフトすることが見込まれ、市場規模の爆発的な増加により業界所属企業が大きく業績を伸ばすと推測されたためだ。また、医療関連業界では、医療崩壊を免れた結果として、新型コロナウイルスに関わらず治療を受けられない患者の増加が起こる可能性が下がったことを受け、医薬品関係の需要の急激な増加はないと推測されたものの、病院内のクラスター感染を避けるために病院に避ける流れが続き、依然としてドラッグストアなどで一般用医薬品や予防用マスクその他の消耗品の需要は高止まりするという推測から、上位にランクインすることになった。
今後、第二波、第三波と緊急事態宣言等による厳しい自粛要請が起こると、このスコアや時間軸はより変化していくとみられ、各業界への実際のインパクトは過去その業界が経験したことがない影響になりうる可能性が高い。