10月2日(金)のマーケット
前日のNY市場でNYダウは続伸。9月のISM製造業景気指数が55.4と8月の56.0から低下したことや、ムニューシン財務長官とペロシ下院議長の経済対策の協議は今後も継続するが、1日の電話会談では見解の相違が埋まらなかったことなどを受け、NYダウは朝方259ドル高となったが、その後一時112ドル安となり、結局35ドル高で取引終了と上下に振れる展開。NYダウは35ドル高(0.13%高)の2万7,816ドル。ナスダックは堅調で、電気自動車のテスラや動画配信のネットフリックスが買われ、アマゾンはアナリストによる目標株価引き上げが好感された。ナスダック総合指数は159ポイント高(1.42%高)の1万1,326ポイント。
本日の東京市場は昨日の東証の終日売買停止から再開して、反発でのスタート。寄り後には2万3365円(180円高)まで上昇を見せるも徐々に上値を抑えられる展開。後場には「トランプ大統領がコロナ陽性判明」とのショッキングなニュースが飛び込んで来て日経平均は下落幅を広げ、一時は2万3000円を割り込む場面も。大引けは155円安の2万3029円。売買代金は2兆8642億円。
新興市場も値を消す展開に。JASDAQ指数は続落。電子署名関連の日本ラッドが利食い売りに押され、ワークマンは既存店売上高の伸び率が1ケタとなり下落。対して、NCNは大規模木造マッチングプラットフォーム事業開始でストップ高。マザーズ指数も小幅下落。ミンカブやOTSが買われ、JIAは東証1部昇格発表を好感し買われた。注文住宅のLibWorkは9月の受注が前年同月比4倍となりストップ高。一方、フィードフォースやアーキテクツは下落。
IPOではタスキ(2987)がカイ気配を切り上げ結局、売買は成立しなかった。同社は、投資用IoTレジデンスの開発・販売が主力事業。資金吸収額2億円台の軽量案件。また、ヘッドウォータース(4011)が上場から実質3営業日目となるこの日、2万8,560円で初値形成。これは公開価格(2,400円)の11.9倍にあたり、早くもテンバガー(10倍超の株価上昇)を達成した。同社はAIエンジンを顧客サービスに実装するAIソリューション事業を手掛ける。IT関連株人気と、資金吸収額が3億円未満という軽量感が相まって人気化した格好。
チャート上では2万3000円をキープしたものの、25日移動平均線(2万3263円)を割り込む形。週足のチャートでは陰線が3本連続で示現しており、トランプ大統領のコロナ感染も相まってテールリスクも視野に入れる局面か。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。日銀短観や米国ISM景況感指数など、今週起こった数々の重要ニュースの中で、私は火曜日の朝に第一報が飛び込んできた、「NTTによる子会社・NTTドコモへのTOB」が最大の出来事ではないかと思います。
時価総額で日本の第8位のNTT(8兆円)が、同じく第3位のNTTドコモ(12兆円)を完全子会社化します。これによってドコモは28年ぶりにNTT本体に取り込まれ、上場廃止となる予定です。
今では新型コロナウイルスを考慮せずに将来を語ることができませんが、昨年暮れから今年の年明けまでは「2020年は5G元年」という明るい展望が世の中に充満していました。株式市場でも5G市場の拡大が期待されたものです。
しかし状況は大きく変化しました。5G商戦もふたを開けてみると、肝心基本特許の分野は大半がファーウェイ、ノキア、エリクソンに代表される海外勢に占められており、日本は存在感を示すことがほとんどできません。
NTTグループの再編はそれだけにとどまらず、さらに大きな広がりを持っているように見えます。日本は産業界を横断するような、国を挙げた大きな構想を描く必要があります。
そこには司令塔が必要です。官公庁のタテ割りを排することが何よりも重要で、企業間の合従連衡はますます活発になるように思えます。口で言うほど簡単なことではありませんが、そういう地点に立っています。
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注目記事 Pick up
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【相場を斬る(63) 2020年相場 最終章スタート】
日本証券新聞10月5日(月)紙面1面記事掲載
レンジ相場からの脱却を試す
「中秋の名月」とは、旧暦8月15日に見える月のことである。よく聞かれる「十五夜」という言葉と基本的に同じ意味を持つが、新暦が使われる現代においては15日とは限らない。21世紀以降で見ると、一番早い名月は2014年の9月8日で、遅かった2006年の10月6日とは1カ月近くの開きがある。
毎月訪れる十五夜だが、中秋の名月だけが別格扱いされるのは、季節柄、単に空気が澄んで月がきれいに見えるだけではなく、農作物の収穫への感謝、稲刈り前の豊作祈願の意味合いがあったためと言われている。ちなみに今年の「中秋の名月」は10月1日であったが、コロナ禍でここまで健闘した相場に感謝するとともに、李白の漢詩「把酒問月」ではないが、まだ満月に近い月に、残り3カ月弱となった2020年相場最終章を問うてみたい思いである。
海外変動への耐性高まる
下期入りとなる「中秋の名月」当日のシステム障害とは、東証もみそを付けてくれたものだが、国内株式市場は確実に底堅さを増しつつあり、9月初頭をピークに短期調整局面入りした米国市場に対する耐性力が高まっている。
日米両株式市場を、S&P500とドルベースTOPIXで通貨をそろえて相対比較すると、7月までと8月以降の動きが一変しており、7月末時点の両指数を100%として、9月30日時点でドルベースTOPIXがS&P500を7.7%もアウトパフォームしている。
ドルベース日経平均が既に年初を上回る水準にある中、ドルベースTOPIXも同水準に接近してきたことから、ドルベースで見た2020年相場は、両指数そろい踏みでの陽線が射程圏内に入っている。
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今日の市況概況
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10月2日(金)☆[概況/大引け]
トランプ大統領の新型コロナウイルス感染で日経平均も売られたが、23,000円割れの水準では下値抵抗を見せた
大引けの日経平均は23,029.90円の155.22円安、TOPIXは1,609.22ポイントの16.27ポイント安。東証1部の値上がり銘柄数は400、値下がり銘柄数は1,729。出来高は14億8,464万株、売買代金は2兆8,642億円。
トランプ大統領が新型コロナウイルス検査で陽性だったと明らかにしたため、時間外取引のNYダウ先物が売られ、日経平均も一時22,951円(233円安)となったが、23,000円割れの水準では下値抵抗を見せた。
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