10月5日（月）のマーケット                                                                   

先週末の米国市場は3日ぶりに反落。トランプ大統領の新型コロナウイルス感染と、9月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比66万1千人の増加に留まり、8月の148万9千人増から大幅に減速し、市場予想の85万人も下回ったため、NYダウは一時433ドル安となる場面も見られた。追加経済対策への期待で上昇に転じた時間帯もあったが、結局NYダウは前日比134ドル安(0.48％安)の2万7,682ドル。ナスダックではテスラやエヌビディア、ネットフリックス、アップル、アマゾンなどが売られた。ナスダック総合指数は前日比251ポイント安(2.22％安)の1万1,075ポイント。本日の東京市場は、トランプ大統領の早期退院見通しを受けて大きくギャップアップでのスタート。上値は抑えられるものの終始強い展開。3日ぶりの反発となり、大引けの日経平均は282円高の2万3312円。売買代金は2兆711億円。

新興市場は反発。ジャスダック平均は反発。アサカ理研がレアメタル回収の本格事業開始計画が報じられストップ高。東証のシステム障害を受けて、トレードワークスには思惑買い。対して、まぐまぐは安い。マザーズ指数も反発。電子商取引プラットフォームのBASEが活況。直近IPO銘柄のヘッドウォータースやrakumo、I-netも高い。一方、AｍidAが4日ぶりに反落。ログリーとマクアケは利食い売りに押された。

本日、東証1部に新規IPOのダイレクトマーケティングミックス(7354)は、初値は2,600円と公開価格の2,700円を約4%下回った。同社は、顧客企業に代わってエンドユーザーに商品やサービスのセールスを行っている。2日に新規上場して初値持ち越しとなっていたタスキ(2987・東マ)は上場2日目の5日もカイ気配を切り上げる展開。結局、公開価格に比べて約5.3倍の3,545円のカイ気配で取引終了。同社は新築投資用IoTレジデンスの開発・1棟販売が主力。「不動産テック」関連の側面もあり人気化している。

チャート上では大きくギャップアップして5日移動平均線（2万3250円）・25日移動平均線（2万3267円）を上抜け。

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【NEW乾坤一擲(61)】
日本証券新聞10月6日（火）紙面1面記事掲載

NYダウの110年波動　大勢強気トレンドは健在

トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、1カ月先に投票が迫った米大統領選の先行きはいっそう混沌(こんとん)としてきた。

加療中のトランプ氏は3日、「気分は良くなった」とツイートするなど、療養を終えた後の巻き返しに意欲を見せている。しかし、選挙は水物とはいえ、投票日(11月3日)までの限られた日程から見て、バイデン勝利を読む空気がマーケットに広がっている。

トランプ氏に陽性結果が出た、というニュースで、一つ思い浮かんだのが101年前のウッドロウ・ウィルソン元大統領(1856～1924)の受難だ。

当欄第38回(3月31日付)で触れたように、名著「オンリー・イエスタディ」(F・L・アレン、藤沢ミネ訳、筑摩書房)で、ウィルソンは「突然、流行性感冒にかかり、激しい発作に襲われた」と書かれている。パリ講和会議で議論が白熱化していた1919年4月3日、当時、猛威を振るったスパニッシュ・インフルエンザ(いわゆるスペイン風邪)に罹ったウィルソンは、高熱、咳き込み、激しい腹痛に見舞われた。

発症後、理想主義者・ウィルソンは精神的にも衰弱し、政治的な判断能力は著しく劣化した(『史上最悪のインフルエンザ』、アルフレッド・W・クロスビー、邦訳は2004年、みすず書房刊参照)。

だが、ごく少なく見積もっても全世界で2,500万人が亡くなったというスパニッシュ・インフルエンザや、ウィルソンの体調悪化が株式相場の大波乱につながった形跡は7カ月前の当コーナーで報告した通り、当時の文献をチェックした限りではほとんど見当たらない。