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コラム2022年2月25日

【本日のマーケット】2月25日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

2月25日(金)のマーケット                                                                   

2月24日の米国株式市場でNYダウは6日ぶりに反発。ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米が制裁を強めれば、ロシアからの輸入制限で商品市況が高騰しインフレが加速するので、世界経済が冷え込むという懸念から、NYダウは一時859ドル安まで下落。バイデン大統領が発表した制裁措置にはエネルギーの禁輸措置とSWIFT=スイフトと呼ばれる国際的な銀行間送金ネットワークからロシアの銀行を排除する制裁案は見送られ、プーチン大統領本人への制裁もなかったことから、想定されたほど厳しい内容ではなかったと受け止められ、買い戻しが入った。NYダウは前日比92ドル(0.28%)高の33,223ドル。ナスダックも6日ぶりに大幅反発。テスラやエヌビディア、マイクロソフトなどが買われた。NASDAQ総合指数は前日比436ポイント(3.35%)高の13,473ポイント。S&P500指数も5日ぶりの反発となり、前日比63ポイント(1.50%)高の4,288。

本日の東京市場は、米国市場の6日ぶりの反発を受けて2万6,000円台を回復してのスタート。昨日まで5日間で1,489円の下落となっていたことで、ボリンジャーバンドの-3σに到達。売られ過ぎの反動で、自律反発と買戻しが優勢となり大幅上昇となった。米国市場でNASDAQ総合指数やSOX指数が3%超の急反発となっていたことで、レーザーテックや東京エレクトロンなど半導体関連株が大幅上昇。後場寄り後に上げ幅を縮める場面も見られたが、徐々に上げ幅を拡げ、大引け前に本日の高値2万6,481円を付けた。大引けの日経平均は505円高の2万6,476円。売買代金は3兆1,752億円。TOPIXは18ポイント高の1,876ポイント。

新興市場も6日ぶりに反発。JASDAQではシンバイオ製薬が後発薬4社に特許権侵害懸念を通告したため、ストップ高。対して、防衛関連の細谷火工は大幅安。ロシアによるサイバー攻撃の脅威が高まっていることを受け、日本政府がサイバー対策強化を要請したため、マザーズではサイバーセキュリティが急騰。フェニックスバイオは特許査定を受け、ストップ高。一方、ヘッドウォータースは大幅反落。

日足チャート上では、下ヒゲを伴う陽線。2万6,000円台回復となり、ボリンジャーバンドの-2σ(2万6,192円)をクリア。昨日に昨年来安値を割り込み、ボリンジャーバンドのー3σにタッチしてからの切り返し。まさしく、相場格言「銃声が鳴ったら買え」、の展開となった。週足では一目均衡表の雲の下限を下抜け。長い下ヒゲを引き、100週移動平均線で下げ止まった形。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。日本時間の2月24日(木)、昼過ぎにロシアがウクライナに対して軍事侵攻を開始しました。

世界が恐れていた事態が現実のものとして実際に起こてしまいました。第2次世界大戦の終結から70年以上にわたって保たれていた国境線が武力によってねじまげられました。ロシアによる現状変更の行為を、声を大にして非難しなければなりません。

先行きの展望は予断を許しません。まったくの五里霧中です。それでも今回のロシアの蛮行によって、FRBの金融政策および米国議会の財政運営が変化してくる可能性も残っています。

2001年9月11日に起きた世界貿易センターへの民間航空機による自爆テロ事件、いわゆる同時多発テロ事件に際して、FRBは9月17日にマーケットが再開されるのに合わせて緊急のFOMCを開き、0.50%の金融緩和を決定しました。

間髪を入れず10月2日のFOMCでも0.50%の利下げを実施し、FFレートを2.0%まで引き下げました。これに米国議会も歩調を合わせ、9月14日には400億ドルに及ぶ緊急の歳出法案を可決。その翌週も航空業界に向けて150億ドルもの緊急支援策を決定しました。金融と財政の両面から危機対応策を機敏に発動して、資本市場の崩落を食い止めたのです。

FRBはインフレ抑制に舵を切ったばかりですが、今回のウクライナ危機に直面して、ウォール街を持ちこたえさせる方向にFRBが動くことも考えられます。世界の株価が急落している真っ最中に、NASDAQから市場が大きく持ち直したことは、あるいは金融政策の変化を示している可能性もあります。

危機に際して金融政策は柔軟でなくてはならないという典型的な事例です。厳しい状況には変わりませんが、地球上の人類全体が同じ危機にさらされています。その点に一縷の望みを託したいと思います。

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注目記事 Pick up
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【どうなる!?ウクライナと相場
日本証券新聞2月28日(月)紙面1面TOP記事掲載 

銃声「12日後」が焦点に 安値2万4,500円唱える声も

日々激動するウクライナ情勢。ロシアによる本格侵攻から一夜明けた25日の東京市場は日経平均505.68円高。ひとまず6日ぶりの急反発局面を迎えた。「銃声が鳴った翌日の上昇」という意味では、24日付本紙で紹介したように、軍事衝突直後の定石とも言える反応だが、もちろん、これにて一件落着となるわけもなく、落ち着きどころを探るべく、しばらくは荒っぽい展開が続くことになりそうだ。

反発の起点となったのは24日の米国市場だ。朝方、859.12ドル安まで売られたニューヨークダウは結局プラス。また、それ以上に極端な値動きを示したのがNASDAQだ。寄り付きの449.61安(3.4%安)に対し、大引け436.10高(3.3%高)と日足チャートで大陽線(いわゆる“陽の丸坊主”に近い)を引いている。

先物価格から逆算した市場予想では、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)における「0.5%利上げ」の確率が23日の33.7%高から一時5.6%まで急降下。金融引き締めペースが和らぐとの読みがグロース株買い直しを誘ったようだ。また、8年前のロシアのクリミア併合時に著名投資家・バフェット氏が「最も悪いのは戦時に現金を抱え込むことだ」として株式投資継続を唱えた経緯も一部で話題となったされる。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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2月25日(金)☆[概況/大引け] 

米国のロシア制裁措置が厳しくなかったため米国株に続き日本株も反発。金融と資源関連は下落

大引けの日経平均は505円高の2万6,476円、TOPIXは18ポイント高の1,876ポイント。東証1部の値上がり銘柄数は1,325、値下がり銘柄数は780。出来高は13億3,899万株、売買代金は3兆1,752億円。
ロシアがウクライナを侵攻したことに対して、米国のバイデン大統領はロシアへの経済制裁を発表したが、エネルギー関連の全面禁輸やロシア金融機関の国際銀行間決済ネットワークSWIFTからの除外といった措置は盛り込まれなかった。
これにより、世界経済の混乱は抑制されるという見方から米国株が反発し、日本株も切り返した。

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