3月11日(金)のマーケット
3月10日の米国株式市場は反落。ロシアとウクライナの外相会談で停戦交渉に進展がなかったことや、米国の2月の消費者物価指数が前年同月比7.9%上昇と1982年1月以来約40年ぶりの高さとなったが、原油高と商品市況の高騰で今後も物価上昇は加速すると警戒された。これらを受け、NYダウは一時466ドル安となったが、後半下げ幅を縮めた。暗号資産関連のブロックが反落し、ショッピファイやロブロックスが売られたが、シェブロンとエクソンモービルは買われた。ただし、NY原油先物は前日の急落で当面の天井を付けたとの見方から続落となった。NYダウは前日比112ドル(0.34%)安の33,174ドル。ナスダックも後半に下げ幅を縮小。アップルやテスラ、AMDは売られたが、アマゾンは1株を20株にする株式分割と自社株買いの限度額を50億ドル(約5,800億円)から100億ドルに引き上げたことで買われた。NASDAQ総合指数は前日比125ポイント(0.95%)安の13,129ポイント。S&P500指数は前日比18ポイント(0.43%)安の4,259。
本日の東京市場は、前日の大幅上昇の反動で反落スタート。ロシアとウクライナの外相会談で停戦交渉に進展がなかったことや、米国の2月の消費者物価指数が前年同月比7.9%上昇と約40年ぶりの高さとなり、米国株が反落したことも警戒された。寄付き後から徐々に下げ幅を拡げ、後場寄り後には、2万5,000円台を割り込む時間帯もあった。ロシア政府は、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシア事業の停止や撤退を判断した外資系企業の資産を差し押さえる検討に入ったと報じられたことも嫌気された。引けにかけては買い戻されたが大幅反落となった。大引けの日経平均は527円安の2万5,162円。売買代金は3兆3,145億円。TOPIXは30ポイント安の1,799ポイント。
新興市場も共に反落。JASDAQではウエストHDとハーモニックが反落。対して、ウッドショック関連の山大は再び買われた。FVCは初配当と株主優待制度の新設を発表したことが好感された。マザーズではメルカリが大幅安となり、宇宙関連事業開発の新会社設立で高騰していたINCLUSIVEは利食い売りに押された。一方で、磁気ネックレスのコラントッテはワークマンでコラボ商品の販売開始が注目されストップ高。
日足チャート上では、長い下ヒゲを伴う線。5日移動平均線(2万5,116円)は死守。週足ではギャップダウンとなり、長い下ヒゲを伴う陰線。来週、ここを上放れて陽線となると明確に底入れ示唆となる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ロシアによるウクライナ侵攻から2週間が過ぎ、砲撃の激しさは一向に収まりません。毎日のように報じられる爆撃された都市の悲惨な状況に戦慄を覚えます。このような事態が一刻も早く終結することを祈るばかりです。
小売企業の株価に徐々に動きが出始めているようです。外需よりも内需、遠くの出来事よりは身近な売れ行き状況ということになるのでしょう。
すべてではありませんが、しまむら(8267)、吉野家HD(9861)、カワチ薬品(2664)、クスリのアオキ(3549)がしっかりした動きを取り戻しつつあります。
主要都市では「まん延防止等重点措置」の適用が延長され、人通りは本調子ではありません。それでも日脚が伸びて桜の開花予想も届くようになり、少し明るさが戻っているようにも感じられます。
吉野家HD(9861)は2月の既存店売上げが+6.1%となり、1月の+4.0%から伸び率が上昇しました。いち早く価格引き上げを決めた昨年暮れから顧客単価の伸びが収益を支えています。
しまむら(8227)も2月は既存店売上の伸びが+5.1%となり、4か月連続でプラスを維持して堅調でした。今年は寒さが厳しかったこともあり、冬物商戦が順調に拡大したことから来店客数の伸びが支えています。コロナ以前の2019年と比較しても+7.2%の伸びを維持しました。
投資資金は守りのスタンスを強めています。このような時に拠りどころなるのは日本の内需です。日本の消費余力、内需の安定度の高さに資金が集まってくる時間帯が当面は続いてゆくように思われます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【FOMC(15~16日)が焦点に クレディ・スイス証券 白川浩道チーフ・エコノミスト語る】
日本証券新聞3月14日(月)紙面1面TOP記事掲載
ロシアのウクライナ侵攻を機に金融政策の方向性が変化
11日の日経平均は一時723.90円安。前日の972.87円高から一転しての急落となった。混迷するウクライナ情勢は相変わらずだが、それ以上に警戒されるのがインフレ率上昇だ。2月の米国消費者物価指数上昇率(7.9%)は約40年ぶりの高水準を記録した。量的緩和縮小加速を決めた10日のECB(欧州中央銀行)理事会に続いて、週明け以降15~16日に米国、17~18日には日本でも金融会合が開催される。重要イベントを控えた週末として手控えムードが一気に広がった格好だ。今後のグローバル経済や金融政策の行方が注目される局面にある。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミスト(写真)は10日夕刻のメディア向け電話セミナーで以下のように話した。
「スタグフレーションリスクが意識されている。当社では、今年の日本の経済成長率見通し2.0%の下方修正を検討中だ。ユーロ圏は既に3.8%から2.8%に引き下げた。同時にインフレ率も4.0%から6.0%に修正しており、“スタグフレーション的に組み合わせ”となった」
・・・続きは紙面・Digital版で!
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3月11日(金)☆[概況/大引け]
日経平均は527円安。停戦交渉進展せず、米物価上昇加速やロシアが事業停止や撤退判断の外資の資産差し押さえ検討も響いた
大引けの日経平均は527円安の2万5,162円、TOPIXは30ポイント安の1,799ポイント。東証1部の値上がり銘柄数は413、値下がり銘柄数は1,707。出来高は14億2,133万株、売買代金は3兆3,145億円。
ロシア・ウクライナ外相会談で停戦交渉が進展せず、米国の2月の消費者物価が前年同月比7.9%上昇と40年ぶりの高い伸びとなったことで、東証は大幅反落となった。
詳しくはコチラ