6月17日(金)のマーケット
6月16日の米国株式市場は大幅反落。スイスが15年振りの利上げに踏み切り、英国は昨年12月から5会合連続の利上げを発表した。米国では5月の住宅着工件数は年率換算で前月比14.4%減となり、6月のフィラデルフィア地区連銀業況指数がマイナス3.3と、前月のプラス2.6から低下した。マイナスは2020年5月以来。週間の新規失業保険申請件数は前週比3千件減の22万9千件となり、市場予想(21万5千件ほど減少しなかった。米国政府がイランの石油化学企業などに対し制裁を科したことで、イラン核合意の復活交渉の進展に対する期待が後退し、原油先物は反発したが、NY証券取引所では景気悪化観測からエクソン・モービルやシェブロンが売られた。消費関連のビザやホームデポも安い。NYダウは前日比741ドル(2.42%)安の29,927ドル。ナスダックも大幅下落となり、テスラやアップル、エヌビディアなどが売られた。NASDAQ総合指数は前日比453ポイント(4.08%)安の10,646ポイント。S&P500指数は前日比123ポイント(3.25%)安の3,666。
米国株大幅反落が影響し、広範囲に下落。ただし、日銀金融政策決定会合が大規模な金融緩和を維持したため、後場は下げ幅を縮めた。プライム市場ではレーザーテックと東京エレクが売られ、SUMCOは野村証券の格下げが響いた。リクルートや日本製鉄、大阪チタニウムが安い。一方、Wスコープが買われ、ファナックはGS証券による投資判断引き上げで上昇した。山崎パンや伊藤園など食品株が堅調。「県民割」の旅行先拡大で、京王や近鉄など電鉄株が買われた。
スタンダード市場では、マレーシアに新工場のフェローテックが反落し、REMIXが安い。ネクストウェアは続落。サイバーステップは戻り売りに押された。テラが買われ、ガーラが反発。Abalanceは3日続伸。増産の太陽光パネルの採算の改善で、四季報夏号の見出しは「躍進」。
グロース市場では、ANYCOLORに利食い売り。ベビーカレンダー反落。リファインバースやクックビズが売られた。一方、CANBASは大幅続伸。スポーツフィールドがストップ高。アクシージアが反発。東京通信はアプリプロデューサーのTV出演で上昇。GMOリサーチ続伸。
日足チャートでは、週初からギャップダウンで各移動平均線を下抜け。一目均衡表の雲も下抜けて下値模索の展開となった。ただ、5月安値を割り込まなかったことで底堅さも。ボリンジャーバンドのマイナス2σ近辺に到達したことで、一旦のリバウンドも想定される水準。週足では、一気に各移動平均線を下抜けて、大陰線。マーケットの様相が一転した様子が如実に表れたチャート形状となった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鈴木一之です。米国のFRBは予想されたように今年3回目の政策金利の引き上げを決定しました。予想外だったのは引き上げの幅が+0.75%まで拡大した点です。
それを待ちかねたように、世界中の中央銀行が政策金利を一斉に引き上げ始めました。先週のECBに続いて、先進国ではイングランド銀行とスイス中央銀行が相次いで政策金利の引き上げを決定しました。これほどまでに短期的、集中的に複数国が利上げを行うのは尋常ではありません。それほどまでに現在進行中の物価上昇は深刻な事態と言えます。
唯一、日銀だけは我関せずと大規模な金融緩和の継続を決定しました。あおりを受けたのが株式市場です。NYダウ工業株と日経平均はかつてほどの連動性は薄れつつあるとの見方も出初めていましたが、リスク資産を圧縮する動きが強まっており、東京市場も週初から軟調な値動きを余儀なくされました。
マネーは安全志向を強めており、安全志向の高い銘柄選びが望まれます。日本曹達(4041)や千葉銀行(8331)の株価が一貫して上昇基調をたどっているのは、年々の配当金をしっかり積み増している点が評価されているように見られます。
業績が安定していて、かつ年間の配当金が増額され続けている企業には、下落局面でも売り圧力はさほど強まらないと見られます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【為替乱高下 日経平均一時710円安】
日本証券新聞6月20日(月)紙面1面TOP記事掲載
“嵐の中銀ウィーク”通過 日銀会合の注目点は…
“嵐の中銀ウィーク”を通過した。先の米FOMC(連邦公開市場委員会)に続いて、久々に市場筋の高い関心を集めた日銀金融政策決定会合は17日午前中に終了。前夜に“マイナス金利の本家”スイス国立銀行の15年ぶり利上げなども伝えられていたが、日銀は「大規模緩和維持」を決め、従来政策踏襲となった。
事前想定通りではあるが、市場参加者は日本の事情に精通したプレーヤーばかりではない。為替相場は昨夕の1ドル=134円台から17日未明には同131円台を付ける場面があり、その後、再び134円台に戻るなど思惑主導での不安定な展開となった。
・・・続きは紙面・Digital版で!
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
6月17日(金)☆[概況/大引け]
大引けでは2万6,000円を割り込む。半導体関連が売られた。Wスコープが反発。ディフェンシブ株の食品を物色
大引けの日経平均は468円安の2万5,963円、TOPIXは31ポイント安の1,835ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は351、下落銘柄数は1,448。出来高は18億6,965万株、売買代金は4兆2,721億円。
米国株の大幅反落が影響し、広範囲に下落した。
日銀金融政策決定会合が大規模な金融緩和を維持したため、後場は下げ幅を縮めたが、大引けでは2万6,000円を割り込んだ。
詳しくはコチラ