TOP  NSJアップデート  コラム  【本日のマーケット】9月2日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿
コラム2022年9月2日

【本日のマーケット】9月2日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

9月2日(金)のマーケット                                                                   

9月1日の米国株式市場でNYダウは5日ぶりに反発。中盤過ぎまで下落していたが、2日に発表される8月の雇用統計を控え、ポジション調整による買い戻しが入り、終盤に値上がりに転じた。金融引き締めが長期化する観測の米国と金融緩和を継続する日本との違いからドル買い・円売りが続き、円相場は1ドル=140円台に乗せた。ジョンソン&ジョンソンやP&G、ファイザーなどのディフェンシブ株が買われたが、スノーフレークやセールスフォースなどのハイテク株とエクソンモービルなどの石油株は売られた。NYダウは前日比145ドル(0.46%)高の31,656ドル。ナスダックは5日続落。エヌビディアの下げが目立った。米国政府から一部GPU(画像処理半導体)製品の中国、ロシア輸出について政府承認を課したという通知があったことを明らかにした。GPUは人工知能(AI)の演算用途などに使われる半導体で、米国政府は中国やロシアで軍事用途に使用されたり、転用されたりするリスクを抑える措置を取った。NASDAQ総合指数は前日比31ポイント(0.26%)安の11,785。S&P500指数は前日比11ポイント(0.30%)高の3,966。

米国雇用統計の発表前で小幅安もみ合い。プライム市場では、三菱重工や日本製鉄、東邦チタニウムが安い。KeePer技研は8月のEXスーパーの既存店施工台数が前年同月比3%減となったことで売られた。丸和運輸機関は三菱UFJモルガンの格下げで下落。一方、Wスコープやメルカリが買われた。三越伊勢丹などの百貨店は8月売上高が好感された。米国ガソリン価格の低下による消費活発化期待で米国コンビニ事業の改善が期待されセブン&アイが上昇。

スタンダード市場では、ワークマンが8月既存店売上高が4%減で12日続落となった。クルーズはブロックチェーンゲームへの参入を発表し急伸した。トミタ電機がストップ高。大和コンは「デジタル農協プラットフォーム構築事業」が経産省のアジアDX促進事業に採択されストップ高。

グロース市場では、M&A総研が利食い売りで大幅安。メンタルヘルスが大幅反落。リサイクル関連のアミタも安い。先月末にLINEの連携を発表したプレイドは物色継続。東京通信はニンテンドースイッチ向けゲームを発表したことで買われた。アーキテクツ・スタジオはストップ高。

日足チャート上では、下ヒゲを伴う陰線。200日移動平均線(2万7,493円)が下値サポートとして期待されるところ。週足では、先週までとは一変。ギャップダウンで下放れとなり陰線を引いた。13週移動平均線(2万7,475円)が意識される水準。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

鈴木一之です。ジャクソンホールにおけるパウエル議長の講演内容は、インフレの鎮静化という目標を達成するために「やるべきことをやり続ける」というものでした。

この発言を受けて世界の株式市場は、7月以降の株価の戻り歩調が大きく修正されています。

それまで株式市場は明らかに金融政策の引き締めに対して楽観的な見方を採っていました。FRBはインフレの抑制に早い段階で成功し、金利の引き締めは早期に終止符を打つとの目算を立てていました。それが見込み違いだったことが明らかになりつつあります。

今週は軽い「世界同時株安」的な動きとなりましたが、しかし冷静に振り返ってみれば、現在の日経平均の27,500円をはさんだ水準は、6月の米国の「CPIショック」で急落した時とほぼ同じレベルです。

さらに7月に起きた「逆・CPIショック」とでも言うべき、株価急騰時の水準ともほぼ同じような位置にもあります。株価は3か月にわたって「下がって上がって」という激しい値動きを経て、ほぼ同じ水準に戻っただけということになります。その点ではここからが新たな世界の始まります。

個々の企業の経営戦略が今ほど問われている時はありません。業績に格差が開くのが「業績相場」の本丸です。日経平均は落ち着きどころを模索する時間帯が続きそうですが、個別企業への物色意欲は一段と強まることが予想されます。しっかりとその流れについてゆきたいものです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【「1ドル=140円」の投資戦略
日本証券新聞9月5日(月)紙面1面TOP記事掲載 

為替前提の保守的な企業 10月開花へ仕込み場提供

止まらない円安・ドル高。1998年8月以来の1ドル=140円乗せとなった。もっとも、アベノミクス相場以来の「円安→株高」の相関性は崩れて久しい。米国株の落ち着きと相まって小高く始まった2日の日経平均も結局、朝方の110.90円高で頭打ちとなり、小幅安に転じている。業種別指数騰落率で見ても、輸送用機器、電機、精密、機械、海運など円安メリット業種は総じて安く、皮肉なことに、値上がり上位に輸入関連の紙パルプや小売業など内需系セクターがずらりと並んでいる。それでは円安は、外需系業種にとってポジティブ材料とは言えないのか…。

みずほ証券では10%の円安・ドル高によって海外現地法人の利益が2兆円規模で膨らむと試算している。円安自体が増益要因であることに変わりはないが、足元ではむしろ、円安を促している現在の経済環境で、原材料価格高騰や米国景気懸念といったネガティブな側面に光が当てられている状況と言えよう。

・・・続きは紙面・Digital版で!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

9月2日(金)☆[概況/大引け] 

米雇用統計発表前で小幅安もみ合い。鉄鋼や非鉄が売られ、Wスコープやメルカリ、百貨店は買われた

大引けの日経平均は10円安の2万7,650円、TOPIXは5ポイント安の1,930ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は650、下落銘柄数は1,096。出来高は10億3,061万株、売買代金は2兆4,774億円。
米国雇用統計の発表を控え、日経平均は小幅安もみ合い。

詳しくはコチラ

関連記事