TOP  NSJアップデート  コラム  【本日のマーケット】2月10日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿
コラム2023年2月10日

【本日のマーケット】2月10日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

2月10日(金)のマーケット                                                                   

2月9日の米国株式市場は続落。週間の新規失業保険申請件は1万3千件増加し、19万6千件となり、市場予想の19万件を上回ったが、歴史的には低水準で労働市場は依然引き締まりを示していると受け止められた。金利オプション市場で政策金利が6%に達することに賭けた取引が増加しているため、金利が上昇し、株式が売られた。6%というターミナルレート(利上げの最終到達点)は、現状のコンセンサス予想よりも1%近く高い水準。来週14日に1月の消費者物価が発表されることも警戒要因。ディズニーは7千人の人員削減などの大規模なリストラ計画を発表したことを受けて、アクティビストとの委任状争奪戦が終了したため、株価は下落した。セールスフォースはヘッジファンド運営会社サード・ポイントが株式を取得したと報じられ上昇。NYダウは前日比249ドル(0.73%)安の33,699ドル。ナスダックでは、アルファベットやメタプラットフォームズが売られた。一方、テスラはメキシコに新工場を建設していることで買われた。NASDAQ総合指数は前日比120ポイント(1.02%)安の11,789。S&P500指数は前日比36ポイント(0.88%)安の4,081。

日経平均は前場に2万7800円台まで買われたが、後場は週末の手控えで上げ幅を縮小。東京エレクは上方修正と株式分割が好感され、ルネサスはINCJ(旧産業革新機構)から自社株を買い取ることで急騰。日本製鉄は上方修正と配当予想引き上げで上昇し、神戸鋼は業績上方修正でストップ高。大日本印刷は自社株買いの意向を示し大幅高。一方、レーザーテック、トヨタ、ソフトバンクGは売られ、三菱地所は経常利益予想を下方修正し下落。サンリオは会計不祥事で下落。

スタンダード市場では、カッシーナはTOB(公開買い付け)が発表され、買いが殺到。GCジョイコはスマートパチスロの恩恵で大幅業績上方修正を発表しストップ高。日本マクドナルドはいちよし経済研がレーティングを引き上げたことで高い。ミズホメディーは今期大幅減益予想で下落。。

グロース市場では、エッジテクが反落し、セキュアは信用取引規制で大幅安。シンバイオ製薬は今期赤字見通しでストップ安。保育所運営のAIAIは反発。エネチェンジはEV充電器設置企業と業務提携で、ストリームメディアは親会社のメタバース事業強化で上昇。

日足チャート上では、上値は2万7800円で抑えられているものの、4日ぶりの反発となり、5日移動平均線を回復。週足では実体線の短い陰線となり、コマの形状。一目均衡表の雲の上限近辺に位置。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

鈴木一之です。今回の決算発表を見て感じることは、同じ業種でも業績の違いが大きくなるケースが増えているという点です。鉄鋼セクターでは日本製鉄(5401)とJFEホールディングス(5411)は明暗がはっきりと分かれました。

エレクトロニクスでもソニーG(6758)とパナソニックHD(6752)、シャープ(6753)は業績に極端な差が出ました。電線業界の住友電工(5802)と古河電工(5801)も同様です。

このような銘柄間の格差はなぜ起こるのか、非常にむずかしい問いですが、やはりマネジメントの違いに行き着くように見えます。一朝一夕に改善するものではありません。

企業の成長の源泉はやはり人材です。優秀な人材が集まる企業と、そうでない企業との間では長期にわたって大きな差がついてしまいます。社長やリーダーの能力、人間的な魅力の部分も大きいのですが、より直接的には優秀な人材をどれほどそろえているか、それには高額の賃金を支払えるかどうかにかかっています。

賃上げを容易に実行できる企業に人も資金も集まることになります。企業の成長を決めるのはやはりその点に尽きるのだと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【神戸鋼がS高 日本製鉄は昨年来高値
日本証券新聞2月13日(月)紙面1面TOP記事掲載 

通期予想を増額修正、来期は経営環境の改善が追い風に

9日に決算を発表した日本製鉄(5401・P)が昨年来高値を更新、神戸製鋼所(5406・P)がストップ高まで買われるなど鉄鋼株が急伸。業種別指数で値上がり率トップとなった。決算ではコストやマージンの改善で、収益体質の強化が進んでいることが明らかになった。来期の収益環境が上向くと期待されるなか、素材セクターの代表格として存在感を増してゆくことになりそうだ。

日本製鉄の2023年第3四半期(22年4~12月)は売上収益が前年同期比20.6%増の5兆9,616億8,200万円、事業利益が同2.4%増の7,618億4,400万円だった。通期の売上収益は前期比17.5%増の8兆円、事業利益は同7.3%減の8,700億円を見込み、年間配当は180円(前期は160円)とする計画。今回の決算では中国のゼロコロナ政策や世界的な金融引き締めの影響で、鋼材の国際市況が低迷するなか、利益の上積みを図ったことが評価されている。同社がグループとしての実力を表すとする「実力ベース事業利益」(事業利益から在庫評価差などを控除したもの)を従来予想の6,300億円から6,900億円に上方修正している。生産出荷が落ち込むなか、マージンやコストの改善、グループ会社の収益向上などが寄与した。同社株は前日比168.5円高(6.3%高)の2,831円まで買われ、1月に付けた昨年来高値を更新した。

・・・続きは紙面・Digital版で!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2月10日(金)☆[概況/大引け] 

反発。東京エレク、ルネサス、日本製鉄、神戸鋼、大日本印刷が派手な動き。三菱地所は予想経常利益を下方修正し下落

前引けの日経平均は138円高の2万7,722円、TOPIXは7ポイント高の1,992ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は932、下落銘柄数は809。出来高は7億6,117万株、売買代金は1兆9,275億円。
日経平均は4日ぶりに反発。
東京エレクトロンが通期業績予想の上方修正と1対3の株式分割を発表したことで買われ、ルネサスエレクトロニクスは昨年4月に続き、INCJ(旧産業革新機構)から自社株買いを買い取ることを発表しため急騰した。

詳しくはコチラ

関連記事