5月9日(火)のマーケット
5月8日の米国株式市場でNYダウは反落。FRBが発表した四半期ごとの上級銀行貸出担当者調査(SLOOS)で、融資基準を引き締めた銀行の割合が上昇し、企業からの融資需要が低下していることも報告されたため、景気悪化が警戒された。こうした中、パックウエスト・バンコープは資本増強のため、四半期配当金を1株当たり25セントから1セントに減額したため、株価は上昇した。食肉のタイソンフーズは業績予想の下方修正で売られた。NYダウは前日比前日比55ドル(0.17%)安の33,618ドル。ナスダックも売られたが、押し目買いが入り、小幅続伸に持ち直した。AMDやエヌビディア、アルファベットが買われた。一方、ソフトウェア開発のアトラシアンは第4四半期の売上高見通しがアナリスト予想を下回ったことで売られた。NASDAQ総合指数は前日比21ポイント(0.18%)高の12,256。S&P500指数は前日比1ポイント(0.05%)高の4,138。
日経平均は反発。米銀融資担当者調査で貸出態度が厳格化したため8日のNYダウは反落したが、警戒されたほどきついものではないという見方で日経平均は反発。大和証券から「セルインメイ(5月に売り抜けろ)」の相場格言が今年は当てはまらないと指摘されたことも安心材料。JFEは今期計画がアナリスト予想を上回り急騰。ほぼ全面高で自動車株と商社株もリード役。日本郵船は今期大幅減益予想で後場寄りに売られたがその後下げ渋り。東邦チタは急落。
スタンダード市場では、ヘリオステクノが今期大幅増益予想で上昇。リリカラは大幅続伸。セーラー万年筆は広島サミットで各国の首脳への記念品に選定されたため一時ストップ高。イラスト制作ソフトのセルシスは第1四半期で上期計画に接近しストップ高。ワークマンは減益決算で下落。
グロース市場では、ラバブルマーケティングが子会社のチャットボットツールが複数の企業から採用されたことで物色された。オンライン接客システムのピアズは業績予想を上方修正しストップ高。ispaceは大幅続落。リッジアイやマイクロアドは利食い売りで反落した。
チャート上では寄付きがほぼ安値で、大引けもほぼ高値近辺となり、「陽の丸坊主」に近いローソク足。強い基調で徐々に上値を切り上げ、ボリンジャーバンドのプラス2シグマ(2万9,362円)に急接近となった。
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注目記事 Pick up
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【日本のM&Aの現状と課題 べイン・アンド・カンパニー 大原崇氏に聞く】
日本証券新聞5月10日(水)紙面1面TOP記事掲載
企業価値最大化に向けての“新陳代謝”に不可欠な手段
5月に入ってアステラス製薬による8,000億円規模の米バイオ医薬品企業買収が表面化。5連休明け後も、大和証券がインド金融大手との資本提携を発表したかと思えば、浜松ホトニクスの欧州企業買収を「デンマーク政府が却下」と報じられるなど、このところM&A絡みの話題が相次いでいる。世界的な大手戦略コンサルティングファーム、べイン・アンド・カンパニーで国内外のM&A支援など多彩なプロジェクトを手掛け、東京オフィスにおけるM&Aプラクティスリーダーも務める大原崇パートナー(写真)に日本のM&Aの現状や課題などについて話を聞いた。
――日本企業というととかく大規模買収が巨額減損につながる“M&A下手”の印象が残るが。
「実際、クロスボーダーの大規模案件では、古くは三菱地所の米ロックフェラーセンター買収から東芝のウエスチングハウス買収、NTTグループ各社の例など枚挙にいとまがない。単なる『高値づかみ』だけではなく、第一三共のインド後発薬買収のように『事業自体が駄目』というケースも少なくない。端的に言ってデューデリジェンス(買収企業調査)が不完全ということ。ただ、ここ1、2年ほどは大規模減損が生じていない」
――日本企業も経験値を積んできたためか。
「マクロ的にはそうとも言えるが、企業間でギャップが広がっている」
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今日の市況概況
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5月9日(火)☆[概況/大引け]
反発、ほぼ全面高。鉄鋼、商社、自動車が牽引役
大引けの日経平均は292円高の2万9,242円、TOPIXは26ポイント高の2,097ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,497、下落銘柄数は288。出来高は13億4,751万株、売買代金は3兆2,746億円。
米国でFRBが発表した四半期ごとの銀行貸出担当者調査(SLOOS)で、融資基準を引き締めた銀行の割合が上昇し、企業からの融資需要が低下していることも報告されたため、景気悪化が警戒され、8日のNYダウは小反落となった。
だが、銀行貸出担当者調査で明確な厳格化は中小銀行の2行だけのため、警戒していたほどきついものではないという見方から9日の日経平均は反発した。
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