6月2日(金)のマーケット
6月1日の米国株式市場は反発。下院が「財政責任法案」を可決したことで、債務不履行(デフォルト)回避が前進した。5月のISM製造業景況感指数は46.9と4月の47.1から悪化し、市場予想の47.0も下回った。7カ月連続で拡大・縮小の分岐点となる50を下回ったため、利上げ観測も緩和した。JPモルガン・チェースやビザが買われた。顧客管理ソフトウェアのセールスフォースは5~7月の受注残見通しを10%増としたが、アナリスト予想は11%余りの増加だったため下落した。ディスカウトストアのダラーゼネラルは通期予想を下方修正したため急落した。NYダウは前日比153ドル(0.47%)高の33,061ドル。ナスダックはエヌビディアが反発し、メタ・プラットフォームズが6日続伸。NASDAQ総合指数は前日比165ポイント(1.28%)高の13,100。S&P500指数は前日比41ポイント(0.99%)高の4,221。
日経平均は好調を継続。海外投資家による買い継続と6月FOMCでの利上げ見送り予想の台頭が好感された。AI関連のソフトバンクGが続伸となり、トヨタは5月に米中で販売が好調だったことで買われた。電気自動車関連で調整していたニデックにも買いが入った。エーザイはアツルハイマー治療薬が米国でメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)の適用対象期待で上昇。内需株の紙パルプや不動産も高い。一方、半導体関連には利食い売り。
スタンダード市場では、中期経営計画が好感されたゼネテックが前日に続きストップ高。ステーブルコイン関連のインタートレードもストップ高を継続。GMBが大幅高。多摩川HDは新規顧客から半導体試験装置を受注したことで買われた。ワークマンは既存店が2カ月連続減収で下落。
グロース市場では、Vチューバープロダクションのカバーが岩井コスモ証券の投資判断、新規「A」を好感して大幅高。政府がトラック運転手不足問題への対応で「荷待ち」時間削減を荷主に義務付けることからスマートドライブが買われた。ispaceとALiNKは反落した。
日足チャート上では、週初に3万1500円にタッチするも、高値警戒感から3万700円台まで調整。5日移動平均線を割り込み、パラボリックも4月27日以来の陰転となったが、すぐさま回復し、5日移動平均線上に浮上。パラボリックも再び陽転を示現した。週足では、長い下ヒゲを伴う陽線となりほぼ高値引け。先週から上放れとなり、非常に強い足となった。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。日本の企業が変わり始めています。今週はふたつ、印象深い動きが見られました。
ひとつは富士通(6702)です。子会社の新光電気工業(6967)の株式を売却する方針が報道ベースで伝わりました。このニュースを受けて新光電工と富士通の株価がそろって急伸する場面が見られました。グループ再編にマーケットはきわめて敏感に反応します。
もうひとつはトヨタ自動車(7203)です。2001年に子会社化した日野自動車(7205)を、ダイムラートラックの傘下に置かれている三菱ふそうトラック・バスと経営統合する方針を発表しました。
トヨタはグループ内での自力再建をいったん脇に置いて、ダイムラーグループとの共同体制を選択することとなりました。その上でトヨタ自動車はあらためて、EV・FCVを中心に据えたエコカー戦略に全力を振り向けることとなります。
ここから先は世の中の変化のスピードが音を立てて加速して行くことが想像されます。生成AIが業務の生産性を劇的に高めており、変化が遅い、変化が見えないとの評価がもっぱら固定してきた日本企業も大きく、はっきりと変わり始めています。
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注目記事 Pick up
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【“PBR1倍目標”銘柄再チェック】
日本証券新聞6月5日(月)紙面1面TOP記事掲載
株主総会、決算発表時にも求められる「有言実行」
東証が、継続してPBR1倍を割り込んでいる企業に対して改善に向けた取り組みや進捗状況の開示を要請する方針を示したのは1月26日のこと。これに呼応するかのように、大日本印刷(7912・P)が中期計画策定に向けた「基本方針」で「PBR1.0倍超の早期実現を目指します」と表明したのが2月9日。以降4カ月でPBR1倍割れ問題を取り巻く環境も大きく変わってきた。
まず大日本印刷が発表日から3月高値まで3割以上の急伸となり、実際に一時PBR1倍に到達(直近2日も0.97倍)。続いて3月24日に岡三証券グループ(8609・P)が「PBR1倍を超えるまで、年間10億円以上の自己株式取得」を打ち出し、2日間で一時28.9%高となったことが流れを決定付けたようだ。冷静に考えれば「年間10億円」のインパクトは限られるが、PBR改善に向けた“意志”を感じ取ったとも言えよう。
5月18日付本紙2面で“PBR1倍目標”を打ち出した銘柄群を紹介しているが、実際のところ、直接「PBR」を掲げたリリースを発行した東亜建設工業(1885・P)やホシデン(6804・P)のような企業は限られる。
・・・続きは紙面・Digital版で!
今日の市況概況
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6月2日(金)☆[概況/大引け]
好調を継続。ソフトバンクGやトヨタが買われ、紙パルプと不動産も高い。半導体関連は利食い売り
大引けの日経平均は376円高の3万1,524円、TOPIXは33ポイント高の2,182ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,662、下落銘柄数は141。出来高は13億4,221万株、売買代金は3兆5,210億円。
日経平均は好調を継続。海外投資家による買い継続に加えて、米国で6月13日~14日に開催されるFOMCについて、利上げが見送られるという予想が増えていることが好感された。
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