7月10日(月)のマーケット
7月7日の米国株式市場は3日続落。6月の雇用統計は強弱入り混じる内容だったが、FRBの見通しを大きく変えるほど軟調ではなかったという見方から、金融引き締めが長期化すると意識された。非農業部門雇用者数は20万9千人増で、市場予想の22万5千人増を下回り、失業率は3.6%と前月の3.7%から低下し、市場予想と一致した。だが、黒人の失業率は6月に6.0%と5月の5.6%から悪化し、10カ月ぶりの高水準となった。黒人労働者は景気低迷時に最初に解雇される傾向があるため、景気後退を警戒する見方もある。一方、時間当たり賃金は前年同月比4.4%上昇で、5月と同水準となり、市場予想の4.2%上昇を上回ったため、インフレ圧力の鈍化には時間がかかると受け止められた。これらを受けて、NYダウは3日続落で始まったが、バイデン大統領が自らの経済政策「バイデノミクス」が効果を発揮していると述べたため、中盤に上昇した場面もあった。しかし、シカゴ連銀の総裁が高すぎるインフレを抑えるには年内にあと2、3回の利上げが必要になるとするFRB当局者の見方に反対しないと述べたため、取引終了にかけて再び売られ、下げ幅を拡大した。NYダウは前日比187ドル(0.55%)安の33,734ドル。ナスダックも上昇。ナスダックではコストコやバイオジェン、ネットワークセキュリティのパロアルトネットワークスが下落し、電気自動車のリビアン・オートモーティブは8日続伸となった。NASDAQ総合指数は前日比18ポイント(0.13%)安の13,660。S&P500指数は前日比12ポイント(0.29%)安の4,398。
ETF分配金の捻出売りが警戒され日経平均は5日続落。半導体関連と海運株は売られ、安川電機は第1四半期の受注が前年同期比18%減で下落した。一方、良品計画は3~5月期好決算でストップ高となり、メルカリはジェフリーズ証券が収益性の改善を予想したことで高い。そのほか、ソフトバンクGやりそなが買われ、家電量販店のコジマは猛暑への期待からか大発会に付けた年初来高値を更新した。「ギガキャスト」でリョービが大幅高となった。
スタンダード市場では、エコーTDが第1四半期好決算でストップ高。原発処理水関連の環境管理センターはストップ高。PKSHAは丸三証券が新規に「買い」判断を発表し上昇。ミタチ産業は今期減益・減配予想で急落した。シーズメンが大幅安。ヘリオステクノは4日続落となった。
グロース市場では、カルナバイオが米国特許査定で大幅高。「スレッズ」活用支援サービス関連のラバブルマーケは大幅続伸。サマンサJPが高い。一方、海帆は連日のストップ安。オンコリスバイオは第三者割当による新株予約権発行を発表しストップ安。スマートドライブが急落。
チャート上では、上下にヒゲを伴う陰線。ダブルトップのネックラインを割り込み、もう一段の調整が想定される水準。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ESG投資は好リターン!?】
日本証券新聞7月11日(火)紙面1面TOP記事掲載
GPIFが論文調査、7割が肯定 株式好調で積立金200兆円突破
世界的にESG(環境・社会・ガバナンス)投資の存在感が大きくなる一方、リターン面で有効か疑問視する見方も出ている。こうした中、ESG投資を推進しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、関連する学術研究の7割が超過リターンを肯定しているとの調査結果を公表した。GPIFは7日、業務報告を発表。昨年度はプラス1.5%の収益を上げ、積立金残高は初めて200兆円を突破している。GPIFの好成績もESG投資推進の裏付けとなりそうだ。
世界持続的投資連合(GSIA)によると、2020年の日本のESG投資残高は2兆8,740億ドルと、16年の4,740億ドルから急増した。ただし、世界の35兆3,010億ドルに比べるとまだ少ない。
GPIFは投資先企業の価値、ひいては資本市場全体の持続的・安定的成長のためにESG投資に注力。8つのESG指数を選定し、12兆1,000億円(21年)のESG投資を行っている。中期計画ではESG投資の調査研究を掲げ、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーに委託して関連文献を調べた。
・・・続きは紙面・Digital版で!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
7月10日(月)☆[概況/大引け]
ETF分配金捻出売り警戒で5日続落。半導体関連と海運、安川電機が売られ、良否計画はストップ高
大引けの日経平均は198円安の3万2,189円、TOPIXは11ポイント安の2,243ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は932、下落銘柄数は814。出来高は15億1,531万株、売買代金は3兆6,945億円。
ETF(上場投資信託)の分配金の捻出の売りが警戒され、日経平均は5日続落となった。
詳しくはコチラ