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コラム2023年7月28日

【本日のマーケット】7月28日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

7月28日(金)のマーケット                                                                   

7月27日の米国株式市場でNYダウは14日ぶりに反落。メタ・プラットフォームズの決算や4~6月期GDP、週間失業保険申請件数、6月の耐久財受注と中古住宅仮契約指数を受けて、NYダウは一時125ドル高となったが、高値警戒感から利益確定の売りが出た。好調な経済指標を受けて、金利が上昇したため高PER銘柄のテクノロジー株がられ、ITサービスのサービスナウやAI関連のシースリー・エーアイが売られた。バイオ医薬品のアッヴィは通期業績予想を上方修正したことで買われた。NYダウは前日比237ドル(0.67%)安の35,282ドル。ナスダックは続落。メタ・プラットフォームズは買われたものの、テスラやマイクロソフト、ネットフリックスが安い。NASDAQ総合指数は前日比77ポイント(0.55%)安の14,050。S&P500指数は前日比29ポイント(0.64%)安の4,537。

日銀が国債買い入れの指値オペを0.5%から1%に引き上げたことが予想以上にタカ派という見方で、日経平均は一時3万2000円に接近したが、大引けにかけて急速に戻した。決算発表を受け、ルネサスやキヤノン、富士通、オムロンが下落。デンソーは通期業績予想の上方修正と株式分割を発表したが、第1四半期がアナリスト予想に届かず、自社株買いの発表もなかったことで下落。金利上昇で不動産と電力ガスと鉄鋼が売られたが、銀行と保険は上昇。

スタンダード市場では、不動産DX関連のSpeeeがストップ安となり、粉末冶金部品メーカーのファインシンターは第1四半期が赤字決算で大幅安。グローバルダイニングは通期業績予想を上方修正したことでストップ高。伊勢化学はヨウ素の販売価格上昇による上期好決算で買われた。

グロース市場では、Vチューバー事務所のカバーや洋服レンタルのエアークローゼットが売られ、M&A総研と転職サービス「ビズリーチ」のビジョナルも安い。カルナバイオが買われ、IoT関連のアプリックスは光通信による保有判明で上昇。ログリーはマイクロアドと提携でストップ高。

日足チャート上では、長い下ヒゲを伴う陽線。日中値幅が800円以上あったが、大引けでは25日移動平均線(3万2733円)を維持しており、5日移動平均線とのゴールデンクロスも示現。パラボリックも陽転を維持して踏みとどまった格好。週足では長い下ヒゲを伴う陽線。先週よりも上方に位置しており、13週線にもサポートされている。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。中央銀行ウィークと呼ばれた今週は、マーケットでも最後の最後まで気の抜けないホットな展開となりました。

米国のFOMCはほぼ波乱なく通過しましたが、日銀サイドから大きな動きが見られました。7月28日(金)の金融政策決定会合において、焦点であるイールドカーブ・コントロール(長期金利の操作)の修正を決定しました。

問題はここからです。週末の時点では急激な変化への対応が優先されたため、ネガティブな反応が勝っていました。しかし来週もこの流れが続くのか、それはまだ決め打ちはできません。

昨年暮れまでは、日銀によるこのような政策変更の可能性を、名だたるヘッジファンドは日本国債への売りポジションを保持して待機していたはずです。しかし現在はそのようなポジションはそれほど感じられません。植田日銀のスタンスはそれほど強固と見られていました。

それがあっさり転換された影響は別のサプライズをもたらすはずですが、日銀も物価抑制のスタンスを強め始めたのか、その見極めが必要となりそうです。円高・円安に対して過度に反応することなく、経営改革に向かい始めた日本企業の実力を評価する動きを期待したいところです。

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注目記事 Pick up
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【一時853円安 日銀サプライズ再び 
日本証券新聞7月31日(月)紙面1面TOP記事掲載 

126年ぶりダウ14連騰砕いた!?“深夜の報道”

無風一転、日銀会合。深夜の日経報道が内外金融市場を揺らした。「日銀、金利操作を柔軟運用 上限0.5%超え容認案」。長期金利操作の上限を0.5%に据え置きつつも一定程度の超過を認めるというものだ。

先日のロイター、ブルームバーグ報道などから「YCC(長短金利操作)変更なし」がコンセンサスとなっていた分、意表を突かれた格好。28日午前2時過ぎに報じられると一気に2円幅の円高・ドル安に振れ、日経平均先物も急落となった。興味深いのはニューヨークダウ。米国東部時間午後1時時点で約120ドル高だったものが、1時2分を日中高値にほぼ右肩下がりの急落に転じている。予想を上回った米実質GDPやメタ好決算もあっただけに、日銀報道なかりせば、ダウ構成銘柄が30となった1928年以降初、1897年以来の14連騰となっていたのかもしれない。

一夜明けた東京市場でも、株安・円高・債券安(金利高)基調が進んだ。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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7月28日(金)☆[概況/大引け] 

指値オペ1%はタカ派だが、なだめ役の「共通担保資金供給オペ」も追加されたため大引けにかけて下げ幅を縮めた

大引けの日経平均は131円安の3万2,759円、TOPIXは4ポイント安の2,290ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は758、下落銘柄数は1,020。出来高は24億5,633万株、売買代金は5兆7,000億円。
日銀金融政策決定会合について、事前の観測報道で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)は、上限の0.5%を一定程度超えることも容認する案が浮上していると報じられた。
実際に決定会合ではその通りになったが、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用で、毎日行われている10年物国債に対する指値オペの利回りが、これまでの0.5%から1.0%に引き上げられたことは、予想以上にタカ派と受け止められた。金利上昇を受け、日経平均は売られ、一時、853円安の3万2,037円となった。

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