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コラム2023年8月18日

【本日のマーケット】8月18日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

8月18日(金)のマーケット                                                                   

8月17日の米国株式市場は3日続落。8月のフィラデルフィア地区連銀製造業業況指数は12.0と、前月のマイナス13.5から急上昇し、市場予想のマイナス10.0を覆した。堅調な消費者需要を背景に新規受注が急増した。これを受けて、主要3指数は反発して始まったが、金利上昇とウォルマートの下落が影響し、買い一巡後に下落に転じた。ウォルマートは通期予想を上方修正したことで上昇して始まったが、売上高の伸びがアナリスト予想に届かなかったため、買い一巡後は下落した。カリフォルニア州の医療保険組合であるブルー・シールド・オブ・カリフォルニアが、薬局給付管理をCVSヘルスからアマゾンのシステムに切り替えたため、CVSヘルスは売られた。NYダウは前日比290ドル(0.84%)安の34,474ドル。ナスダックではメタ・プラットフォームズが売られた。ロンドンのシンクタンクの「戦略対話研究所」は、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」がフェイスブックやインスタグラムで戦闘員を勧誘していたのに、運営するメタ社が適切な措置を取っていなかったとの調査結果を発表した。シスコシステムズは、CEOが自社株買い拡大に取り組む方針も示したことや、大規模なクラウドコンピューティングサービス・プロバイダーである「ハイパースケーラー」と共に前進してきたとし、生成AI(人工知能)の急成長を好機にしていると述べたことで買われた。NASDAQ総合指数は前日比157ポイント(1.17%)安の13,316。S&P500指数は前日比33ポイント(0.77%)安の4,370。

中国恒大集団が米連邦破産法15条の適用申請。米国内での強制的な資産差し押さえ回避が目的なので、再建への取り組みという見方から、日経平均は安寄り後に戻したが、後場は調整した。中国不動産市況悪化に伴い訪日需要の減退懸念で百貨店が安く、中国関連の安川電機も売られた。一方、米AMATの第4四半期見通しを受け半導体関連は小じっかり。三菱重工はみずほ証券が格上げ。政府が後発薬の普及金額目標の新設で東和薬などが買われた。

スタンダード市場では、中国不安でインバウンド関連のコメ兵とラオックスが売られた。低価格が強みの衣料品ECの「SHOPLIST」を運営しているクルーズは、タワー投資顧問の保有株比率低下で急落した。Abalanceは延期した決算発表を前倒しするため買い戻しでストップ高。

グロース市場では、PアンチエイジとAimingとHANATOURが大幅安。モンスターラボは7日続落。カバーは6日ぶりに反発し、Laboro.AIが再び買われた。jig.jpは14日の決算発表を受けて上昇が継続。JDSCはメールカスタマーセンターの子会社化でストップ高。

日足チャートでは、週前半は3万2600円台となる場面も見られたが、ギャップダウンで75日移動平均線を下抜けて3万1200円台まで。ボリンジャーバンドのマイナス3シグマまで急接近する場面もあったが、反発力は鈍かった。週足では上下に短いヒゲを伴う大陰線。13週移動平均線(3万2334円)を下抜けて、調整色が色濃くなってしまった。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。台風7号の襲来、中国経済の悪化、米国の銀行格下げ、長期金利の上昇、円安と、お盆休みの今週は騒然とした1週間となりました。

不安定きわまりないマーケットの中で、心の拠りどころとなったのが企業業績です。日本では3月決算企業の第1四半期の決算発表がほぼ出そろいました。

日本経済新聞がプライム上場の3月期決算企業(1167社)を集計したところ、売上高は+8%増の184.1兆円、純利益は+50%増の12.6兆円に拡大することとなりました。2年ぶりの最高益更新です。

牽引役は経済再開が恩恵をもたらす非製造業です。値上げの浸透する電力、金利上昇がメリットとなる銀行、インバウンドも含めた消費好調の小売セクターが明るさを増しています。

一方で製造業はエレクロニクス、化学、非鉄などは中国経済の鈍化が重荷となりつつあります。半導体の調達が徐々に回復している自動車および機械セクターは、円安もあってようやく展望が開けるようになりましたが、それだけを好感するわけにはいきません。

原材料価格の上昇をどこまで価格に転嫁してゆくことができるのか。製造業・非製造業を問わずその点がここからの最大の問題です。日本が本当にデフレ経済から脱出できるかどうか、ここからはその一点が問われることになります。

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注目記事 Pick up
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【逆張り多い、既存の個人投資家
日本証券新聞8月21日(月)紙面1面TOP記事掲載 

NISAで拡大の初心者層とは逆? 投信協会調査

日本の個人投資家は欧米に比べて逆張りが多いことが、投資信託協会の調査で分かった。市場で言われていることが、データとしてあらためて示された。一方で長期投資の意識が弱く、新しく投資を始める人の参考にはなりにくいと指摘している。現行のつみたてNISA(少額投資非課税制度)や、来年スタートする新NISAで長期投資を目的にした未経験者層の参入が増えていく。既存の個人投資家層が拡大するのではなく、新しいタイプの投資家が出てくるといえそうだ。

投信協会では1998年~2022年の上場株式の時価変動と資金流出入を調べたところ、負の相関となっており10年以降強くなっていた。すなわち、市場の値上がり時に売却し、値下がり時に購入する「逆張り」傾向が強くなっている。投信はやや順張り(値上がり時に購入、値下がり時に売却)になっているものの、近年は弱まっており、株式と投信の合計で見ると10年以降に逆張りの傾向が強くなっていたことが分かった。一方、米国や英国では「逆張り」の傾向は見られなかった。つまり、日本の個人投資家独特の動きといえる。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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8月18日(金)☆[概況/大引け] 

後場は再び調整。中国不安でインバウンド関連が下落。ジェネリック医薬品は厚労省の金額目標新設で買われた

大引けの日経平均は175円安の3万1,450円、TOPIXは15ポイント安の2,237ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は334、下落銘柄数は1,449。出来高は11億9,796万株、売買代金は2兆8,832億円。
中国の不動産開発会社、中国恒大集団が米国で連邦破産法15条の適用を申請した。
米国内での強制的な資産差し押さえを回避することが目的なので、再建への取り組みという見方から、日経平均は安寄り後に戻した。上海株が当局の政策期待を下支えに小幅続伸で始まったことも不安心理を後退させた。
しかし、上海株がその後は小幅安となったため、日経平均も後場は再び調整した。

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