9月1日(金)のマーケット
8月31日の米国株式市場でNYダウは5日ぶりに反落。NYダウは買い先行で始まったが、翌日の8月雇用統計の発表を控え、利益確定の売りに押された。ディスカウントストアのダラー・ゼネラルは業績予想を下方修正し大幅安となった。一方、ショッピファイは加盟店でアマゾンの「Buy With Prime」が利用できるようになったことで大幅高となった。NYダウは前日比168ドル(0.48%)安の34,721ドル。ナスダックは5日続伸。アマゾンやブロードコム、クラウドストライクが買われた。ビットコインの下落を受け、コインベースは売られた。NASDAQ総合指数は前日比15ポイント(0.11%)高の14,034。S&P500指数は前日比7ポイント(0.16%)安の4,507。
月初の資金流入で上昇。メガバンクは住宅ローン金利の引き上げで買われ、ソニーGはプレイステーションプラスのサブスク料金値上げで上昇。海運株は低PBRで高配当利回りのため物色継続。鉄鋼株は鉄鉱石と原料炭が2四半期連続で値下げとなったことを好感。四電工は配当性向を引き上げ、増配予想の増額を発表したため、急騰した。一方、先駆した半導体関連は値下がりとなり、アインHDは入札妨害の疑いで子会社社長らが逮捕され急落した。
スタンダード市場で、業務ソフト開発のHCSはビジネスコンサルティングのLTSがTOB(株式公開買付)を発表し買い殺到。セイファートは美容師向け求人情報サイトに新機能を発表しストップ高。ポエックは養殖設備用冷却装置の利益増加でストップ高。大和重工は信用取引規制で下落。
グロース市場はさえない展開。アクアラインは利食い売りに押され、TrueDataは反落。INFORICHは続落となり、バイオベンチャーのステムリムは年初来安値。一方、I-neはプライム市場へ昇格が決まり大幅高。サンバイオは再生細胞薬の収量改善で買われた。
日足チャートでは、5日・25日・75日の各移動平均線を上抜きジリ高の展開。8月2日以来の一目均衡表の雲抜けを示現しており、景色も変わってきた。週足では上下に短いヒゲを伴う陽線。13週移動平均線(3万2,479円)を上抜き、3万3000円台が視野に入ってきた。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。8月29日(火)、トヨタの工場停止のニュースが飛び込んできました。朝からシステム障害によって国内12か所の工場の稼働を順次停止しているとのことです。
昨年3月にトヨタ傘下のプレスメーカーのシステムがハッキングされ、今回と同じように工場の稼働が停止するという事態がありました。今回も同じようなことが繰り返されるのかと、マーケットのみならず日本全体がこのトヨタの工場停止に神経をとがらせる結果となりました。
幸いにしてハッキングではなく、単にシステム不具合にとどまった様子で、翌日から停止されていた工場が順次再開されることとなり、心配は杞憂に終わりました。
それが8月30日(水)の夕方、またもやトヨタ発のニュースで市場は一変して沸き返りました。今年のトヨタグループの生産台数が1000万台の大台を初めて超えて、前年比1割増の1020万台となる計画をまとめたとの報道が伝わりました。コロナ前の2019年に記録した過去最高の905万台を大幅に更新することになります。
年初来高値を更新する企業が続出しています。日経平均の水準で得られる位置感覚よりも、体感温度で測る相場の熱気はかなり高まっています。
今年度最初の決算発表を通過して、先進国のインフレ対策も目星がつくようになりました。ここに至って株式市場は新たな動きを再開したような感触です。早晩、日経平均も動き出してくることでしょう。
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注目記事 Pick up
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【低PBR銘柄のリターン圧勝】
日本証券新聞9月4日(月)紙面1面TOP記事掲載
ROE8%以上でさらに上昇 三井住友DSアセットが検証
3月31日に東証がPBR1倍割れ企業に改善に向けた対策を開示するよう要請を行って、市場の注目の的になってから5カ月。この間、TOPIX構成銘柄のうち、PBR1倍割れ銘柄の平均リターンが、1倍以上の銘柄を大きく上回っていたことが、三井住友DSアセットマネジメントの調べで、分かった。さらに、PBR1倍割れでROE(自己資本利益率)8%以上をスクリーニングすると、抜群のパフォーマンスになった。
3月31日~8月25日までの騰落率を調査した。3月31日時点でPBR1倍割れ銘柄のリターンは13.9%と、1倍以上銘柄の4.9%を大幅に上回った。日経平均の12.8%にも勝っている。これにROE8%以上の条件を加えると、上昇率は18.5%にも上った。ROE8%は経済産業省のレポート(伊藤レポート)で資本コストを上回る目安として推奨されており、割安かつ企業価値が向上している銘柄を選定できることになる。三井住友DSアセットは6月も同様の調査を行ったが、パフォーマンスの差はさらに広がった。
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今日の市況概況
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9月1日(金)☆[概況/大引け]
月初の資金流入で前場はジリ高となったが、米雇用統計発表前で後場は伸び悩んだ
大引けの日経平均は91円高の3万2,710円、TOPIXは17ポイント高の2,349ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,452、下落銘柄数は332。出来高は13億1,819万株、売買代金は3兆2,854億円。
月初の資金流入を背景に前場はジリ高となったが、米国雇用統計の発表を控え、後場は伸び悩んだ。
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