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コラム2024年5月31日

【本日のマーケット】5月31日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

5月31日(金)のマーケット                                                                   

5月30日の米国株式市場は続落。クラウドベースの顧客管理(CRM)ソフトのセールスフォースは、5~7月(第2四半期)の売上高見通しを最大8%増の92億5,000万ドル(約1兆4,600億円)と発表した。売上高伸び率が四半期として、上場企業となったこの約20年で初の1桁台となることで株価は2割下落した。NYダウ30種平均で上昇銘柄数は22で、下落銘柄は8だったが、セールスフォースの急落が響き、NYダウは下落した。NYダウは前日比330ドル(0.86%)安の38,111ドル。ナスダックではエヌビディアが5日ぶりに反落した。NASDAQ総合指数は前日比183ポイント(1.08%)安の16,737。S&P500指数は前日比31ポイント(0.60%)安の5,235。

政府が公務員年金など100兆円規模の公的マネーを積極運用に回すと報じられ、日経平均は上昇。電力株が反発し、メガバンクや任天堂、日立、リクルートが高い。関西ペイントは大規模自社株買いの発表を好感。金利上昇で下落していた不動産株にも買いが入った。サイボウズは値上げ発表で高い。ゴールドマン・サックスがノボ・ノルディスクを新規「Buy」と発表し、大阪ソーダに連想買い。米デルが時間外取引で売られたため東京エレクなど安い。

スタンダード市場では、コンテナ運賃の上昇を受けて建造意欲の高まりが期待され、名村造船が大幅高。ペロブスカイト型太陽電池関連の伊勢化学が再び物色された。京極運輸は連日のストップ高。不動産DX関連のSpeeeがストップ高。アルファが反落し、日本電子材料は3日続落。

グロース市場では、Vチューバー関連のカバーが急反発し、人工知覚関連のKudanが大幅続伸。政府の宇宙開発戦略本部の会合を受けてQPS研とispaceが買われた。バイオ関連のヘリオスはSBI証券が投資判断を引き上げた。クオリプスとアスタリスクは利食い売りで反落。

日足チャート上では、下抜けした25日移動平均線をかろうじて回復して週末を迎えた。急落場面ではボリンジャーバンドのマイナス2シグマがサポートの形となった。来週は一目均衡表の変化日を迎えるだけに、“雲抜け”を期待したいところ。週足では長い下ヒゲを伴う実体線の短い陰線。下向きになった13週移動平均線(3万8889円)に頭を抑えられる展開が続いた。月足では長い上ヒゲを伴う陽線。上値の重い5月相場となった。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。5月相場も最終週を迎えました。

5月相場は上値の重い展開が続きました。月足のローソク足では陽線ながら長い上ヒゲを伴っており、その様がうかがえます。4月に今年初めて月間マイナスを記録したばかりですが、その流れを払拭することは出来ませんでした。

その一方で、アクティビストの動きは一段と活発化しています。最近では帝人(3401)が久々にマーケットの話題を集めました。オアシス・マネジメントが帝人の株式を大量取得しているとのニュースが市場を駆け巡っています。

帝人は脱硫装置、炭素繊維、ポリカーボネートフィルム、骨折治療器具など、数々の有力製品を持っているのですが、肝心の利益の成長が継続しません。それゆえにアクティビストの格好の投資対象となってしまいます。

そういう企業が日本には実に多いのです。週末には米国のダルトン・インベストメンツがフジ・メディアHD(4674)に対してMBOを求める書簡を送りつけたことが明らかになりました。資産を売却してリストラを進めれば企業価値が向上する、との見立てです。

日本には埋もれている掘り出し物がまだまだたくさんあるはずです。金利水準と円安に翻弄されている間に、海外勢は日本の価値ある企業を次々とすくい取ってしまいます。私たちもそのような動きに少しでもついてゆかなくてはなりません。

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注目記事 Pick up
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【話題集める「株主提案」銘柄】
日本証券新聞6月3日(月)紙面1面TOP記事掲載 

名実6月入りで総会ムード高揚へ

東証サイトの「3月期決算会社株主総会情報」を見ると、各社の「総会資料の電子提供開始日」や「招集通知発送予定日」が記載されている。前者は、各社サイトで招集通知などの総会資料が閲覧できるようになる日。5月31日現在では、2,106社中1,170社(55.5%)が開示済みとなったもよう。後者で、紙での招集通知郵送はまだこれから(31日現在で323社)ながら、それも6月第1週だけで1,311社が予定され、週明け以降は総会ムードが一気に高まってくることになりそうだ。

総会といえば、かつてなら元日産自動車のカルロス・ゴーン氏やソフトバンクグループ・孫正義氏の立会中の発言が株価材料として話題を集めたこともあり、何かと注目の的となるが、近年の焦点は急増してきた株主提案議案の動向だろう。適時開示情報閲覧サービスで開示された株主提案関連のリリースは5月14~30日で延べ57社に達したが、このところ件数も減って、そろそろ一巡の気配か。本紙では9日付、15日付と2回にわたって、企業側、株主(アクティビスト)側双方による開示やメディア報道も含めて株主提案の寄せられた計36銘柄を紹介したが、今回は第3弾として、新たに37銘柄を表に示した。ここまでで73銘柄。最終的には、総会の招集通知をチェックするほかないわけだが、細かい銘柄も含めれば、実際には100社を超えている可能性もありそう。

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今日の市況概況
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5月31日(金)☆[概況/大引け] 

MSCIリバランスの資金流出に買い向かう動きで売買代金は7.7兆円。UBSではコーポレートガバナンス改革は第2段階へと解説

大引けの日経平均は433円高の3万8,487円、TOPIXは46ポイント高の2,772ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,512、下落銘柄数は118。出来高は29億8,398万株、売買代金は7兆7,612億円。
政府が公務員年金など100兆円規模の公的マネーを積極運用に回すと報じられたため、日経平均は上昇した。
半導体関連が下落したため、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めたが、後場は騰勢を拡大した。
自社株買いが高水準となっていることや、MSCI指数の銘柄入れ替えに伴い大引けで約1,950億円の資金流出となると予想されているが、金利上昇を受けて5月下旬は調整していたため、買い戻しが入ったことやリバランスに伴い売られる銘柄を買うチャンスと待ち構えた動きも後場の上昇要因とみられている。

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