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コラム2024年7月12日

【本日のマーケット】7月12日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

7月12日(金)のマーケット                                                                   

7月11日のNYダウは続伸。S&P500とナスダックは8日ぶりに反落。6月の消費者物価指数が前月比0.1%低下となり、前月比で2020年5月以来のマイナスとなった。市場予想は0.1%上昇だった。前年同月比では3.0%上昇となり、5月の3.3%上昇から鈍化し、市場予想の3.1%上昇を下回った。NYダウは前日に429ドル高となったため利食い売りで反落して始まったが、FRBによる9月の利下げ期待ですぐに切り返し、一時154ドル高となった。しかし、ハイテク株が売られたことが重石となり、上げ幅を縮めた。利下げ期待でホームセンターのホームデポや小売のターゲットが買われた。NYダウは前日比32ドル(0.08%)高の39,753ドル。一方、利食い売りでエヌビディア、メタ・プラットフォームズが下落し、ナスダックは反落となった。テスラは8月に予定していた自動運転タクシー「ロボタクシー」の発表を10月に延期すると報じられ、下落した。また、日銀による為替介入と見られる急激な変動で、円相場は一時1ドル=157円44銭となった。NASDAQ総合指数は前日比364ポイント(1.95%)安の18,283。S&P500指数は前日比49ポイント(0.88%)安の5,584。

プライム市場は、米ハイテク株安と日銀による為替介入とみられる急激な為替変動、3連休前のポジション調整で日経平均は1000円超の下落。ただ、プライム市場全体では上昇銘柄数の方が多かった。ディスコや東京エレクなどの半導体関連が下落。セブン&アイは減益決算で安い。米国の9月利下げ観測からドル安円高となり、日銀が7月会合で追加利上げの可能性が低下という見方で保険と銀行も安く、不動産と建設は買われた。円高メリットのニトリが上昇。

スタンダード市場では、AI関連のPKSHAが買われた。オリンピック期間中はサイバー攻撃が増えるという見方からサイバーセキュリティー関連のアズジェントがストップ高。プライムストラテジーは米国で特許査定を受けストップ高。フィルカンパニーは大幅反落、リベルタは続落。

グロース市場では、Vチューバー事務所のカバーが買われ、AI関連のトリプルアイズとファーストアカウンティング、AVILENが物色された。シンバイオ製薬は抗ウイルス薬の提供先のペンシルべニア州立大学医学部がマウスでウイルス産生抑制効果を論文発表。VRAINが安値更新。

日足チャート上では、大陰線を引きほぼ安値引け。ギャップダウンとなり、5日移動平均線(4万1521円)を下抜けた。酒田五法では捨て子線と呼ばれており、今回の形状は“変化の要点”でエネルギーが燃え尽きた形とされる。また、捨て子線は大暴落の兆しとも記されている。上昇過程で継続していたボリンジャーバンドのプラス2シグマのバンドウォークも終了となった。週足では長い上ヒゲを伴う陽線。ボリンジャーバンドのプラス2シグマ(4万1519円)で頭打ちとなってしまった。急騰を演じていただけに一旦の調整局面か。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。先週のTOPIXに続いて、今週は日経平均が史上最高値を更新しました。

心配されたフランスの下院選では、最後の最後に民意が極右勢力の躍進を押しとどめ、財政赤字の悪化はひとまず回避され世界の長期金利は低下に向かいました。

百年ぶりのパンデミック、コロナ禍をはさんだことによって世界のマーケットがより一体化して動いています。世界の人々が注視しているのはいまや米国の金利動向だけという状況です。FRBの金融調節もかつてなくむずかしくなっていますが、パウエル議長は今週の議会証言も無難に通過しました。

株価が高値を更新し続けたこの2週間近く、気がつけばアクティビストの登場は控えられていたように思います。

それ以前、まだ日経平均やTOPIXが保ち合い相場を続けていた6月中旬ごろまでは、連日のようにアクティビティストの大量保有がマーケットを賑わせていました。

市場全体に上昇基調の動きが生じると、アクティビストの活躍は止まります。そうなると市場全体の動きが止まったら、今度はアクティビストの動きが活発化することになるのでしょうか。

史上最高値を更新するまでの株高をもたらしたのは海外投資家です。彼らの視点に立った銘柄選別が必要になるように思います。

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注目記事 Pick up
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【1,033円安 円高恩恵株は逆行高】
日本証券新聞7月16日(火)紙面1面TOP記事掲載 

米CPIに乗じた為替介入?で局面一変

焦点の11日米CPI(消費者物価指数)発表は一段のインフレ鎮静化を示唆する結果となったものの、米ハイテク株安と、為替介入によるものとも観測される「想定外の円高・ドル安」がダブルショックに作用。12日の日経平均は1,033.34円安となる波乱に見舞われた。

と言っても、東エレク&ファーストリテの下落寄与度が計442円。上位4銘柄なら647円に達するなど、実際には先物主導による、これまでの急伸展開の反動といった面が強いようだ。プライム市場の上昇銘柄が1,020を数えるなど、「大幅安」の状況では全くない。業種別指数の騰落状況がこの日の相場を象徴している。

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今日の市況概況
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7月12日(金)☆[概況/大引け] 

日経平均は1,033円安だが、プライム市場では上昇銘柄数の方が多い

大引けの日経平均は1,033円安の4万1,190円、TOPIXは34ポイント安の2,894ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,020、下落銘柄数は574。出来高は18億3,255万株、売買代金は5兆2,369億円。
米国ハイテク株安と日銀による為替介入と見られる急激な為替変動に加えて、3連休前のポジション調整で日経平均は1,000円超の下落となった。
ただ、プライム市場全体では上昇銘柄数の方が多い。

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