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コラム2024年7月26日

【本日のマーケット】7月26日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

7月26日(金)のマーケット                                                                   

7月25日の米国株式市場でNYダウは反発したが、ナスダックは3日続落。4~6月期の実質GDPが前期比年率換算で2.8%増となり、1~3月期の同1.4%増から拡大し、市場予想の2.1%増を上回った。NYダウは中盤に584ドル高となったが、26日に発表される6月の個人消費支出(PCE)デフレーターが意識され、後半は伸び悩んだ。S&P500とナスダックも中盤は高かったが、後半は売られた。NY証券取引所では、サービスナウとIBMが決算で買われた。IBMは人工知能(AI)事業の受注が急増したことが好感された。一方、フォードは旧型車の保証修理費用の急増が響き4~6月の利益がアナリスト予想を大きく下回ったため急落した。NYダウは前日比81ドル(0.20%)高の39,935ドル。ナスダックは3日続落で、エヌビディアとAMDが3日続落。テスラは反発。マスク最高経営責任者(CEO)が、テスラから自身が率いる人工知能(AI)新興企業「xAI」に50億ドル(約7,700億円)を投じる方針を明らかにした。AI開発強化により自動運転技術の発展につなげることが狙い。NASDAQ総合指数は前日比160ポイント(0.93%)安の17,181。S&P500指数は前日比27ポイント(0.51%)安の5,399。

円相場は欧州の序盤に1ドル=151.94円となったが、5月3日の151.86円がサポートとして働き、米国GDPを受けてNYダウが上昇したため、リスク回避姿勢が後退し、ドル買いが入った。1ドル=153.94円。

日経平均は8日続落。前場は値ごろ感からの買いで反発したが、台湾で台風による2日間の休場から取引が再開されたTSMCが大幅安となり、米国NASDAQへの悪影響が警戒されたため、後場はもみ合いとなり、終盤は下落した。東京エレクなど半導体関連株の調整が継続し、日産は大幅減益で売られた。一方、防衛関連の三菱重工は反発。キヤノンは業績上方修正で約16年ぶりの高値となり、富士通とNRI、日野自は第1四半期決算が好感され大幅高。

スタンダード市場では、25日の「活字文化フォーラム」で街の書店の減少について斉藤経産相が「危機感を持っている」と述べたため、文教堂が買われた。ジースリーHDはプラントライフシステムズとの合弁会社を発表し上昇。メディアリンクスは赤字決算で売られ、日本パレットは減益決算で急落。

グロース市場では、サンバイオは米国で細胞治療に関する特許が成立しストップ高。セルシードは反発し、お金に関する情報プラットフォームのポストプライムは9日ぶりに反発した。Amaziaは5日ぶりに反発。ELEMENTSは8日続伸。AIAIグループは利食い売りに押された。

日足チャート上では、5本連続の陰線。先週末に踏みとどまった25日移動平均線を下放れ、3万9000円処を走っていた75日移動平均線も下抜けた。3万8000円も割り込み、3ヵ月前の4月末の水準まで急落となった。先々週に伝えた酒田五法「捨て子線は暴落の兆し」の一説通りの展開。週足では2週連続の大陰線。13週・26週各移動平均線も下抜けて調整局面が色濃くなった。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。今週も株式市場は激しく変動しました。

米国での株価急落を受けて、日経平均は7月25日(木)まで7日続落を余儀なくされました。続落記録としては今年最長となり、しかも25日の下落幅は▲1288円にも達しました。

この日の株価の下落理由を私なりに抜き出してみると次のようになります。

・米国の企業業績への警戒感、失望感
・米国の景気動向への警戒感
・急ピッチな円高の進行
・背後にある日銀の金融政策(政策金利の引き上げ観測)
・日本の企業業績への警戒感

特に大きいのが米国企業の決算内容への失望感と、それに対する株価の反応です。

株価は居所を探すように、まだしばらくは上下動の激しい動きを続けそうです。日本企業の決算発表も始まります。好決算企業の出現に期待したいところです。

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注目記事 Pick up
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【小売りセクター 賃上げ時代の投資着眼点】
日本証券新聞7月29日(月)紙面1面TOP記事掲載 

UBS証券 調査本部 株式調査 風早隆弘シニアアナリスト

デフレからインフレにマインドが転換し、賃金も上昇圧力がかかっている。こうした変化は小売り企業にどのような変化をもたらすのか――。UBS証券の小売りセクターアナリスト、風早隆弘氏がメディア向けセミナーで語った内容のポイントを紹介する。風早氏は野村証券、ドイツ証券、クレディ・スイス証券と所属証券を変えながら、15年以上にわたり小売りセクターの調査・分析に従事。UBSとクレディ・スイスの統合により昨秋から現職。

ドラッグストアで起きたことがいよいよ食品関連小売りでも

賃金は2023年の春闘から流れが変わった。最低賃金も上昇が続き、今後8年で1.5倍の1,500円になると予想されている。これは小売り企業の利益率を3%押し下げる要因になり、利益率が3%以下の小売り企業は赤字になることが予想される。

小売りは労働集約型事業のため賃金上昇によるコスト上昇のインパクトは大きく、業界再編の動きを誘引しよう。中でパート・アルバイト比率の高い「飲食」「食品スーパー」「GMS(大規模小売店)」で再編の可能性があり、特に食品関連小売りは再編が最も起こりやすい。これまでは地方は低賃金の労働力を確保しやすかったが、今後は地方ほど最低賃金の上昇率が高くなる。市場規模は大きいが寡占化が進んでいなかった食品小売り分野で、ドラッグストア(DS)業界で過去に起きたことがいよいよ見られよう。

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今日の市況概況
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7月26日(金)☆[概況/大引け] 

台風で2日間の休場明けのTSMCが売られ、日経平均は8日続落

大引けの日経平均は202円安の3万7,667円、TOPIXは10ポイント安の2,699ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は706、下落銘柄数は871。出来高は17億8,108万株、売買代金は4兆4,350億円。
日経平均は8日続落。
前場は値ごろ感からの買いで反発したが、台湾で台風による2日間の休場から取引が再開されたTSMCが大幅安となったため、米国NASDAQへの悪影響が警戒され、後場はもみ合いとなり、終盤は下落した。

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