8月2日(金)のマーケット
8月1日の米国株式市場は反落。週間の失業保険申請件数が24万9千件と市場予想の23万6千件を上回り、7月のISM製造業景気指数が46.8と、6月の48.5と市場予想の49.0を下回った。景気悪化が警戒され、NYダウは一時744ドル安となった。2日に7月雇用統計の発表を控え、終盤はやや下げ幅を縮めた。7月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は市場予想で前月比17万5千人増(6月は20万6千人増)。景気悪化でシェブロンが売られた。ボーイングは4~6月期決算を発表し8四半期連続で赤字だったため安い。一方、イーライリリーは肥満症治療薬「ゼップバウンド」が、肥満に関連した心不全の患者の長期的な健康状態を改善させたことが、治験で示されたことで買われた。NYダウは前日比494ドル(1.21%)安の40,347ドル。ナスダックではエヌビディアとAMDが反落。フェイスブックの親会社、メタ・プラットフォームズは4~6月期の売上高がアナリスト予想を上回ったことで買われた。なお、インテルは取引終了後の決算発表で、7~9月期の売上高見通しがアナリスト予想を下回ったことで時間外取引で売られた。NASDAQ総合指数は前日比405ポイント(2.30%)安の17,194。S&P500指数は前日比75ポイント(1.37%)安の5,446。
日経平均は2200円超の下げで3万6000円割れ。米景気後退への警戒感と米半導体株指数の急落に加え、イランなどによるイスラエルの報復観測が要因。全面安で証券、銀行、保険、商社、電機が下落率上位。日米の長期金利の低下でメガバンクの下げがきつい。防衛関連の三菱重工も大幅安。買われた銘柄は乏しかったがアステラス製薬は主力品がポジティブモメンタムに入ってきたことが好感された。JVCケンウッドは好決算でストップ高。
スタンダード市場では、住信SBIネット銀が大幅安となり、ユニバーサルは信用買いの処分売りで急落。田中化研は減益決算で大幅安。IGポートやトレイダーズ、日本電子材料の下げが大きい。一方、ぷらっとホームはINTMAXとの事業提携の効果で再びストップ高となった。
グロース市場では、GNIやGENDA、ELEMENTS、ロボペイが大幅安となった。直近新規公開株のハートシードは調整が継続した。半面、セルシードは続伸した。7月30日の信用取引規制の解除で売買が活発化した。スマホ決済のビリングシステムは5日続伸。
日足チャート上では、大陰線。ギャップダウンで寄付き、ほぼ安値引けと、かなり強い売り需要で投げ売りが出た様子。かなり下方に位置していた200日移動平均線(3万6837円)を下抜け、地合いの悪化が顕著となった。テクニカル的には25日移動平均線からの下方乖離が10%近くになっており、騰落レシオも82%と売られ過ぎを示唆。週明けはリバウンドを期待したいところ。酒田五法「捨て子線は暴落の兆し」の一説通りの展開。週足では長い上ヒゲを伴う大陰線。52週各移動平均線(3万5951円)近辺で週末を迎えた。月足では最高値を記録した7月は、上下に長いヒゲを伴う陰線。8月の急落でパラボリックは陰転を示現。陰転となるのは2022年7月以来のこと。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。日銀が政策金利の0.25%の引き上げに踏み切りました。
2%の物価上昇率の目標がほぼ達成されたというのがその理由です。3月のマイナス金利の解除に続いて、植田体制は出口戦略を急ピッチに推し進めています。
決定会合後の記者会見で、植田総裁は「2%を超えるインフレがかなり長く続いている。さらに上昇するリスクがある」と指摘しました。経済の状況次第では「引き続き金利を上げていく」点にも言及しており、そのタカ派ぶりが際立っていました。ハト派的な姿勢がさらに前進したFRBと好対照をなしています。
そのスタンスの差が為替市場における急激なドル安・円高をもたらしています。ドル円相場は今週初めの155円台半ばから、木曜日には148円台半ばまで一気にドル安が進み、円が買われています。
今後の焦点は2度目の利上げの時期に移ります。マーケットでは早くも「今年12月」、「来年1月」、「来年4月」などの数々の見解が飛び交っています。論拠となるポイントは、実質賃金がプラスになるタイミング、あるいは「向こう1~2回の日銀短観」、「次の春闘での賃上げ動向」などです。
「金利ある世界」には、それ以前とは異なる成長産業、成長企業が出現してくるはずです。株価の乱高下に隠されている変化をチャンスに変えてゆきたいものです。
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注目記事 Pick up
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【日経平均 2,216円安】
日本証券新聞8月5日(月)紙面1面TOP記事掲載
「米景気懸念」「円高」「外国人売り」にどう対応?
2日の日経平均は引け際2,246.18円安まであって、終値も2,216.63円安と歴代2位の下落幅となった(ただし、下落率では50位以下)。半導体関連を中心とした米国株安が直撃。同じく半導体産業の比重が高い台湾株や韓国株の下げっぷりも目立つ。とはいえ、(日経平均ウエート上位4銘柄からファーストリテを除いた)東エレク、アドテスト、SBG、信越化の半導体関連4銘柄の下落寄与度は合計732円強と全体の3分の1以下にとどまる。決して「一部の銘柄が日経平均を押し下げた」状況ではなく、文字通りの全面安となっている。
需給面の背景として指摘されるのが外国人の存在だ。6月第4週(24~28日)から7月第2週(8~12日)にかけて現先合算で計2兆4,513億円買い越した外国人は7月第3週に8,122億円、第4週も1兆5,669億円の売り越しに転じているが、日経平均チャートに当てはめると、7月11日高値までの上放れ時期とその後の急落時期に奇麗に当てはまる。「円売り・株買い」を進めてきた資金が7月11日以降のドル円相場変調を受けて“逆回転”を始めた格好か。そして足元でも高水準の売りが観測されている。もともと8月は、外国人が直近14年間で13回売り越した“特異月”であることも懸念要因となりそう。
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今日の市況概況
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8月2日(金)☆[概況/大引け]
3万6,000円割れ。米景気後退観測と米半導体株指数の急落、イランなどのイスラエルへの報復協議を受け全面安
大引けの日経平均は2,216円安の3万5,909円、TOPIXは166ポイント安の2,537ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は14、下落銘柄数は1,628。出来高は29億7,030万株、売買代金は6兆6,429億円。
日経平均は2,200円超の下げで3万6,000円割れとなった。
米国景気後退への警戒感と米国半導体株指数の急落に加え、イランなどによるイスラエルの報復協議が要因。
全面安で証券、銀行、保険、商社、電機が下落率上位。
日米の長期金利の低下でメガバンクの下げがきつい。
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