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コラム2024年8月23日

【本日のマーケット】8月23日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

8月23日(金)のマーケット                                                                   

8月22日の米国株式市場は反落。23日のFRB議長の講演を控え、ポジション調整の売りが出た。債券市場もポジション調整の売りが出て金利が上昇したため、ハイテク株が売られた。クラウド関連のスノーフレイクは8~10月期の売上高見通しがアナリスト予想の平均は上回ったものの、強気の予想には届かなかったため売られた。NYダウは前日比177ドル(0.43%)安の40,712ドル。ナスダックではエヌビディアやAMDが安い。テスラは7月の欧州のEV販売でBMWに抜かれたことで下落した。ビデオ会議システムのズームは5~7月期決算がアナリスト予想を上回ったことで買われた。NASDAQ総合指数は前日比299ポイント(1.67%)安の17,619。S&P500指数は前日比50ポイント(0.89%)安の5,570。

植田日銀総裁の国会の閉会中審査での発言が、政策正常化の姿勢は維持しているものの、市場の安定を優先する姿勢を示したことが好感された。IHIはJPモルガンに続き、みずほも格上げ。建設株は野村証券が建設粗利益が改善し、株主還元期待が高まると解説した。シャープはソフトバンクが1000億円規模の出資を行う案が浮上と報じられ高い。半面、米エヌビディアの28日の決算発表が出荷の遅れで期待外れという予想から半導体関連は売られた。

スタンダード市場では、メタプラネットが大幅高。オリコンHDは増配で急騰した。自民党総裁選に関する世論調査で小泉進次郎が首位だったことを受けて、神奈川の百貨店で以前「進ちゃんまんじゅう」を販売したことがあるさいか屋はストップ高。ぷらっとホームとピアラは反落した。

グロース市場では、サル痘ウイルス検査キットを手掛けるPSSが信用取引規制に抗して2日連続ストップ高を演じた。環境省が税制改正で高度な技術を持つリサイクル業者に対する優遇税制を求めると報じられため、リネットジャパンが物色された。セルシードとタイミーは反落した。

日足チャート上では、長めの下ヒゲを伴う陽線。4日連続の陽線を引き、徐々に上値・下値を切り上げる展開に。5日移動平均線がサポートとなり堅調な推移で3万8000円台の値固めとなった。週足では長めの下ヒゲを伴う陽線。順調な戻りを見せ、8月1週目の暴落が始まる前の水準を回復した。13週移動平均線(3万8566円)が目前となってきたが、累積売買高の多い水準だけにここを超えられるか注目される。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。米国の株式市場は堅調です。今週はS&P500とNASDAQがそろって8連騰を記録し、7月半ばに到達した史上最高値まであとわずかというところまで回復しています。

企業業績が堅調であることが、現在の上昇相場を支える大前提となっています。その点が過去のITバブルやサブプライム・ローン問題の状況と異なるという見方の背後にあります。

日本でも日経平均は上下に激しい値動きを繰り返していますが、徐々に物色の柱が姿を現しつつあるように見受けられます。企業経営の質の高い会社、いわゆるクオリティ銘柄に資金が集中しつつあります。

クオリティ銘柄は、ROEの高さからグロース株に属しています。8月の株価急落に先立つ5~7月相場はバリュー株が堅調だっただけに、8月の急落時においてもグロース株はあわてて売り急ぐ状況が少なったように見えます。

全体相場が完全に戻るにはもう少し時間がかかることでしょう。その間にクオリティ銘柄の物色はさらに進むように考えられます。

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注目記事 Pick up
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【大暴落 “真犯人”は円キャリーにあらず】
日本証券新聞8月26日(月)紙面1面TOP記事掲載 

野村証券 須田吉貴クロスアセット・ストラテジストに聞く

8月2、5日の未曾有の暴落劇(2日間合計で日経平均6,667.91円安)からはや2週間。既にこの時の下落分を取り戻し、市場は平穏な日常に戻りつつあるが、それではあの下げは何だったのか。メディア解説は「円キャリートレードの巻き戻し」の一言で済まされているが、何だか怪しい。忘れかけた頃に第2弾が襲うようなことはないのか。今回のショック安の深層を詳しく知る野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジスト(写真)に香港出張前の21日、話を聞いた。

――海外ヘッジファンドなどの短期投資家と日常的に接しているとか。

「香港やシンガポールなどのロングショート型が6割で、マクロ系ヘッジファンドが3割、残りは国内投資家や一部海外年金といったところか」

――今回の暴落に関して、「超低金利の円を売って日本株など各種資産を買っていた『円キャリートレード』が円高反転を機に一気に逆回転して、反対売買による大規模な円高・株安が生じた」などと解説されているが、この理解でいいのか。

「大きな文脈としては、円キャリーに限らず、いろいろなキャリーが吹っ飛んだということだ」

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今日の市況概況
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8月23日(金)☆[概況/大引け] 

日銀総裁の閉会中審査での発言を好感。建設は株主還元期待。シャープが高い。半導体関連は下落

大引けの日経平均は153円高の3万8,364円、TOPIXは13ポイント高の2,684ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は949、下落銘柄数は641。出来高は13億1,720万株、売買代金は3兆4,008億円。
植田日銀総裁の国会の閉会中審査での発言が、政策正常化の姿勢は維持しているものの、市場の安定を優先する姿勢を示したことが好感された。

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