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コラム2025年4月11日

【本日のマーケット】4月11日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

4月11日(金)のマーケット                                                                   

4月10日の米国株式市場は反落。ホワイトハウスが「相互関税」も含めた中国に対する追加関税の税率は計145%になると明らかにした。当初は中国に対する相互関税を34%としていたが、中国が同率の報復関税を発表したことで、84%に引き上げた。中国がこれに対しても同率の報復関税を決めたため、米国は関税率を更に125%まで引き上げた。米国は中国に対し、合成麻薬の流入対策不備を理由にした20%の制裁関税を発動済み。125%の相互関税をこれに上乗せするのかどうか、これまで明確にしていなかったが、10日に発動済みの20%の制裁関税と合わせ、145%を適用した。報復合戦が続くことが警戒され、NYダウは一時2,180ドル安となったが、下院がトランプ大統領の看板政策である大規模減税に関する法案の概要を賛成216票、反対214票の僅差で承認したことや、トランプ大統領が中国と「ディール(取引)」を実現させたいと述べたことを受けて下げ幅を縮めた。エヌビディアやテスラ、アップルが売られ、ナイキが安い。中国の映画当局が米国映画の輸入本数を減らすと発表したことを受け、ウォルト・ディズニーとワーナー・ブラザースが売られた。ユナイテッドヘルスは政府の医療保険予算増額で続伸。NYダウは前日比1,014ドル(2.50%)安の39,593ドル。NASDAQ総合指数は前日比737ポイント(4.31%)安の16,387。S&P500指数は前日比188ポイント(3.46%)安の5,268。

米政府が中国への相互関税125%には、合成麻薬問題での関税20%を含めていないため、計145%となる。報復の応酬が止まらないことが警戒された。ドルが売られ一時1ドル=142円台の円高も響いた。全面安で銀行と保険が下落率上位。医薬品はトランプ関税の標的という見方で売られた。ソニーGが安い。ベイカレントは配当方針変更と増配を発表し大幅高。わらべや日洋は今期の増益予想で急騰した。ウエルシアとツルハは統合2年前倒し報道。

スタンダード市場では、名村造船や住信SBIネット銀、三菱ロジスネクストが売られ、JHDが安い。美容室の田谷は安値更新となった。ハーモニックドライブは続伸。ホームポジションは株主優待の実施でストップ高。ウッドフレンズは長谷工が株式公開買い付けを発表し買いが殺到した。

グロース市場では、グロース指数は続伸。タイミーはワタミとの業務提携で買われ、ファンデリーはイオンとの取引で大幅高。トライアルやケイファーマが買われた。ミライロは障がい者と企業をつなぐプラットフォーム「ミライロID」のソリューション事業を拡充で高い。NPCは下方修正で大幅安。

日足チャート上では長い下ヒゲを伴う実体線の短い陰線。昨日の大陽線の中での動きとなった。下値から引き戻して5日移動平均線上で激動の1週間を終えた。週足では上下に長いヒゲを伴う陽線。昨年8月の急落時とダブルボトムを形成した格好となっている。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。トランプ関税が世界中を大きく揺さぶっています。

「相互関税」と言う名のもとに、大幅な税率の引き上げを発表して、それをわずか1日にして執行猶予にする、90日間と言う期間限定の措置ですが、それによって株価は乱高下を続けている状況です。

このような状況においてやはり注目されるのは企業の業績見通しです。関税によって国際貿易が停滞すると物流企業が収益がダメージを受けます。同様に企業が慎重になって設備投資を控えたり、仕入れを減らしたりすると、資金ニーズが減退することから金融機関の収益も弱めに変わると見られます。

関税で上昇したコストを販売価格に転化すると売り上げの減少につながり、反対に転化しないと販売側の利益率、マージンが圧迫されます。いずれにしても企業収益にはマイナスに作用することになります。

ここからは企業からのガイダンスを待つしかないと言う状況ですが、必ずしも悲観的に考えるばかりでもないのが企業という生き物の面白いところでもあります。

旭化成は今回のトランプ関税の発動に合わせるかのように3か年の中期計画を発表しました。それによれば、3年後の営業利益を2700億円、現在よりも3割以上も伸ばして史上最高益を更新する見通しとして組んできました。

関税の影響はもちろんあると見ていますが、それを最小化すべくあらゆる努力を傾けてゆく、これまでやったこともない競合相手の三井化学や三菱ケミカルと連携して生産設備を最適化してゆく計画も打ち出しています。

企業は生き物です。みすみす損失を被る事態を座して待っていることはしません。もちろんトランプ関税でかなりの企業がダメージを受けることになるでしょうが、すべてではないと見られます。

少数かもしれませんが、逆境を逆手に取って新たな道を見い出す企業も出てくるはずです。その点で今回の決算シーズンは極めて重要なものになると考えています。悲観ばかりしている状況でもないように思います。

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注目記事 Pick up
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「内需株」に逃避 ガイダンスリスクも念頭
日本証券新聞4月14日(月)紙面1面TOP記事掲載 

食品強化型ドラッグストアをマーク

トランプ関税に振り回され、ジェットコースター相場が継続。11日は1,023円安に沈み、「4ケタの前日比騰落幅」が5営業日連続。過去(1988~91年末、2000年1月~直近)を目視で振り返ったところ、2日連続は何度かあるが3日連続以上は見つからず、おそらく史上最長とみられる。もちろん、率ではなく幅のため日経平均の水準に大きく影響を受けるが、バブル高値への上げ潮時やバブル崩壊後の急落局面でもなかったことであり、稀有な事象に遭遇している。

この荒れた相場下、相対的に頑強なセクターが「食料品」「小売り」。業種別ランキングで前月末比・前週末比・前日比のいずれでも騰落率上位をキープしている。11日は食料品で明治HD(2269・P)キーコーヒー(2594・P)やまみ(2820・S)など、小売りではくら寿司(2695・P)パルG(2726・P)神戸物産(3038・P)トレジャー(3093・P)スギHD(7649・P)などが高値。

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今日の市況概況
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4月11日(金)☆[概況/大引け] 

日経平均は1023円安。全面安で医薬品と金融が下落率上位。グロース指数は上昇

大引けの日経平均は1,023円安の3万3,585円、TOPIXは72ポイント安の2,466ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は502、下落銘柄数は1,100。出来高は24億3,540万株、売買代金は5兆4,412億円。
米国政府が中国への相互関税125%には、合成麻薬問題での関税20%を含めていないため、合計で145%となることが判明した。
米国長期金利が最近、上昇したのは中国が保有している米国債を売ったからだという憶測や、米国政府は米国株式市場に上場している中国株の上場廃止を目論んでいるといった思惑も浮上している。
ドルが売られ、一時1ドル=142円台となったが、CMEグローベックスで米株先物が上昇したため、ドルに買戻しが入り、1ドル=144円に戻した。
連れて、日経平均も下げ幅を縮めた。

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