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IPO2020年12月24日

上場1年銘柄に注目 BuySell Technologies 岩田匡平代表取締役社長CEOに聞く

潜在市場「かくれ資産」を掘り起こす

BuySell Technologies(7685・東マ)は無店舗型の出張訪問買い取りサービス「バイセル」を中心にネット型リユース事業を展開している。12月18日に新規上場から1年を迎えた。これまでの歩みを振り返るとともに今後の展望について岩田匡平代表取締役社長CEOに聞いた。

――上場から1年を振り返って。

「より安心感をもって当社サービスを利用いただけるようになった。上場前から徹底したコンプライアンス体制をアピールしてきたが、実際に上場を経て、信頼の“お墨付き”を得られた効果は大きい」

――事業環境はいかがでしょうか。

「4、5月はコロナの影響を大きく受けたが、緊急事態宣言解除以降は徐々に問い合わせ数が回復。7月初頭にはコロナ以前の事業環境に戻った。さらに追い風が3つあった。1つ目は在宅時間の増加により自宅整理や断捨離の機運が高まったこと。当社が予想した以上に引き合いが多かった。2つ目は金相場の上昇により、高単価商材(ジュエリー・貴金属)の買い取りが増加した。3つ目はEC(電子商取引)需要の拡大。当社も例に漏れず、エンドユーザー向けのEC販売が非常に好調だった」

――御社の強み、特徴は。

「リユース(二次流通)市場は今後も右肩上がりの推移が続くだろう。一方、顕在化しているリユース市場規模2.6兆円に対し、自宅内の1年以上利用されていない不用品の推定価値である“かくれ資産”の総額は37.1兆円とされる。顧客は自宅に眠る“かくれ資産”の価値に気付いていないことが多い。当社は出張訪問買い取りでこうした潜在商品を掘り起こすことができる唯一の存在と言える」

「遺品整理・生前整理・自宅整理の理由でサービスを利用する人が60%以上を占めている。顧客の75%以上は50歳代以上のシニア富裕層。そのため、インターネットなどのデジタルメディアだけでなく、TVCMや新聞などのシニア層に優位性のあるオフラインメディアを駆使したクロスメディアマーケティングを展開している。また、着物や切手といった商材は重量であり、シニア層にとっては持ち運びが困難。出張訪問買い取りモデルとの親和性が高い」

出張訪問あたり変動利益は大幅成長

――業績と事業の進捗について。

「今12月期第3四半期(7~9月)決算はコロナの影響を受けた上半期からV字回復を達成した。主要KPI(重要業績評価指標)である『出張訪問数』×『出張訪問あたり変動利益』において、特に『出張訪問あたり変動利益』が大きく伸びたことがポイント。コロナ禍でもセールス組織としての地力が成長していることが分かる。10月単月実績も高水準の推移を維持しており、足元の状況は良好」

「子会社化したタイムレスと当社が行う初のオークションを来年1月に予定。物量・質ともに業界にインパクトを与える大規模なオークションとすることを目指している。そのため7~9月期は戦略的に在庫の繰り越しを行ったが、こうした中でも前年同期比63%営業増益を達成するなど、当社の“稼ぐ力”を感じていただけたと思う」

――中期の成長イメージを教えてください。

「2023年に利益で50億円、企業価値で1,000億円の水準を目指す。非常にポテンシャルが高いビジネスと自負しており、あとは人材の採用やマーケティング投資、出張訪問あたり売上総利益の拡大などの施策をいかに地道に実行できるか、戦略というよりは“戦術”の部分が重要と考えている。目先では前述のタイムレスとの大規模オークションの成功が要となる」

「他社との業務提携は引き続き拡大していく方針。出張訪問を行う際に顧客から様々な相談を受ける機会が多い。他社との提携を通じてサービスラインナップを拡充し、シニア顧客層にトータルソリューションを提供する企業となりたい。また、リユース業界は群雄割拠の時代にあり、今後再編が進んでいくとみている。ターゲットや商材、組織強化の面でシナジーがある事業者を対象としたロールアップ戦略を取り入れながら、業界内で存在感を発揮していく」

――最後に株主還元策に対する考え、投資家の皆さまへ一言お願いします。

「まずは配当性向20%を目安とした株主還元策を行いつつ、生み出した利益の一部は事業投資に充てていく。投資家の皆さまにはここからの高成長にぜひ注目してほしい」

銘柄情報

企業名:BuySell Technologies
事業概要:出張買取を中心とした多様なリユース商材の買取および販売
上場日:2019/12/18
初値:3,720円