個人投資家で“億り人”の井村俊哉氏による対談。スゴ腕の投資家たちがひそかに注目するという「アクティブ元年・日本株ファンド」を運用する三井住友DSアセットマネジメント運用部の古賀直樹シニアファンドマネージャーに運用方針などを聞いた。
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井村 銘柄の発掘ですが、自分のイメージだと「ゴリゴリ取材してます」みたいな。
古賀 ゴリゴリ取材しています。
井村 やっぱりそうですか、ゴリゴリしてますか。どのくらいするんですか?
古賀 4人で年間で、去年は3,000。
井村 え!! 3,000? ヤバイ、ゴリゴリですね!!
古賀 もちろん四半期ごとに取材している企業もあるので「延べ3,000回」ですが。
井村 それでもスゴすぎる!! 4人チームというところが活きてますね!! しかし既存のメンテナンスではなく、はじめましてという「新規発掘」となると、そう多くはないのでは?
古賀 IPO(新規上場)は必ずフォローしますし、新聞や四季報といった見慣れたツールも常にチェックします。これだけ世の中が変わっていますから、何かしらの新しいストーリーが出てくるはずなので。あとは企業取材の中で発見することもあります。バリューチェーンとかサプライチェーンとか取材企業のビジネスの中で関わりのある別の企業の話や、業界環境のことだったりを聞いて、じゃあ、あそこがおもしろそうだな、と。
井村 世の中はインデックスブームですが、自分は投資家の側が個別銘柄の選別能力を失うと、良い会社にしよう!! といったインセンティブが社会から失われてしまうような気がしていて。
古賀 アクティブに自分で銘柄を選択して投資ができる人が増えてくれたら、世の中がもっと良くなって経済も回っていくでしょうから、そのためにも、私たちはしっかりとしたアクティブファンドを提供しなければいけない。
井村 アクティブファンドって「パフォーマンス出ないから手数料負けしちゃうじゃん」などと言われていますけれども、「アクティブ元年・日本株ファンド」さんは、きれいごとじゃなくて、パフォーマンスを出すまでを突き詰めていらっしゃるところが素晴らしい!! 2019年2月の設定からもうすぐ3年、騰落率は昨年末で約95%と、ほぼ倍になっています。
古賀 基準価額はコロナショックのときにガンと落ちましたけれども、それ以外のところは一定のラインで積み上げてきている。常に勝ち続けるのはもちろんむずかしいですけど、長期的に見るとしっかりと積み上がっているという形は、銘柄を選別して本当にいい企業を選んで投資をしていくことで、これからも実現できると思っているし、続けるための努力はしっかりとやっていく。投資家の方にはファンドを長く持ち続けていただきたいですから。
井村 ただ、今まさにマーケットでは大きな転換点が生じているな、と。これまでかなり値持ちがよかった大型ハイグロース株みたいな、キラキラだった銘柄がストップ安をつけてあっという間に3割4割減る、ファンダメンタルズは何も変わっていないのに、といった状況です。おそらく利上げなどが影響してバリュエーションの付け方が欧米の投資家を中心にちょっと変わっている、ゲームチェンジが起きている可能性があるような気がするんですよね。となると、銘柄の組み入れ方針なんかも少しずつ変えていかなきゃいけないような気がするのですが、そのあたり、どうお考えですか?
古賀 方向性をあらかじめ定めて投資判断するようなことはしていません。確かに12月以降の相場を見ていると、今までとは違う考え方が必要かなとは感じてはいますが、とはいえポートフォリオを大きくガラッと変えるかというと、それこそ1銘柄、また1銘柄と変えていって、気付いたら全体が変わってるね、というイメージ。もちろん市場環境については、上場企業に投資している以上、買いたい人よりも売りたい人の方が多くなりそうならば売られにくい銘柄を強めに意識しておかなければならないですが。ちなみに今もバリューと言われるセクターが全然ダメだと思っているわけではなくて、そこには社会的意義と企業価値は必ず存在するはずですから、これに対して株価だったり市場の評価がどう変わるのか・変わらないのかということを常に見ています。
井村 最後に注目のセクターや銘柄みたいなものをお聞きできればと思うのですが――おそらく月次レポートを見てください、ということになりますか?
古賀 はい。
井村 なるほど(笑)。大変勉強になりました!これからも参考にさせていただきます!
(完)