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IPO2024年11月13日

新規上場紹介 インフォメティス 12月9日 グロース AIで電力利用を効率化

インフォメティス(281A)が12月9日、グロースに新規上場する。

ソニーの電力ICT関連事業がカーブアウト。消費電力をAIで分析し、家電別の電力使用量を推定する「機器分離推定技術(NILM)」をコア技術にエネルギー最適化ソリューションを提供する。2022年4月上場予定だったが、ウクライナ情勢や株式市場の動向などを勘案し、上場申請を取り下げた経緯がある。

同社は2つのAI技術(電力データ解析技術と数理最適化技術)を生かしたSaaS事業を根幹としており、中でも電力データ解析技術では、ソニーから譲り受けた電力波形データ分析NILMが大きな技術差異化要素となっている。

国内では電力消費者(電気を使う一般家庭および企業)向けに、家庭内の電力の流れを可視化する「enenowa(エネノワ)」や、様々なIoT機器と連携可能な「ienowa(イエノワ)」などのポータルアプリ、エネルギー・マネジメントサービスとして蓄電池AI最適制御システムを展開。電力事業者向けでは、現行のスマートメーターの電力データから電力使用の内訳を分析する「簡易電力使用状況見える化サービス(NILMライトサービス)」、小売電気事業者に代わって電力消費者への需要調整の要請や応動確認、集計を行うクラウド型デマンドレスポンス(DR)支援サービスなどを販売している。

海外領域については、英国で同社グループの電力センサーがヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入されるなど、本格的な事業展開に向けた準備が進んでいる。また、同社は電力+αの付加価値を実現するための実証実験を積極的に行っており、常に10案件以上のパイプラインがある。これらは翌年以降の商業化に伴う収益につながる。

目先では次世代スマートメーターへの入れ替えが始まる26年以降、スマートメーターの異常検知サービスのリリースを予定しているほか、次世代スマートメーターを活用した電力の見える化サービスや見守りサービス、ミドルデータ提供サービスなどに応用展開していく考え。

収益モデルは電力センサーの機器代金やプラットフォームの初期設定費用などの一時的収益と、プラットフォーム月額利用料、アプリ利用料、運用保守料など累積・継続的な収益の組み合わせ。足元ではプラットフォーム・アプリ提供から得られるストック型売り上げが増加傾向にあり、前12月期のストック売り上げ比率は34%に上昇している。(SS)

概要

●事業内容=エナジー・インフォマティクス事業(エネルギー関連データを独自のAIで解析して省エネルギーと快適生活の実現をするスマート・リビングサービス、エネルギーの運用効率の最適化を実現するエネルギー・マネジメントサービス、エネルギーデータなどを利活用した新サービスの創出)
●本社=東京都港区芝公園1-8-20
●代表者=只野太郎代表取締役社長
●設立=2013年4月
●上場前資本金=1,000万円
●発行済み株式数=486万3,357株(上場時)
●筆頭株主=ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合(上場前46.20%)
●公募株式数=60万株
●売出株式数=186万1,600株(ほかオーバーアロットメントで36万9,200株)
●仮条件=11月19日
●ブックビル期間=11月21日から11月27日
●引受証券=みずほ(主幹事)、SBI、楽天、東海東京、岡三、松井、マネックス、あかつき、岩井コスモ、東洋

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2022.12 496 ▼300
2023.12 923 ▼71
2024.12(予) 1,067 111 24.21
※単位100万円、1株利益は円、▼は損失

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