ウイングアーク1st(7361)が3月16日、東証1部に新規上場する。
帳票・文書管理ソリューションを柱に、企業の情報活用を促進するソフトウェアおよびクラウドサービスを提供している。2013年9月に東証2部を上場廃止になった。その後2回、上場計画を取りやめた経緯がある。19年3月は株式市場の動向が理由。20年3月には新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。
カーライル・グループが運営する投資ファンドが筆頭株主(保有株比率34.79%)で、上場に際して1,063万4,700株を売り出す。公募増資は行わない。
13年に上場を廃止した理由は、①事業構造の再構築②製品開発力の強化③グローバル化④新規事業の創出――などの課題解決が急務だったため。上場を維持したまま施策を実行した場合、利益水準の低下やキャッシュフローの悪化などを伴うリスクがあったため、MBO(経営陣が参加する企業買収)による非公開化を決断した。
帳票・文書管理ソリューションでは、帳票に関する業務基盤として国内で最も多く利用されているソフトウェアおよびそれらをベースとしたソリューションを提供している。主力製品の「SVF」は、帳票開発の効率化と多様な出力要件に応えるための帳票基盤ソリューションで、市場シェア(帳票運用製品)は67・3%(民間の調査機関)に達している。文書管理基盤の「SPA」と合わせて、企業、公的機関の多くでDXの推進に貢献している。
今後は、業種・業務に特化したソリューションを推進する。ソフトウェアの提供だけでなく、データの価値を最大化する最適なソリューション提案を目的とした「データエンパワーメントソリューション」に注力しており、売上高の拡大とともにその比率(20年2月期に売上高全体に占める比率は37.1%)の向上に努める。継続的に顧客にサービス提供を行い、その対価をサービスの提供期間に応じて受け取る「リカーリングビジネス」の拡大を図っていく。
21年2月期の業績は、売上収益180億円(前期比3.6%減)、営業利益33億円(同42.0%減)の見込み。22年2月期は売上収益190億円(21年2月期に比べて5.6%増)、営業利益58億8,000万円(同78.2%増)の予想。
概要
●事業内容=企業の情報活用を促進するソフトウェアおよびクラウドサービスの提供
●本社=東京都港区六本木3-2-1
●代表者=田中潤代表取締役社長兼CEO
●設立=2016年3月(実質上2004年3月)
●上場前資本金=2億円
●発行済み株式数=3,119万8,000株(上場時)
●筆頭株主=CJP WA Holdings, L.P.(上場前34.79%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=1,063万4,700株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が159万5,100株)
●仮条件=3月1日に決定
●ブックビル期間=3月1日から5日まで
●引受証券=野村(主幹事)、三菱UFJモルガン・スタンレー、モルガン・スタンレーMUFG、みずほ、SMBC日興、大和、SBI、楽天
業績推移(連結)
売上収益 | 営業利益 | 1株利益 | 配当 | |
2020.2 | 18,677 | 5,684 | 130.65 | 0 |
2021.2(予) | 18,000 | 3,300 | 74.83 | 0 |
2022.2(予) | 19,000 | 5,880 | 134.16 | 0 |
※単位100万円、基本的1株利益の単位は円 |