クオリプス(4894)が6月27日、グロースに新規上場する。
大阪大学発の再生医療ベンチャー。ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる心疾患の治療から、臨床試験に向けた準備を進めているカテーテルを活用した新しい治療技術の開発による軽度の心疾患の治療まで、心臓における幅広い領域の治療に対応する再生医療技術の実用化に向けた研究開発を進めている。
現在は虚血性心疾患を対象としたヒトiPS細胞由来細胞シートの製造販売承認申請(日本国内)と、製造販売に必要な体制整備に注力。同製品は大阪大学から取得した再実施許諾権付の独占的実施権と、第一三共(4568・P)との間で締結した共同研究開発契約から発生した成果物および第一三共が保有しているシート化精製技術等を組み合わせて製造・販売を行う事業モデルで、研究開発の段階は終了し、実際に患者に移植する治験の段階に移行している。
国内だけでなく、米国および欧州での製造販売商品の取得も計画しており、現在は海外での開発拠点の準備・体制整備、開発プランの策定およびアライアンス先の選定を行っている。また、拡張型心疾患への効能追加も視野に入れ、大阪大学で医師主導治験計画を策定中。ほかに、研究開発パイプラインは朝日インテック(7747・P)と共同開発研究を進めるカテーテル(急性心筋梗塞、慢性完全閉塞)、探索研究中の体内再生因子誘導剤(肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎、閉そく性動脈硬化ほか)がある。
また、同社はこれまでの研究開発で培ってきた細胞培養技術・ノウハウおよび独自の設計コンセプト(特許出願中)を活用し、ベンチャー企業などへのCDMO(医薬品受託製造)事業を行っている。これにより再生医療ベンチャー企業としては独自性の高い事業構成を有しており、再生医療等製品承認前ながらも売り上げを計上することができている。
さらに、製造プロセス開発から非臨床、臨床試験、商用製造までを一貫してワンストップで進めることが可能な商業用細胞培養加工施設「CLiC―1」を自社で保有しており、大企業が有する大規模な細胞培養加工施設では対象とならない、少量製造も対応するのが強み。小回りの利いたきめの細かいサービスを提供することでベンチャー企業からの引き合いも増加している。(SS)
概要
●事業内容=再生医療等製品、特定細胞加工物の研究、開発、製造、販売
再生医療等製品、特定細胞加工物に係る受託開発製造サービスおよびコンサルティング事業
●本社=東京都中央区日本橋本町3-11-5
●代表者=草薙尊之代表取締役社長
●設立=2017年3月
●上場前資本金=1億415万円
●発行済み株式数=755万7,916株(上場時)
●筆頭株主=第一三共(上場前15.75%)
●公募株式数=170万株
●売出株式数=50万株(ほかにオーバーアロットメントで33万株)
●仮条件=6月8日に決定
●ブックビル期間=6月9日から6月15日まで
●引受証券=野村(主幹事)、SBI、松井
業績推移(★)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2022.3 | 13 | ▼373 | ― | ― |
2023.3 | 38 | ▼450 | ― | ― |
2024.3(予) | 215 | ▼1,246 | ― | ― |
※単位100万円、1株利益は円、▼は赤字 |