クラシコム(7110)が8月5日、グロースに新規上場する。
自社運営するEC(電子商取引)サイト「北欧、暮らしの道具店」でのアパレル、キッチン、インテリア雑貨などの販売が主力。このほか、このサイト上で読み物仕立ての記事広告コンテンツを発信、さらにオリジナルドラマや映画も制作するなど、消費者の共感を引き出すための企画制作力を強みとするユニークな企業活動を展開している。
創業は2006年。「フィットする暮らし、つくろう。」を企業理念に掲げ、「D2Cドメイン」と「ブランドソリューションドメイン」の二つのビジネスラインを持つ。
「D2Cドメイン」とは「Direct to Customer」の事業形態で、ユーザーとの間にECモールやECプラットフォームは介在せず、自社サイトを通じて直接商品を提供し、効率的に収益を上げている。同社の売上高の9割超が「D2Cドメイン」事業によるものだ。
07年に自社ECサイトを開設し、当初はヴィンテージの北欧食器や北欧雑貨を販売していたが、現在は北欧に関連する商品が占める割合が小さくなり、オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の商品が売上高の約50%を占めている。ただ、同社の事業は北欧の価値観に影響を受けて始めたことから、自社サイト名には現在も「北欧」を冠している。
「ブランドソリューションドメイン」では、自社ブランドのほか、他社クライアントのブランドや商品を「北欧、暮らしの道具店」のサイト上で、コラムや特集の読み物に仕立てて紹介する手法で、魅力を発信。同社が掲げる「暮らしを自分らしく、美しいものにすること」「日常のささやかな幸せを大事にすること」という「ライフカルチャー」の世界観を盛り込みながら、ユーザーの興味を引くように紹介している。
さらに、オリジナルドラマや映画など、さまざまなコンテンツも制作し、YouTubeなどで公開している。SNS(交流サイト)も活用し、幅広いユーザー獲得につなげている。
業績は売上高、経常利益とも順調に拡大。年間購入者数は18年7月期の約8万人から年間2万~4万人ずつ増え、21年7月期には18万2千人となった。
上場に伴う公募増資で調達した資金は人件費、採用費、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」認知拡大のための広告宣伝費などに充当する。
概要
●事業内容=ECサイト「北欧、暮らしの道具店」における服飾雑貨等の販売事業
●本社=東京都国立市東1-16-17
●代表者=青木耕平代表取締役
●設立=2006年9月
●上場前資本金=800万円
●発行済み株式数=707万株(上場時)
●筆頭株主=青木耕平(上場前75.50%)
●公募株式数=新株式発行35万株、自己株式の処分32万株
●売出株式数=146万8,000株(このほかオーバーアロットメントで32万700株)
●仮条件=7月15日に決定
●ブックビル期間=7月20日から26日まで
●引受証券=みずほ(主幹事)、三菱UFJモルガン・スタンレー、SBI、楽天、マネックス、松井、いちよし
業績推移(単体)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2020.7 | 3,472 | 561 | 58.53 | – |
2021.7(予) | 4,532 | 797 | 89.22 | – |
2022.7(予) | 5,149 | 834 | 85.98 | – |
単位100万円、1株利益は円 |