クリングルファーマ(4884)が12月28日、マザーズに新規上場する。
大阪大学発の創薬バイオベンチャー。組み換えHGF(Hepatocyte Growth Factor、肝細胞増殖因子)タンパク質を有効成分とした薬を研究、開発している。
HGFは大阪大学の中村敏一名誉教授が発見した。細胞の増殖や運動促進、抗アポトーシス(細胞死)など、様々な組織・臓器の再生と保護機能がある。症例数が少なく、原因不明で治療法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある難治性疾患の治療薬が期待される。
現在、脊髄(せきずい)損傷急性期、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、声帯瘢痕、急性腎障害の臨床試験を実施しており、最も進んでいる脊髄損傷急性期は、最終段階の第3相試験を実施中。このほか、複数の基礎研究も行っている。研究成果をほかの製薬会社に委ねず、自社で開発を続けて、医薬品の製造販売承認を得ることを基本方針にしている。
個々の難治性疾患の患者数は限られるが、海外への販売拡大やほかの領域の疾患への開発で、市場の拡大ができるとみている。例えば脊髄損傷急性期とALSに効果が出た場合は、脳神経領域の疾患についても治療薬になる可能性があるという。将来的にはほかの製薬会社に原薬を提供して、継続的な収益を得ることも想定している。
2021年9月期の業績は、売上高2億600万円(前期比55.9%減)、営業損益は10億3,700万円の赤字(前期は1億7,100万円の赤字)を見込んでいる。
概要
●事業内容=HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を用いた難治性疾患の治療薬の研究開発
●本社=大阪府茨木市彩都あさぎ7-7-15 彩都バイオインキュベータ 207
●代表者=安達喜一代表取締役社長
●設立=2001年12月
●上場前資本金=3億円
●発行済み株式数=422万7,700株(上場時)
●筆頭株主=日本全薬工業(上場前12.12%)
●公募株式数=58万株
●売出株式数=8万7,000株(オーバーアロットメントによる売出)
●仮条件=12月8日に決定
●ブックビル期間=12月10日から16日まで
●引受証券=野村(主幹事)、SBI、SMBC日興、楽天、三菱UFJモルガン・スタンレー、いちよし、東洋、エース、岡三
業績推移(単体)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2019.9 | ― | ▼301 | ▼290.14 | 0 |
2020.9 | 467 | ▼116 | ▼106.70 | 0 |
2021.9(予) | 206 | ▼1,015 | ▼248.73 | 0 |
※単位100万円、1株利益は円 | ||||
▼は赤字 |