コージンバイオ(177A)が4月25日から5月2日のいずれかの日に、グロースに新規上場する。
再生医療や細胞治療、ワクチン製造などに使う細胞培養用培地、細菌検査用培地などの開発や製造・販売に取り組む。培地とは微生物や細胞が成長しやすいように人工的につくる生育環境で、寒天などで固めた固体培地や液体状の培地がある。同社は臨床・食品分野の病原菌検査や医薬品、化粧品などの品質検査に使う多種多様な検査用培地をそろえ、培養関連機器の販売も行っている。連結売上高の50%を占める微生物事業、同35%の組織培養事業、同15%の細胞加工事業の3事業を展開している。
微生物事業では、感染症や食品汚染の原因となる微生物を特定するための製品の開発と製造・販売を行っている。微小な微生物を視覚で確認できるように、微生物そのものを増殖させる細菌検査用培地を製造。短時間で簡便にウイルスが検出できる新型コロナウイルスの抗原検査キットなど、自社開発製品のKBМ(Kohjin Bio Medium)ブランドで多くの製品群を市場に提供している。
組織培養事業では、ヒト、動物、昆虫などの細胞を増殖させるための細胞培養用培地の開発と製造・販売に取り組んでいる。培養した細胞を体に戻す細胞治療、動物細胞などを大量に培養することで製造されるバイオ医薬品やワクチンのための細胞増殖に、細胞培養用培地が使われている。
細胞加工事業では、がん免疫細胞療法や幹細胞を利用した再生医療分野に向けて医療機関と受託契約を結び、様々な疾患を対象とした細胞加工業務を行っている。
業績は2020年3月期以降、微生物事業の新型コロナウイルス関連商材が売上高増加に貢献してきたが、24年3月期は前年同期ほどの売上高が見込めず、棚卸資産の評価損も計上することから減収減益の見通し。
一方で新型コロナウイルス関連商材以外ではインバウンドが回復し、外国人患者の日本での細胞治療需要が回復していることにより、細胞加工事業の業績が好調に推移。加えて国内外における再生医療の市場拡大により、組織培養事業の細胞培養用培地の販売も伸び、事業環境は好転している。(YY)
概要
●事業内容=培地(微生物や細胞の培養に用いる生育環境のこと)の開発・製造・販売および細胞加工物の製造受託
●本社=埼玉県坂戸市千代田5-1-3(最寄りの連絡場所は東京都豊島区西池袋1-11-1)
●代表者=中村孝人代表取締役社長
●設立=1981年4月
●上場前資本金=4億2,665万6,000円
●発行済み株式数=501万5,000株(上場時)
●筆頭株主=中村孝人(上場前53.05%)
●公募株式数=85万株
●売出株式数=オーバーアロットメントで12万7,500株
●仮条件=4月5日に決定
●ブックビル期間=4月9日から最短で15日まで
●引受証券=野村(主幹事)、みずほ、SMBC日興、むさし、SBI
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.3 | 4,742 | 1,244 | 199.23 | 19 |
2024.3(予想) | 4,724 | 560 | 69.43 | 14 |
2025.3(予想) | 4,852 | 876 | 126.89 | 14 |
※単位100万円、1株利益・配当は円 |