シンプレクス・ホールディングス(4373)が9月22日、東証1部に上場する。2013年10月にMBO(経営陣が参加する企業買収)によって東証1部を上場廃止後、8年ぶりの再上場となる。
金融業界を中心にビジネスとテクノロジー双方に精通したチームによるコンサルティングやシステム開発をしている。1997年に創設され、2002年にJASDAQに上場、05年には東証1部に指定替えとなった。しかし10年3月期から減益基調となり、カーライル・グループなどによってMBOを実施。16年に持ち株会社体制に移行した。
この間、フィンテックが到来し、同社の主要顧客である銀行、証券会社などのビジネスにテクノロジーが不可欠との認識が高まり、独自のビジネスモデル「シンプレクス ウェイ」が評価される。さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が企業の急務となり、ブロックチェーンなどの高度な技術も提供。生損保や非金融系企業まで顧客を拡大した。この結果、14年3月期と比べて21年3月期の売上収益は2倍以上になるなど大幅な成長が実現し、再上場に至った。
「シンプレクス ウェイ」は多重下請け構造が一般的な業界で顧客企業と直接取引。システムのコンサルティング、開発、運用保守まで自社で完結する一気通貫体制を構築している。多重下請けのような中間マージンがないため、業界屈指の高い利益率を達成。さらに、すべての工程に責任を持ち、導入後の改善ニーズをくみとることで、次のコンサルティングや繰り返しの発注を獲得している。運用保守はリカーリングモデルで安定した収益になっている。
さらに、システムの著作権を自社に留保することで、汎用性の高い複数のプログラムをライブラリーに蓄積している。
今後、戦略・DXコンサルティングの強化や「シンプレクス ウェイ」を軸とした事業領域の深耕で成長を図っていく。そのためにも高い専門性を持った人材の採用、育成を推進していく。
22年3月期の業績は売上収益303億円(前年同期比10.1%増)、営業利益56億1,200万円(同24.4%増)を見込んでいる。(HS)
概要
●事業内容=コンサルティングサービス、システム開発、運用保守
●本社=東京都港区虎ノ門1-23-1
●代表者=金子英樹代表取締役社長(CEO)
●設立=2016年12月(実質上1997年9月)
●上場前資本金=2億8,500万円
●発行済み株式数=4,829万1,800株(上場時)
●筆頭株主=刈田・シンプレクス投資事業有限責任組合(上場前31.01%)
●売出株式数=2,065万300株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が144万700株)
●仮条件=9月6日に決定
●ブックビル期間=9月7日から10日まで
●引受証券=SMBC日興、みずほ (共同主幹事)、大和、野村、三菱UFJモルガン・スタンレー、松井、マネックス、SBI、東海東京、岡三
業績推移(単体)
売上収益 | 税引前利益 | 1株利益 | 配当 | |
2020.3 | 25,508 | 743 | 15.78 | 0 |
2021.3 | 27,532 | 4,324 | 62.23 | 0 |
2022.3(予) | 30,300 | 5,437 | 23.00 | 23 |
※単位100万円、1株利益は円 | ||||
国際財務報告基準 |