スパイダープラス(4192)が3月30日、マザーズに新規上場する。
建設業を対象にした建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」の開発、販売を行っている。建設業界では人手不足のうえ、働き方改革の推進によりDX(デジタルトランスフォーメーション)化が重要な課題となっている。
「SPIDERPLUS」はタブレットやスマートフォンで、建設現場の図面のペーパレス化を図るとともに、検査機器と連携して計測値を取り込める。業務の効率化ができ、労働時間短縮などにもつながる。図面管理機能や写真管理機能が人気を呼んでいるほか、2011年にSPIDERPLUSを発売後、顧客の声を反映させる形で、工事進捗管理機能、杭施工記録機能などさまざまなオプション機能を開発してきた。
「SPIDERPLUS」を中心としたICT事業は、IDごとに月額利用料を支払うサブスクリプションモデル。2020年12月現在、793社と契約、ID数は3万8560と右肩上がりで増えている。それに伴い、月額利用料の合計は前年より43%増の1億3,900万円に上った。
もともと熱絶縁工事などの建設業を営んでおり、顧客のニーズをよく理解できる。営業が建設現場に直接行って説明会を開催。現場のニーズをヒアリングして、開発チームが反映、導入、運用のフォローまで行う。そのため、継続率も高く、既存顧客の売上高継続率は145%に上っている。 創業期より20年近く行っている熱絶縁工事を中心にしたエンジニアリング事業も継続。売上高の4分の1を占める。断熱材の「アーマフレックス」を使用した工事を強化している。建設現場で得た情報や課題は、「SPIDERPLUS」に落とし込む。
21年12月期の業績は売上高22億1,600万円(前期比12.3%増)、営業損益5億4,000万円の赤字(前期は1億1,200万円の黒字)を見込んでいる。営業赤字の理由については、売上高成長率を高める方針に切り替え、広告宣伝費及び人件費などへの積極的な先行投資を行うためとしている。
概要
●事業内容=建設業を主な対象とした建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」の開発・販売
●本社=東京都豊島区東池袋1-12-5
●代表者=伊藤謙自代表取締役社長
●設立=2000年2月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=3,180万8,100株(上場時)
●筆頭株主=伊藤謙自(上場前59.24%)
●公募株式数=322万株
●売出株式数=442万5,200万株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が114万6,700株)
●仮条件=3月12日に決定
●ブックビル期間=3月15日から18日まで
●引受証券=野村(主幹事)、大和、SBI、いちよし、岩井コスモ、SMBC日興、岡三、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー
業績推移(単体)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2019.12 | 1,286 | 59 | 2.19 | 0 |
2020.12 | 1,973 | 106 | 3.58 | 0 |
202112.(予) | 2,216 | ▼590 | ▼19.11 | 0 |
※単位100万円、1株利益は円、▼は赤字 |