デジタルグリッド(350A)が4月22日、東証グロースに新規上場する。
発電家と需要家が直接電力を取引できるプラットフォーム「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を運営している。
DGPは電力取引に必要な機能を全て備え、高度な専門知識、小売電気事業者のライセンスがなくても、電力の直接取引を可能にするもの。これにより電力会社が決めたプランではなく、電気を使う事業者が電源や価格、調達方法を決められ、事業者に合うエネルギー調達方法で理想的なコスト削減や再エネ導入を実現できる。
「デジタルグリッド」は、2008年に東京大学の阿部力也特任教授の研究室で生まれた、電力に色を付けて自由にやりとりすることができる技術の総称。東京大学と共同開発したAIモデルを活用したアルゴリズム、複雑な需給管理の全自動化とマーケットの知見により、市場競争力のある価格でサービスを提供している。収益源はDGPを通じた取引電力量に応じた手数料。この手数料が全体収益の9割を占める。
国内の電力市場はLNG(液化天然ガス)価格変動リスクの増大により、電力小売会社が価格変動リスクを取るという電力調達・供給モデルの維持が困難になり、価格変動リスクは電気を使う需要家に転嫁されつつある。こうした市場環境の変化を受け、一部の需要家は市場価格連動の電力調達を余儀なくされた。結果、電力使用量、予算、リスク許容度に応じて最適な電源調達をするニーズが生まれ、新たな市場として「ダイナミックプライシング市場」が出現。外部環境変化により同市場は今後も法人需要(高圧・特別高圧)が拡大し、40年には約1,010億~1,234億キロワットアワーに達するとみられている。
経営指標は成長率、利益率、取り扱い電力量を重視。売上高は電力プラットフォーム事業をけん引役に毎期成長を遂げている。営業利益率は22年7月期の黒字化後、23年7月期に営業利益率25%、24年7月期には44%を達成した。GMV(取扱電力量)は基本的に四半期を追うごとに増加し、今7月期第2四半期(昨年8月~今年1月)は前年同期比2.1倍の1,268ギガワットアワー。第2四半期末の契約拠点数は同64%増の5,369カ所となった。今後も電力プラットフォーム事業を中心としたDGP関連の事業に取り組み、成長を目指す。(Q)
概要
●事業内容=電力および環境価値取引プラットフォーム「DGP(デジタルグリッドプラットフォーム)」の運営、分散型電源のアグリゲーションサービスおよび脱炭素関連学習コンテンツの提供
●本社=東京都港区赤坂1-7-1
●代表者=豊田祐介代表取締役社長CEO
●設立=2017年10月
●上場前資本金=5,000万円
●発行済み株式数=618万3,300株(上場時)
●筆頭株主=東芝(上場前11.27%)
●公募株式数=25万株
●売出株式数=157万7,000株(ほかオーバーアロットメントで27万4,000株)
●仮条件=4月4日に決定
●ブックビル期間=4月7日~11日
●引受証券=大和(主幹事)、みずほ、SMBC日興、SBI、東海東京、楽天、松井、マネックス、岡三、極東、丸三、水戸
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.7 | 1,691 | 443 | 110.74 | - |
2024.7 | 3,515 | 1,253 | 163.90 | - |
2025.7(予想) | 5,587 | 2,186 | 256.2 | - |
※単位100万円、1株利益は円 | ||||
※24年7月期および23年7月期は単独決算 |