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IPO2024年11月21日

新規上場紹介 ユカリア 12月12日 グロース 病院の経営サポート、介護施設の運営・紹介など

ユカリア(286A)が12月12日、グロースに新規上場する。

病院の経営サポートを中心とした「医療経営総合支援事業」が中核で、営業利益の66%を占める。提携医療法人は24病院(医師33人、看護師3,173人)。

日本の病院約8,000中、7割超が赤字。同社の支援先は赤字や資金繰り難の病院が中心で、支援先候補は数多い。また、福祉医療機構(WAM)がコロナ禍で実施した緊急融資が2025年以降、本格的に返済開始となることもあり、支援先候補は今後さらに増える見通し。後継者不足の病院が7割近くあり、事業承継の観点からも事業機会は拡大している。

最大の特徴は、病院経営の様々な課題に対応できること。病院に融資している地銀からの相談が多く、依頼に対応してコンサルティングだけでなく様々なサービスを提供し、病院経営をサポートしている。

サービスの一環で運転資金不足の場合は貸し付けを行い、財務内容が特に悪い場合は土地建物を買い取ることでバランスシートの改善をサポートすることもある。その上で事業計画の作成、経営管理体制や人事労務体制の整備、採用支援も行う。社員として在籍する医師や看護師が病院に直接入りサポートすることもある。財務脆弱な病院は医材・薬剤・医療機器の調達が困難あるいは取引条件が悪いことがあり、同社が卸として調達・購買をサポートすることもある。

過去の支援先を含め40病院の全てを黒字化させた実績を持つ。マーケットインの思考に基づいた経営戦略と、タスクシフトなど業務最適化によるコスト削減の2つが黒字化の主な源泉。幅広い支援メニューをそろえることで病院が抱える課題を解決し、経営を立て直し安定させ持続的成長につなげられる点が、コンサルティング会社やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)会社、ファンドなど競合と異なり、いったん病院の経営が安定すると10年、20年、30年と長期に渡り安定したキャッシュフローを生み出す。このキャッシュフロー創出力がビジネスモデルの強み。

祖業であり成長事業の病院経営サポートを軸に事業開発とM&Aを通じて事業領域を広げてきた。具体的には、1都12県での介護施設運営や介護施設紹介を行う「シニア関連事業」、コンタクトレンズ製造販売のシンシア(7782・S)が属する「高度管理医療機器事業」など。今後も積極的にM&Aを検討していく。また、提携医療法人とのリレーションに基づき展開できる医療ビッグデータや、介護施設紹介で培ったネットワークを活用して介護領域でもコンサルティングやDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションの拡大を目指す。

今24年12月期は第3四半期時点で前期の営業利益および当期利益水準を上回る。サービスラインアップが幅広く、本業の収益の中には会計上、営業外収益や特別利益に計上されるものもある。このため経営指標としては当期利益を重視している。(K)

概要

●事業内容=医療法人の経営支援、高齢者施設の運営・紹介、コンタクトレンズの製造・販売など
●本社=東京都千代田区霞が関3-2-5
●代表者=三沢英生代表取締役社長
●設立=2005年2月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=3,798万2m900株(上場時)
●筆頭株主=エクソソーム株式会社(上場前47.99%)
●公募株式数=394万2,900株
●売出株式数=636万8,000株(ほかオーバーアロットメントで154万6,600株)
●仮条件=11月25日に決定
●ブックビル期間=11月26日~12月2日
●引受証券=SBI、三菱UFJモルガン・スタンレー、モルガン・スタンレーMUFG(共同主幹事)、岡三、極東、松井

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2022.12 16,616 784 32.80
2023.12 18,054 1,853 35.18
2024.12(予想) 19,863 2,473 64.08
※単位100万円、1株利益は円

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