ローランド(7944)が12月16日、東証1部または2部(売出し価格決定後に決定する予定)に新規上場する。
グローバルに幅広い製品群を提供する電子楽器専業メーカー。1972年に大阪市で設立。89年に大証2部に上場した(99年に東証1部指定)。2008年のリーマンショック以降、景気の低迷、円高によって業績は大きな打撃を受けた。10年3月期から13年3月期まで4期連続の赤字となり、MBO(経営陣が参加する企業買収)によって14年10月(当時は東証1部)に上場廃止となった。MBO後は、経営力の強化、経営体制の強化といった経営改革を実現するためのガバナンスの強化や、開発プロセスの見直し、不採算事業の整理・保有資産の効率化、生産拠点の集約などの構造改革を進めた。経営に参加した米投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズが再上場に際して保有株を売り出す。
電子楽器の分野で世界的なブランドを確立しており、電子ピアノ、電子ドラム、シンセサイザー、ギター関連機器など、さまざまな製品ラインを総合的にバランスよく展開している。海外については70年代後半から販売会社の設立を積極的に行い、グループの収益の85%(19年12月期)は海外から得ている。近年では成長著しい新興国市場に対して現地の音楽文化や需要に即した製品投入を行い、販売拡大に注力している。また、「音」と「映像」の融合にもいち早く取り組み、映像関連機器の開発から販売までを事業として確立している。
最大の楽器市場である米国では、主力製品であるピアノ、ドラムについて電子楽器の成長率がアコースティック楽器の成長率を上回っている。ピアノの場合、電子とアコースティックの比率(金額)は10年が39対61に対して19年には48対52になっており、年平均成長率はアコースティックの0.7%を電子の4.8%が上回っている。
20年12月期の業績は、売上高652億4,800万円(前期比3.2%増)、経常利益59億700万円(同25.0%増)の見通し。全体の売上高の約27%を占める鍵盤楽器は、新型コロナの影響により在宅時間が増えたことに伴う需要増を背景に、オンラインでも販売可能なコンパクトタイプの電子ピアノ市場が世界的に拡大している。対面販売が中心の中高価格帯の電子ピアノは日本、中国を中心に販売が伸び悩んでおり、今期の鍵盤楽器の売上高は前期比7.5%増を見込んでいる。
概要
●事業内容=電子楽器、電子機器およびそのソフトウエアの製造販売ならびに輸出入
●本社=静岡県浜松市北区細江町中川2036番地の1
●代表者=三木純一代表取締役社長
●設立=1972年4月
●上場前資本金=94億2,140万1,000円
●発行済み株式数=2,734万3,830株(上場時)
●筆頭株主=Taiyo Jupiter Holdings, L.P.(上場前90.98%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=1,171万株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が58万5,500株)
●仮条件=11月30日に決定
●ブックビル期間=12月1日から7日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、UBS、野村、松井、楽天、SBI、マネックス
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2018.12 | 61,153 | 5,169 | 113.53 | 435.47 |
2019.12 | 63,247 | 4,726 | 97.92 | 102.07 |
2020.12(予) | 65,248 | 5,907 | 148.13 | 72 |
※単位100万円、1株利益は円 |