南海化学(4040)が4月20日、スタンダードに新規上場する。
前身の南海硫肥は1906年に創業した老舗化学品メーカー。様々な製品の基礎原料として使われる苛性ソーダや殺菌、消毒に使われる次亜塩素酸ソーダをはじめとする「基礎化学品事業」、酢酸ナトリウム、グルコサミンをはじめとする「機能化学品事業」、土壌殺菌剤として使われる農薬クロルピクリンをはじめとする「アグリ事業」、廃硫酸のリサイクルを中心とする「環境リサイクル事業」、塩の加工・販売の「各種塩事業」の5事業を展開している。このうち、基礎化学品事業が売上高の50%を占めており、各種塩事業19%以外は化学品事業となる。国内のほか、中国にも拠点がある。
主力の基礎化学品事業は塩水の電気分解で苛性ソーダを生成。塩素や水素を活用した各種製品も手掛けている。漂白、殺菌・消毒、水処理凝集剤など、上下水道や工業排水の処理、せっけん・界面活性剤の原料、紙パルプなど幅広い分野で利用され、原料メーカーや中間製品メーカーといった製造業を中心に提供している。好不況にかかわらず堅調な需要があり、製造コストの増加も値上げや製造ラインの増設で増収となっている。
一方、各種塩事業はオーストラリアやメキシコから輸入した原塩を加工し、食品関係や融雪などに使う塩を製造する。前2022年3月期は豪雪で融雪用の出荷が過去最高となった。
今後は基幹となる科学技術をベースに環境を軸としたビジネスの拡大を図っていく。具体的には廃硫酸・硫酸リサイクル領域拡大に向けた新技術の研究開発、脱塩素セメント原料リサイクル、次世代電池領域のリサイクル研究開発などが挙げられる。
23年3月期の売上高193億8,400万円(前期比11.2%増)、経常利益7億8,400万円(同9.5%増)を計画している。(HS)
概要
●事業内容=化学工業薬品、農薬、医薬部外品および食品添加物の製造・販売、産業廃物の収集、運搬および中間処理に関する事業、並びに塩の製造、加工、販売に関する事業
●本社=大阪市西区南堀江1-12-19
●代表者=菅野秀夫代表取締役社長執行役員
●設立=1951年6月
●上場前資本金=4億5,413万9,000円
●発行済み株式数=233万330株(上場時)
●筆頭株主=南海化学従業員持ち株会(上場前5.59%)
●公募株式数=60万株
●売出株式数=2万6,300株(ほかにオーバーアロットメントで9万3,900株)
●仮条件=4月4日に決定
●ブックビル期間=4月5日から11日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、野村、SBI、楽天、松井、岩井コスモ、岡三、マネックス、あかつき
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2021.3 | 16,463 | 708 | 146.42 | 15 |
2022.3 | 17,434 | 716 | 359.83 | 15 |
2023.3(予) | 19,384 | 784 | 385.86 | 15 |
※単位100万円、1株利益・配当は円 |