FIXER(5129)が10月6日、グロースに新規上場する。
マイクロソフトが提供するクラウドサービス「Azure」に特化したクラウドインテグレータ。創業以来、クラウドネイティブ(クラウドのメリットを最大限に活かす設計)にこだわり続け、世界100カ国4,400社あるマイクロソフトのパートナー企業の中で“世界一クラウドネイティブ”なパートナーとして、日本企業初の受賞も果たしている。
クラウド専業ならではのサービスラインナップが特徴で、事業は①プロジェクト型サービス②リセール③マネージドサービス④SaaS――の4つに大きく分けられる。
①では顧客の要件・要望に基づき、クラウドベースの新規システム開発や既存システムのクラウド移行などを行っている。顧客との直接契約による「プライム案件」の獲得に注力しており、今8月期の売上高は前年同期比3.4倍を見込む。
前工程の要件定義に多大な時間とコストが掛かる旧来型の開発手法(ウォーターフォール)に対し、同社は「まず作ってみる」コードファーストな開発手法を採用。プロジェクト初期段階で完成イメージを提示し、後工程での仕様変更・調整によるコスト増大のリスクを抑えながら、当初予算内で開発を完結する。
②では、マイクロソフトなどのパブリッククラウドベンダーや各種ソフトウエアサービスを提供するベンダーから、クラウドやソフトウエアライセンスを仕入れ、顧客に販売している。特に当社が保守・運用を行う厚生労働省向けのエンタープライズシステムにおいては、付随するライセンスを全国の行政機関などに提供しており、その契約数は今年7月末時点で8万ライセンスを超える。
③は「cloud.config」のブランドで、Azureを中心とするパブリッククラウドサービスの設計・構築、24時間365日の運用(監視・障害一時対応)サービスを提供している。同ビジネスはストック型の契約モデル。今後は自動化、AIによる予兆監視などの先端技術の導入により、インフラ構築・監視・運用の効率化、障害によるダウンタイムの短縮化をさらに推進していく。
④は、①で開発したシステムや③の保守・運用で把握した顧客ニーズの高い機能をプラットフォーム化し、SaaS型のサービスとして提供している。現在は電話やSMS(ショートメッセージサービス)を発信する自動架電サービス、メタバース基盤をSaaS型で提供。自動架電サービスはコロナ感染者の健康観察に活用されている厚生労働省の「HER―SYS」(ハーシス)でも採用されている。
これまでは政府・自治体や金融機関といった、セキュリティ要件が厳しい顧客、大規模なシステム開発への対応力で独自性の高いポジションを築いてきたが、今後は中小規模開発案件も拡大していく方針。企業のDXニーズの高まりを背景に、引き続きクラウドを軸に成長を加速化する。(SS)
概要
●事業内容=クラウド環境で動作するシステム開発、クラウド環境の設計や運用・保守、監視サービス等
●本社=東京都港区芝浦1-2-3
●代表者=松岡清一代表取締役社長
●設立=2008年9月
●上場前資本金=6億5,054万円
●発行済み株式数=1,426万3,200株(上場時)
●筆頭株主=松岡清一(上場前66.47%)
●公募株式数=60万株
●売出株式数=140万株(ほかにオーバーアロットメントで30万株)
仮条件=9月15日に決定
●ブックビル期間=9月16日から26日まで
●引受証券=野村(主幹事)、みずほ、SMBC日興、SBI、マネックス、松井
業績推移(単体)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2021.8 | 3,606 | 314 | 14.36 | ― |
2022.8 | 10,602 | 2187 | 100.12 | ― |
2023.8(予) | 7,718 | 1,414 | 65.62 | ― |
※単位100万円、1株利益は円 |