JSH(150A)が3月26日、グロースに新規上場する。
同社は医療機関向けの訪問診療コンサルティング業から始まり、現在は在宅医療事業(訪問診療コンサルティングと訪問看護サービス)と地方創生事業(障がい者雇用支援事業と観光物産事業)を展開。
在宅医療事業は最初の支援先医療機関が精神科病院だったことから、主に精神疾患を抱える患者を対象として、同社の看護師職員による訪問看護サービスなどを提供している。利用者は医療機関や役所、就労支援施設など多岐にわたる関係機関からの紹介が主な獲得経路となるが、同社では特定の医療機関と訪問診療の支援を行う連携をし、主治医による訪問診療と同社看護師職員による訪問看護を組み合わせることで、利用者とのその家族を支援する。
同事業の売上高の9割は、国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金等からの診療報酬および利用者本人からの診療報酬(自己負担分)によって構成される。残りの1割は医療機関に対する各種経営コンサルティング収入となっているが、これは収益の柱というよりも、当該医療機関から訪問看護の対象となり得る利用者の紹介を得る機会を獲得し、訪問看護の利用者数を拡大していく狙いがある。
地方創生事業は、就労機会が少ない地方において同社が農園を開設し、そこで企業が雇用する障がい者に働いてもらうという仕組み。日本では民間企業における障がい者の法定雇用率が年々引き上げられており、今年4月には2.5%に、2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定している。一方、法定雇用率を達成できている民間企業は昨年6月1日時点で50.1%という状況にある。
同社では、「障がいの特性や程度に応じて作業の割り振りが行いやすい」「収穫の喜びを感じることができる」という点で農作業を、「毎営業日、作業が必要であること」「安全かつ快適な職場環境が用意できる」「多様な栽培品種に対応できる」という点で、水耕栽培を選んでいる。
収益はスポット売り上げ(農園の利用企業が使用する区画で雇用される障がい者や、その管理者の人材紹介売り上げ)と、リカーリング売り上げ(障がい者1人当たりの定着支援サポート、農園利用、水耕栽培設備レンタル等の対価)からなり、農園の売上高の90%をリカーリング売り上げが占めている。(SS)
概要
●事業内容=地方創生事業(障がい者雇用支援サービス、観光物産サービス)、在宅医療事業(精神科訪問診療コンサルティング・訪問看護サービス)
●本社=東京都中央区京橋1-1-5
●代表者=野口和輝代表取締役会長兼社長
●設立=2016年4月
●上場前資本金=9億8,507万円
●発行済み株式数=548万2,600株(上場時)
●筆頭株主=野口和輝(上場前39.63%)
●公募株式数=85万株
●売出株式数=オーバーアロットメントで12万7,500株
●仮条件=3月6日に決定
●ブックビル期間=3月8日から14日まで
●引受証券=SBI(主幹事)、みずほ、FFG、アイザワ、岡三
業績推移(単独)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2022.3 | 2,330 | 82 | 15.33 | ― |
2023.3 | 2,967 | 160 | 41.25 | ― |
2024.3(予) | 3,501 | 177 | 25.07 | ― |