PRISM BioLab(206A)が7月2日、グロースに新規上場する。
独自の創薬プラットフォームであるPepMetics(ペプメティクス)技術を持つバイオベンチャー。独自のペプチド模倣低分子化合物を用いてタンパク質間相互作用(PPI)を制御する創薬基盤技術であり、この独自技術から創出されたがん分野ならびに線維症分野の開発化合物をそれぞれ製薬会社にライセンスアウト、臨床試験が順調に進んでいる。
自社で創薬標的を選定してプログラムを創出する自社開発事業と、大手製薬会社の創薬標的に自社の技術を利用してプログラムを創出する共同開発事業の2つのビジネスモデルを並行して行っている。前者はハイリスク・ハイリターン、後者は安定的で早期収益化が可能な収益モデル。
自社開発事業では主にエーザイ(4523・P)、大原薬品工業とのライセンス契約がある。これまで2つのプログラムを導出し、開発の進捗に応じたマイルストンを受け取り、承認されればロイヤリティを受け取ることになっている。現在、これに続く新たな3つのプログラムの研究開発を行っている。また、共同開発事業では独メルク、ベーリンガーインゲルハイム、セルヴィエ、ロシュ、ジェネンテック、イーライリリーとの提携があり、それぞれ創薬標的を定めてヒット化合物の探索を行っている。今後は年に2件程度の新規契約を目標としていく。
同社では様々な配列の組み合わせによるPepMetics化合物をバーチャルライブラリーとして確保している。実際に合成を完了して評価することができるライブラリー化合物が2万個以上あり、従来の低分子化合物ではヒット化合物が得られない新しいターゲットや新しいメカニズムのスクリーニングに使用されている。
なお、同社はPepMetics化合物の特許を取得していることに加え、他社が容易に追随できない合成ノウハウを蓄積している。失敗例も含めればこれまでの合成実績は3万以上にも上り、それら反応実績を全て社内データベースで容易に参照可能となっている。
また、同社ではAI技術を応用してPepMetics化合物に特化したADMET(化合物の吸収、分布、代謝、排泄、毒性)のAI予測モデルを構築・実用化している。独自で保有するPepMetics化合物群のデータに基づいた高精度でのAI予測が可能であり、自社プログラムや共同プログラムにおいて実績を残しているのみならず、他者が保有できない独自のAI技術として今後のさらなる深化、発展が見込まれる。(SS)
概要
●事業内容=独自の創薬基盤(PepMetics技術)を用いた新規医薬品の研究・開発
●本社=神奈川県藤沢市村岡東2-26-1
●代表者=竹原大代表取締役
●設立=2012年4月
●上場前資本金=7億円6,224万円
●発行済み株式数=3,535万4,800株(上場時)
●筆頭株主=DBJキャピタル投資事業有限責任組合(上場前16.30%)
●公募株式数=400万株
●売出株式数=オーバーアロットメントで60万株
●仮条件=6月14日に決定
●ブックビル期間=6月17日から21日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、大和、みずほ、SBI、岩井コスモ、松井、丸三
業績推移(単独)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2022.9 | 554 | 78 | 2.67 | ― |
2023.9 | 112 | ▼497 | ― | ― |
2024.9(予) | 300 | ▼914 | ― | ― |
※単位100万円、1株利益は円。▼は損失 |