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IPO2023年11月13日

新規上場紹介 QPS研究所 12月6日 グロース 九大発の宇宙工学ベンチャー

QPS研究所(5595)が12月6日、グロースに新規上場する。

九州に宇宙産業を根差すことを目指し、九州大学名誉教授らによって2005年に創業された宇宙工学ベンチャー。小型SAR(合成開口レーダー)の開発・製造を行い、小型SARにより取得した地球観測データや画像の提供を主な事業としている。

同社が開発した高精細小型レーダー衛星「QPS―SAR」は、従来の衛星に比べて20分の1の質量の100キログラム台へと軽量化、コストも約100分の1まで抑えることができ、かつ短期間での開発が可能となっている。将来的に36機の小型SAR衛星を連携・運用することで、地球上のほぼどこでも任意の地点を平均10分間隔で観測できる、もしくは特定の地域を選んで平均10分ごとに定点観測できる世界の実現を目指す。

19年12月に実証試験機として小型SAR衛星1号機(愛称「イザナギ」)、21年1月に2号機「イザナミ」を打ち上げると、その後3号機、4号機は22年10月のイプシロン6号機の打ち上げ失敗により損失を被ったものの、23年6月に6号機「アマテル―Ⅲ」の打ち上げを成功させ、2号機と6号機による衛星コンステレーションを構築した。なお、6号機は米SpaceX社が運用するFalcon9に搭載したもので、QPS研究所にとって軌道投入に成功した初の商用機となった。今年10月より画像データの販売を開始している。

23年5月期には2号機による画像販売を開始し、安全保障分野を含む官公庁からの受注も獲得するなど、画像販売事業は本格化局面を迎えている。今24年5月期は5・7・8号機までの商用機計4機の打ち上げが完了する見通しで、5号機は既に射場へ出荷済み。7号機と8号機は開発が進んでおり、25年5月期以降の売り上げを見込んでいる。

引き続き国内官公庁やJAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究など国内を中心とした需要に応えていく方針。今年10月には経済産業省の中小企業イノベーション創出推進事業に、同社の「高分解・高画質かつ広域観測を実現する小型SAR衛星システムの実証」が採択された。また、直近で中小企業基盤整備機構による革新的技術研究成果活用事業円滑化債務保証制度を活用し、シンジケートローンによる総額50億円の融資契約を締結したことを発表している。(SS)

概要

●事業内容=小型SAR衛星の開発、製造、小型SAR衛星より取得した画像データ販売
●本社=福岡県福岡市中央区天神1-15-35
●代表者=大西俊輔代表取締役社長CEO
●設立=2005年6月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=3,180万2,300株(上場時)
●筆頭株主=大西俊輔(上場前13.81%)
●公募株式数=572万800株891万8,600株
●売出株式数=オーバーアロットメントで85万8,100株133万7,700株
●仮条件=11月17日に決定
●ブックビル期間=11月20日から27日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、みずほ、SBI、東海東京、岡三、FFG、香川、楽天、松井、マネックス

業績推移(単独)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2022.5 18 ▼385
2023.5 372 ▼323
2024.5(予) 1,447 ▼709
※単位100万円、▼は損失

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