プリントシール機だけじゃない!“コト消費”ど真ん中
まいど!「相場の福の神」こと藤本誠之です。年間400社を超える上場企業のトップにインタビューを行っていますが、本連載では、その中から厳選した「真の成長企業」をご紹介していきます。
東京都渋谷区の渋谷駅近くに本社があるフリュー(6238)。企業理念に「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」を掲げる、プリントシール機のほぼオンリーワン・ニッチトップです。
日本の文化・プリントシール機の「ガリバー」
オムロン(6645)が新規ビジネスとして始めたプリントシール機事業が発端。同事業は、現在はセガサミー傘下のアトラスが「プリクラ」として始めたもので、ベンチャーや大手など一時は50社を超える企業が参入しています。その時の1社がオムロン。製造業として培った商品改善力によってシェアを高めていったものの、本業との相乗効果がないことからMBO(経営陣の参加する買収)で分離独立したのが、現在のフリューです。
メインターゲットである女子高生を毎月、渋谷の本社に集めて「ガールズトレンド」をつかみ、プリントシール機の画像補正ソフトを定期的にバージョンアップしたり、撮影した画像データを無料・有料会員になればもらえるよう差別化するなどして、徐々に他社のシェアを奪取。一時は競合全社が撤退してオンリーワン・ニッチトップ企業となりました。今年、アミューズメント業界の雄であるセガが再参入していますが、現在でも圧倒的なシェアは変りません。プリントシール機は女子高生の約98.3%が体験し、年間で4,549万回も撮影されている、まさに“日本の文化”となっています。
緊急事態宣言時などには商業施設の閉鎖や営業時間短縮で、プリントシール機事業は多大な悪影響を受け、今3月期の第2四半期決算は減収・減益となりましたが、宣言解除後は徐々に回復してきています。
高額フィギュアが国内外で絶好調
コンテンツ・メディア事業、キャラクター・マーチャンダイジング事業、ゲーム事業の3事業も手掛けていて、とりわけキャラクター・マーチャンダイジング事業では『鬼滅の刃』のクレーンゲーム景品が絶好調。また、こちらも国内外で大人気のアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』の登場人物、レムの等身大胸像(23万4,000円)や、“人形は顔が命”で知られる吉徳とコラボした日本人形(13万4,000円)などの思い切った高額商品も非常に人気でした。来年1月23日には『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が映画公開されますが、フリューでは220センチメートルのエヴァンゲリオン初号機や、綾波レイの等身大フィギュア販売を検討するなど、2021年も期待できそうです。
(福の神ポイント) メインターゲットである女子高生を無料・有料会員で囲い込みストック型収益を確立。プリントシール機では圧倒的なガリバーのフリューですが、高額なフィギュア商品についても国内のみならず、中国でも動画サイトを通じた販売が好調でした。今後は“モノ消費”よりも、「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」というフリューの企業理念が示す“コト消費”の拡大が予想されることから、フリューにはさらに大きな成長が期待できそうです。