新型コロナ検査機器を大手と開発 “爆発的”成長へ
臨床検査薬のパイオニア
1939年創業の臨床検査薬のパイオニアである栄研化学(4549)。病気の診断、治療、健診に使われる臨床検査のうち、人体から取り出した検体(血液・尿・糞便など)について調べる「検体検査」で利用される試薬と装置を取り扱っています。
臨床検査薬は、病気の予知・予防、診断、治療・管理まで幅広く使われており、栄研化学は、大腸がんスクーリング検査に用いられる便潜血検査試薬(OC)では世界シェア6割超と圧倒的。特定の疾病に強みを持つことで高い利益率を実現していることも大きな特徴です。
そんな同社にとって新型コロナ禍は、プラス・マイナスの両面があります。マイナス面としては、新型コロナ以外の疾病で病院を受診する患者は減り、健康診断も控える動きがあったため、検査薬の需要が減少したこと。逆にプラス面は、新型コロナ遺伝子検査試薬・機器が絶好調だったことです。
結論としては、プラス面がマイナス面を上回り、2021年3月期の第3四半期は中間期までの減益から、一転して営業2ケタ増益になっており、通期予想も上方修正、期末配当金も15円から21円に引き上げ、年間配当金は前期比6円増の36円と増配しています。
新型コロナ禍も“独自技術”で大幅増益
新型コロナの検査方法としては、一般的にはPCR法が良く知られていますが、同社には、独自技術であるLAMP法(簡易PCR検査)があります。PCR法と同じく、検体から核酸(RNA)を抽出して行う方法ですが、PCR法に比べてウイルス遺伝子を増幅させる効果が高く、短時間で検査できるのです。
新型コロナ禍が落ち着いてきた昨今、次の課題は、訪日外国人旅客者などへの「検査」が重要となってきます。PCR方では増幅のために温度を上げ下げする必要がありますが、その必要がないLAMP法については現在、日本の製造業の大手企業が同社と組んで検査用機器の開発に取り組んでいます。LAMP法により短時間で大量に処理される検査機器によって、訪日外国人観光客の受け入れが可能になるだけでなく、検査薬の安定需要までもが期待できます。さらには日本のみならず海外展開も見込めるなど、同社は爆発的な成長の可能性を秘めているのです。
(福の神ポイント) “早期発見・早期治療”がトータルとして医療費削減につながるため、栄研化学が手掛ける検査薬は今後も安定的な成長が期待できます。そして新型コロナ禍が落ち着いても、人の移動に伴う検査の需要は拡大が見込まれます。その中でもLAMP法という独自技術を持つ栄研化学は、この分野においてグローバルで活躍できる可能性を秘めており、今までとは全く成長速度が一変する可能性があります。足元の好業績はしばらく続きそうですし、中・長期でじっくり株価倍増を狙いたい銘柄です。