BTM(5247)が2022年12月27日、グロースに新規上場した。地方でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業を展開する。初値は公開価格を41.2%上回る2,118円。上場当日の記者会見で田口雅教代表取締役社長兼CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
社長、会長2人の思い……私と会長の吉田(悟氏)が地方出身で、都市圏と地方の機会格差について、昔から課題意識を持っていた。優秀な人材がいても、就業の選択肢が狭くて活躍の場がなかったり、いろいろなノウハウを持った企業があっても生かせる場がなかったりする。そうした人、企業に対して機会提供を行い、地方人材を積極的に活用したDX推進を行っている。DX市場は30年に3兆円を超すと言われているが、現状は都市圏がメインで地方はこれから広がっていく。われわれはここをターゲットにしている。21年3月期は上場準備に伴う人員強化や成長のための組織強化の先行投資で一時的に赤字になったが、その後はしっかり結果が出せている。ITエンジニア不足もわれわれのような人材調達力のある会社にとって非常に追い風になっている。
顧客のフェーズにより違うサービス提供……サービスは2つあり、1つがITエンジニアリングサービス、もう1つがDXソリューションサービス。ITエンジニアリングサービスは、全国から人材を調達し、デジタル化を進めている企業を支援する。DXソリューションサービスは、請負という形でシステムを納品をする。人材を支援するか、しっかりシステムを作って納品をするかが違い。顧客のDXフェーズによって変わる。DXを進めているがエンジニアが足りないという顧客には全国から人材を調達をして支援。これからDXを始めたいが、何から手を付ければいいか分からない顧客には、DXソリューションサービスでコンサルから入り、企画、提案、システム納品まで行う伴走型の支援をする。
5,000件以上のデータベース……われわれの強みはデータベースと地方人材の活用。同業他社の同じようなシステム会社をビジネスパートナーと呼んでいる。そこの営業担当者とのつながりをアカウントと呼ぶが、5,000件以上蓄積され、データーベースになっている。全国のビジネスパートナーから自動的に人材や案件の情報が入ってきて、われわれの営業が適切なマッチングを行う。ビジネスパートナーにはクラウド、AIなどいろいろな技術を持った企業があり、顧客の様々なDXニーズを支援できる。人材調達の幅広さが強み。日本のITエンジニアは120万人いると言われるが、7割ほどが同業他社に属しており、人材が一番豊富な層にリーチできる。人材はビジネスパートナーと当社がダブルチェックしており、品質もしっかり担保できている。フリーランスを活用している企業はあるが、全国でビジネスパートナーをメインにしている会社は、われわれ以外は見たことがない。戦略的に顧客のプロジェクトを完遂までしっかり持っていくことができる。
自律型フルスタックエンジニアが強み……地方人材の活用についても説明する。当社が定義するDX人材は自律型でDXを推進するリーダーシップを持っていることと、技術力を持っていること。自律型フルスタックエンジニアと呼んでいる。われわれはその育成ができることが強み。全国から未経験や非常に若手のエンジニアを積極採用し、独自のプログラミングを行う。その後、全国横断型のフルリモート開発で、実際に経験を積んでノウハウを蓄積し、それを繰り返すことで自律型フルスタックエンジニアが育成できる。全国横断型のフルリモート開発体制なので、例えば札幌のプロジェクトメンバーの下に福岡のメンバーが付く。それにより、全国のエンジニアのレベルを東京水準で保つことができる。提供する品質も均一化できる。エンジニアは上流から下流まで様々な経験ができる。また、われわれは地方エンジニアの採用を長年やっておりノウハウもためている。東京以上の成長が期待され、給与も東京水準。地方からすると魅力的な求人になっており、エンジニア数も年々増え、今後も拠点を増やしていく。
プラットフォーム化など新規事業も……中長期戦略では、まずデータベースを活用したマッチングを最大化していく。営業人員を増やすことでマッチング数を増やす。さらに、全国のビジネスパートナーをもっと増やしデータベースを拡張する。新規領域としては、ビジネスパートナーに向けて活性化につながる新規ビジネスをしたり、ビジネスパートナー同士でマッチングできるプラットフォーム化したりなど、データベースを活用した事業展開というのをやっていく。
特徴に応じた最適な人材……まだ地方にDXが本格的に入っている状況ではない。地方企業、自治体のDX推進をわれわれがリードできるような市場を作っていきたい。国もDXの必要性をようやく感じてきて、各自治体に対してトップダウンで指示を行っている。愛知県は自動車会社が強いので製造業が多い。福岡はスタートアップベンチャーが非常に増えている。そういった地方によって特徴があるので、そこに最適な人材を提供する。今後、より地方にフォーカスしてやっていくことが他社との差別化になる。例えば東北地方や北陸地方はまだ手を付けられていない。眠れるビジネスパートナーはたくさんいる。そういったエリアをしっかり網羅していく。(HS)