クオルテック(9165)が7月28日、東証グロース市場に上場した。パワー半導体や電子部品などの信頼性評価試験、レーザーによる微細加工事業などを手掛ける。初値は2,336円と公開価格2,540円を8%下回るスタートとなった。山口友宏代表取締役社長=写真=は今後の事業計画などについて以下のように語った。
三本の柱……当社は1993年に電子部品の不良解析、コンサルティングなどで創業、98年にはレーザーによる微細加工事業を開始、2004年に社名をクオルテックに変更し、信頼性評価事業を本格化させた。06年にISO/IEC17025規格の認証を取得し、自動車業から仕事をいただけるようになった。「未来品質の創造」を掲げ、安心・快適な未来社会の実現に貢献することを経営の基本方針としている。3つの柱のうち、「信頼性評価事業」は自動車、エレクトロニクスメーカー向けに半導体・電子部品の外部評価を提供、「微細加工事業」は基板メーカー向けにレーザー加工を、「その他事業」は遺伝子検査、バイオ受託検査などを提供している。研究開発部門ではパワー半導体とオートモーティブを中心に据え、3事業と連携しながら成長を図る。
独立系評価会社の強み……独立系検査会社という特異なポジションから第三者機関としての客観性という強みがある。われわれのメーンユーザーは自動車業界で、「CASE(つながる車、自動運転、共有、電動化)という言葉に象徴されるように急速な変化が起きている。今後もますます変革スビードは加速すると考えている。開発競争が激化するなか高い安全性を確保する必要があり、信頼性評価に対するアウトソーシング需要は高まっている。上場によって信用力が高まり、優秀な人材確保、最先端の設備を手に入れることができた。この需要にわれわれはしっかりと応えていく。
外注比率はさらに拡大……信頼性評価事業の外注率を5割と置いた場合、22年の市場規模は約670億円と推定され、27年には約1.4倍の920億円に拡大すると予測される。このうち300億円がパワー半導体などの車載部品でこれが450億円に伸びる。さらにこうしたなかで、外注比率は5割から7割に上昇するとみている。発注企業が上流の設計業務などに人的資源を割き、試験業務は外注に回ることが予想されるためだ。
営業利益率20%……評価事業ではパワー半導体を中心に20%を超える営業利益率を確保できるとみている。微細加工事業も今後は売上高が上向く見通しで、こちらも20%を達成したい。(M)