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インタビュー2024年10月15日

データ一筋19年 追い風を背に上場を実現 東京プロマーケット INSIGHT LAB 遠山功社長、CEOに聞く

ビッグデータ、データエコノミー、データサイエンティスト…。AI時代を迎え、「データ」の重要性が飛躍的に高まる昨今。データ利活用のトータル支援サービスを手掛けるエンジニア集団、INSIGHT LAB(インサイト・ラボ)が8月5日、東京プロマーケットに上場した。創業者である遠山功社長(写真)に話を聞いた。

――事業内容に「DXからデータ利活用、最先端技術までワンストップサポート」とある。データ分野を一気通貫で手掛けるそうだが、具体的にどのようなビジネスか。

「基本的には、顧客から個別に相談を受け、データによる課題解決に向けてオーダーメイドのシステム構築で対応している」

――顧客企業はどのような業種が多いのか。

「製造業や小売業だ」

――例えば、スーパーで顧客の属性を分析してセールを決めるといったデータ活用ならイメージしやすいが、製造業はどうなのか。ちなみに、日本を代表するような大手の顧客も多いとか。

「大規模なデータを扱う性格上、多くの場合、具体的な顧客名を出せないのは残念だが、大手自動車メーカーの場合、世界の地域ごとにどのようなタイミングでどんな故障が生じやすいかを分析することで、製造・販売計画に役立てることができた。そもそも製造業は、どの部品とどの部品を組み合わせれば何ができるかといった『部分最適』の世界。膨大なデータを活用して、これを『全体最適』につなげていくことが我々の役割だ」

――2005年12月の創業以来、データ一筋で19年近く。今やデータ事業は時代の花形。憧れの職業とも言われる。

「先行した分、ノウハウ蓄積などは当社の大きな強みだが、華やかなイメージとは裏腹に実は泥臭い職人仕事でもある」

――顧客獲得は。

「『この難易度では当社にしかできない』として既存顧客から紹介してもらうケースも多い」

――大口ばかりではなく、規模が小さめな企業の案件も増えているか。

「経営陣の若返りが進むのは大手だけではない。地方でも40歳代ぐらいの2代目、3代目に代替わりした企業ほどデジタル化が進み、受注獲得の好機を迎えている」

――データ関連ビジネスの現在の市場規模は?

「2兆円規模とされるDX、AI関連市場でデータに限れば4,000億円といったところか」

――ここから爆発的な成長も期待されている。

「コロナ禍前の試算で2030年にDX80兆円というものもあった」

――現在の業界順位はどうなっているのか。

「NRIや総合電機系など大手企業がひしめくだけに、売上規模ではまだ20位に届くか届かないかの状態だ。とはいえ、技術力には絶対の自信を持っている。今後訪れるパラダイムシフトのタイミングで波に乗り、新しいビジネスを確実に押さえていくことで、業界のリーディングカンパニーとなることは十分可能。社員には、ゆくゆくは世界一を目指すと話している」

――上場の目的は。

「以前は『何物にも縛られない自由なエンジニア集団』として上場しないと公言し、ベンチャーキャピタルからの誘いも全て断っていた。3年前に方針を転じたのは、成長に向けて信用力と資金力を高める必要性を感じたためだ。実際、上場していろいろなことが変わった。もちろん、これはゴールでも何でもない。いずれはプライム市場上場も視野に入れている」(K)