創業来、増収増益継続 株主還元強化しDOE10%へ
ゲーム・エンタメ業界特化型の人材派遣事業を展開するコンフィデンスと、人材紹介・求人広告・採用支援事業を展開するインターワークスが昨夏合併し、統合新会社コンフィデンス・インターワークス(7374・G)として始動してから10カ月。2024年3月期決算が発表され、前期比で大幅な増収増益を達成した。同社を率いる澤岻宣之(たくし・のぶゆき)代表取締役社長に、今期の見通しと成長戦略について聞いた。
――統合初年度の前2024年3月期は44%増収、28%営業増益。今期は売上高90億円(前期比20%増)、営業利益14億円(同17%増)と創業以来、連続最高益更新を見込む。
「PMI(M&A後の経営・業務・意識統合)は順調ながら、前期は売り上げ計画下振れ。ゲーム向け人材事業が市場環境の影響を受け、成長が緩やかになっていることが要因。本来的には内部努力で跳ね返すことが望ましく、できることはたくさんあった。今期は足場を固める時期とし、公表計画は堅め。内部的には外部環境を跳ね返す努力で、計画以上の成長率を目指している」
――前期営業利益率は16.0%。大型M&Aを経ても収益性も維持した。
「売上高成長は営業努力、営業利益率は経営力やポリシーの問題と考える。当社は業界特化型で事業を展開しており、類似性の高いビジネスであれば一定の利益率は維持できると考えている」
――昨年発表の中期目標で5年以内に売上高200億円、営業利益30億円を掲げる。売上高の内訳と成長戦略は。
「中核のゲームセグメントはクリエイター派遣、紹介に加え、デバッグ受託、カスタマーサポート、ローカライズの受託などの事業を含め、100億円以上は十分に可能」
「ほか、人材紹介・メディア・採用支援の拡大や、ゲーム業界以外の派遣事業の新たな領域への展開での積み上げで十分に届く目標と考えている。例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域では、ローコード・ノーコードツールなどを使える人材の育成・供給などのニーズがあり、ゲームと親和性の高い業界から広げていく」
――プライム基準のクリア(未達項目は流通株式時価総額100億円以上、時価総額250億円以上の2点)も目指している。
「業界特化型の人材サービスでカテゴリーNo.1を積み上げ、一流企業が集まるプライムを目指す。5年以内に実現したい」
「常に増収増益を繰り返し高い企業価値を追求するとなれば、次のターゲットは市場規模を勘案すれば200億~300億円、その次は1,000億円となる」
――グロース企業かつM&Aをしながら配当性向3割超を実現し、増配を続けている。
「人材ビジネスにおける成長投資は、広告・人件費がメインで、比較的キャッシュが回りやすい。中期的にはDOE(株主資本配当率)10%超も目標に掲げており、収益性はさることながら、株主還元も意識した経営をしていきたいと考えている」
――5月13日、自社株53万株(自己株を除き発行済み株数の7.97%)を取得した。
「M&Aでの対価や幹部人材のスカウトでの対価等、戦略の打ち手が広がる。インターワークス合併に伴う新株発行で低下した1株当たり当期純利益も、今回の自社株買いで改善する方向。ROE(自己資本利益率)向上など資本効率も意識した」
――澤岻社長は逃げ道を封じ、自らを追い込んでいくタイプとお見受けした。尊敬する経営者は。
「特定の方の名前を挙げるのは控えさせていただくが、人材業界には創業オーナーとして事業を立ち上げ勝負師として一気にその規模を拡大させた方々や、この業界で上場している会社が珍しかった頃から企業価値や利益率の向上に対して厳格な姿勢をもって事業を拡大されてきた優れた経営者がたくさんいらっしゃるので、参考にさせていただいている。当社の営業利益率は業界内でも上位に位置する実績だが、投資対効果やコストに対する感覚は、コンフィデンス代表に就任して身に付けた。就任当時は零細企業でしたので、細かな備品購入やカラーコピーを1枚とることすらもシビアに考え、事業運営に努めていたことを思い出す」
――株主、投資家へのメッセージをお願いします。
「人材事業者として、ゲーム・エンタメ業界を中心に、様々な領域になくてはならない存在として、カテゴリーNo.1の集合体を積み上げ企業規模を拡大していきたい。賛同いただける方々に積極的に応援をしていただきたい」(Q)