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インタビュー2020年9月28日

トップインタビュー テックポイント・インク 最高経営責任者兼取締役社長 小里文宏氏 「車載カメラ」市場急拡大が続く 新商品のセンサー「来期量産へ」

監視カメラおよび車載カメラとその周辺機器に組み込む半導体の設計開発・販売を手掛けるテックポイント・インク(6697)。足元では車載カメラ向けが急拡大したが、この傾向はさらに強まりそうだ。現状と見通しを最高経営責任者兼取締役社長の小里文宏氏に聞く。

――コロナ禍でも業績好調だ。

今12月期第2四半期(1~6月)は売上高が15億7,400万円(前年同期比19.8%増)、営業利益は5,085万円(前年同期は3,932万円の赤字)だった。コロナ禍においても車載カメラ向けが好調で売上は前年同期比63%増と大きく伸びた。

とはいえコロナの影響は読み切れず、通期予想を未定としている。ただし、例年は第3、4四半期に需要が増加すること、パンデミック発生前に新規案件を大量に獲得していたことなどから、下期は上期を上回る実績を達成できるものとみている。

――車載カメラ向け、自動車販売が苦戦する中でなぜ大幅伸長したのか。

4-6月の日系自動車メーカーの新車販売台数は3割減だったといわれるが、当社は受注件数が増加した。当社の半導体を既に採用、製品に組み込んでいるクライアントがこれを量産化に移行させたり、採用する半導体の種類を増やすといった動きが生じている。

――テックポイントの役割は?

当社は、映像をカメラから送信するための半導体(Tx、トランスミッター)と、記録装置で受信するための半導体(Rx、レシーバー)を主に手掛ける。アナログ方式の機器でも映像を高解像度・高画質化できることが大きな強み。車載カメラについては純正品の8割程度がいまだVGAといわれる低解像度にとどまる。世界で年間1億台ほど投入される新車に加えて、中古車についても、当社の半導体を使って映像をアップグレードさせる動きが今後さらに広まるだろう。

カメラの搭載数が急増していることも業績伸長の要因だ。自動運転に欠かせないカメラやセンサー、ドライブレコーダーなど車載カメラ関連機器向け半導体の市場規模は、2030年には1,605億円と、現在の6~7倍に拡大するものとみている。

――「イメージセンサー」がラインアップに加わる。

4年前から開発していたCMOSセンサー、そのサンプル品が今年6月にようやく到着した。いわば「カメラの目」。当社にとっては新しい領域だが、社内の評価結果は良好。来期の上半期には量産出荷をスタートできるのではないか。

当社は監視システムにおいて、カメラのTxでシェア1割程度、記録装置のRxではシェア5割程度を持つが、まずはこれらを既に組み込んでいるメーカーにセンサーを提案していく。

――戦略は?

カギはリファレンスデザイン。自社の半導体だけでなく、それを組み込むカメラなど全体の設計図を起こして、メーカーや製造業者に提供する。開発期間が短縮できる上に技術力がなくても高性能カメラが作れるなど、導入側のメリットは多い。パーツを同一業者から仕入れれば技術サポートもスムーズに受けられる。

既に出荷を始めている電子ミラーが間もなく国内で本格普及期を迎えるように、技術革新に伴うトレンドに合わせてタイミングよく取扱商品を増やしていく。設計開発に専念できるファブレス体制という当社の強みが、ここでも生きる。こうしてマーケットシェアと共に平均売価を早急に引き上げていきたい。