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インタビュー2022年7月5日

トップインタビュー ワイヤレスゲート 成長路線回帰への道 濵暢宏社長CEOに聞く

代理店網強化、サブスク拡充などに力

有望銘柄発掘に当たっても、やはり気になるのは、各種原材料コスト高や金利上昇、サプライチェーン(供給網)混乱など不透明感強める外部環境面か。そろそろ4~6月決算内容に関心が向かうタイミングとあればなおさらだが、「『ない』とは言わないまでも影響は限定的」と語るのはワイヤレスゲート(9419・P)の濵暢宏(はま・のぶひろ)社長CEO(写真)だ。近年は低位に放置され、見落とされてきた銘柄ながら、長らくの“雌伏の時期”を過ぎて、静かな変身を遂げつつある様子。足元の事業環境好転や成長戦略などについて濵社長に話を聞いた。

――今月19日でマザーズ上場10周年を迎えるが、創業は2004年で、まだ“ガラケー”全盛のインターネット草創期…。

「自宅でもネット利用が普及し始めた頃だ。当時は電話回線を通じた有線接続全盛だったが、いずれ無線による高速インターネットが社会インフラになると読んで参入した。通信3社体制になっても依然通信料は高止まりしており、競争を促す総務省の規制緩和政策のもと、大手から通信回線を借り受けて通信サービスを行うMVNO(仮想移動体通信事業者)となった」

――そこから高成長?

「実は2~3年鳴かず飛ばずの状態が続いたが、ヨドバシカメラと提携し、ルーターという端末販売と毎月の通信料収入(サブスクリプション)を組み合わせたビジネスモデルを確立してからは順調に成長した。ただし、競争が次第に厳しさを増すなか、16年をピークに頭打ちとなり、微減をたどってきた」

――そもそも主力商品のWiMAXとは何か。

「自宅でも外出先でもネット接続ができる仕組みだ。まず1万5,000~2万円でルーターを買い、毎月4,000~4,500円程度での通信料を支払うことで利用する」

――利用者にとって、どんな利点があるのか。

「既存の通信会社のサービスの課題として、屋外で使うとバッテリーの消耗が早く通信が遅い。屋内で光回線を利用するなら工事が必要。いずれにしても通信料が高い――といった点が挙げられるが、これらの解決につながるのがWiMAXだ」

ホームルーター急拡大の“背景”

――とはいえ、競争激化から頭打ちとのことだが。

「ここにきて事業環境が変わってきた。固定電話の世帯保有数が過去10年間で20%以上(約977万世帯)減少し、その分、ホームルーター需要が急拡大中。特に、“シンボリックな出来事”として、昨年はNTTドコモ自らホームルーターの販売を開始した。BCN統計では、昨年4月を100とした『ホームルーター販売台数指数』が9月に244.5を記録した」

――環境好転と言っても、今12月期第1四半期(1~3月)は黒字転換ながらも、前年同期比18%減収だったが…。

「当社は従業員25名の少数精鋭経営。売上高も利益も、とはいかない。まず利益を出せる体制作りを優先し、原価低減と販管費適正化を徹底した。まだ絞れる余地は十分あるが、コスト減は一気に進めないと。ダラダラ続けると社内のムードが後ろ向きになってしまう」

――確かに…。

「前向きの成長戦略も順調に進展中だ。第3四半期から売上高も拡大基調に転じるとみる」

――どのような内容か。

「提携代理店数を昨年末の4社から6月末で15社に増やした。年末には全国50社に拡大したい。もちろん、増やせばいいわけではない。現場の知恵を共有して適切に管理していくには、現状50社が上限だろう」

――WiMAX契約者数を24末の13万5,000人から再来年末16万人に拡大する目標を掲げた。これまで微減基調が続いてきたが、足元の状況は?

「販売代理店効果から6、7月頃のプラス転換を想定していたが、3、4月に純増を記録。当面は拡大基調が見込まれる。新生活の始まる3月は新規契約同様、解約も多い季節だが、低く抑えられた。ちなみに、13万5,000回線の分母は『モバイルWiFi市場(850万回線)』だが、今後はこれとは別に『固定系ブロードバンド市場(4,268万回線)』も開拓ターゲットとなる」

水や電気にも進出!?

――解約を抑制するための戦略はあるのか。

「通信以外にスマホ保険やウイルスバスターの月額課金サービスを実施しているが、遠からず映像、音楽などエンタメ分野も導入したい。リモートライフ時代の問題解決という意味では、それこそ水道や電気への参入だって検討対象となる」

――24年12月期売上高120億円(今期予想90億400万円)。営業利益8億円(同2億円)目標としているが。

「成長戦略を実行していけば十分達成可能だ。そして早期の復配に向けた利益剰余金の赤字(約10億円)解消も喫緊の課題となる。数字に表れない部分で会社のオペレーションは大きく変わり、安定して利益を出せる体制が整ってきた。新たな成長路線に向かう『19年目のスタートアップ』だと考えている」