TOP  NSJアップデート  インタビュー  トップインタビュー INFORICH 秋山広宣社長
インタビュー2024年12月26日

トップインタビュー INFORICH 秋山広宣社長

スマホ充電シェアリングで急成長 新サービスも続々

スマホ充電器のシェアリングサービス「ChargeSPOT」(チャージスポット)を展開するINFORICH(9338・G)の業績が絶好調だ。国内外8カ国・地域で、月間アクティブユーザー数127万人、累計設置台数6・5万台と順調に拡大。今12月期は30%増収、2・7倍営業増益で過去最高を計画し、新サービスも続々とスタートする。快進撃の理由を秋山広宣代表取締役社長兼執行役員CEOに聞いた。

――業績好調の理由は。
秋山氏 圧倒的なスピードで全国にチャージスポットのネットワークが展開でき、「借りたら返せる」との安心感をつくれたことが勝因だと思う。発表した時点では日本初のサービスで、競合が出てくるまで3カ月あり、その間にスタートダッシュできた。ガラケーからスマホに代わり、情報が携帯電話の中に溢れるなか、充電中も自分のそばに置きたくなる習慣の変化も後押しになる。

――充電スタンドはどのような場所に置いているのか。
秋山氏 人流のデータを分析して、非常にトラフィック(人流)が多い所を中心に、設置の相談をしている。コンビニの場合、30%の利用者がついでに買い物をするというデータがある。設置していただければ、われわれのバッテリーを利用するだけでなく、それ以外の収益にもなる。利用者、設置場所、弊社の三方良しのビジネスになっている。

――日本だけでなく海外でも展開している。
秋山氏 スタートは香港のほうが早く、そもそも日本と日本以外という考えはなかった。アジアのほか、ヨーロッパでもニーズがあり展開の準備を行っている。オーストラリアでは黒い台が人気があるなど細かな違いはあるが、日本で便利な状態になればグローバルスタンダードになる。携帯電話は世界中で使われており、今は利用者の中心は日本だが、戦略的に拡大していきたい。

――チャージスポットのデジタルサイネージに、利用者が推しているタレントの広告を出せる「CheerSPOT」(チアースポット)サービスも発表した。
秋山氏 発表後、ユーザーから期待のコメントをいただいている。地方に住んでいてもコンビニで約400円払ってチアースポットを利用すれば、SNS(交流サイト)で拡散できる時代だ。僕は20歳代のころにエンターテイメントの世界にいたので、ファンとアーティストのニーズを理解しており、音楽事務所、レーベルとの関係も持っていた。著作権、肖像権など全てクリアして、公式にできる推し活だということが重要。日本だけでなく海外でも可能なので、音楽業界からも期待されている。

これはCtoBtoC(消費者から企業経由で消費者へ)のプラットフォームだ。コンセプトは2018年にチャージスポットを始めたころから持っていたが、ある程度の台数のデジタルサイネージがないと価値が出ないので、忍耐強く待っていた。プラットフォームとして場所を活かし、アプリを活かし、今1000万件以上ダウンロードいただいているユーザーを活かす。慣れてもらったらパン屋を宣伝するといった用途に使っても面白い。この資産で今後何をしていくのか、ぜひ楽しみにしてほしい。

――10月にはベビーケアルーム「mamaro」を手掛ける:Trim社を子会社化した。
秋山氏 アジア各国でニーズはあるが、同様のサービスはないので、日本発で海外に仕掛けていく。ベビーケアルームがあるところで、チャージスポットがないエリアには新たに進出できる。ベビーケアルーム内にはサイネージもあるので、そこも利活用する。

――読者へのメッセージを。
秋山氏 日本発で世界でもしっかり利益が出せる布陣となっている。皆さんに「よしがんばれ」と思ってもらえる日本発の企業として、数字で拡大を分かりやすく見せて、時代に合った会社として発展していくので、注目していただければ。

略歴:香港生まれ日本育ち。2007年にユニバーサルミュージックで3カ国語を駆使したアーティストとして活躍。12年に香港に移り住み、日本企業の香港誘致、M&Aなどのクロスボーダービジネスのコンサルティング業を担う。15年に株式会社インフォリッチを創業。現在チャージスポットをグローバルにサービス展開。